第12回ワールドゲームズ成都大会 開会式は既存施設で「シンプルに」
中国南西部・四川省の省都、成都市で8月7〜17日に開催された第12回ワールドゲームズでは、開会式の舞台に新設スタジアムではなく、市内の天府国際会議センターの屋外エリアが選ばれました。巨大スポーツイベントの「開き方」を見直す試みとして、国際ニュースの現場でも注目を集めました。
開幕30日前に示された「スタジアムに頼らない」方針
大会開幕の30日前にあたる火曜日、組織委員会はワールドゲームズの開会式を、伝統的なスタジアムではなく天府国際会議センター前のオープンスペースで行うと発表しました。大会全体のキーワードとして掲げてきた「シンプルさ」を、式典の場でも体現しようという狙いです。
この方針により、開会式は従来のような競技場のトラックや観客席ではなく、都市の一角に開かれた広場のような空間で行われることになりました。
天府国際会議センターとはどんな施設か
会場となった天府国際会議センターの建設は2020年6月に始まり、2021年から実際に使われるようになりました。組織委員会によると、この施設はワールドゲームズのために特別に建てられたものではなく、見本市や国際会議など、日常的に市民やビジネスの場で活用される「都市のインフラ」の一部です。
つまり、大会のためだけに巨大な新スタジアムを建設するのではなく、すでに街に存在する施設をどう活かすか、という発想が貫かれています。環境負荷やコストの面からも、こうした方向性は今後の国際スポーツイベントで一つの流れになっていくかもしれません。
芝生から眺める開会式という体験
開・閉会式の副総監督を務めるHuang Peiling氏は「既存の建物を使い、オープンエリアで開会式を行う。一部の観客は屋内の席ではなく、外の芝生に座って式典を見ることになる。それが成都の特色に合っている」と説明しています。
観客の一部が芝生に座って開会式を楽しむというスタイルは、サッカースタジアムや大型アリーナの固定席での鑑賞とはまた違う体験です。都市の公園で行われるフェスティバルのような、よりカジュアルで、街に開かれた雰囲気を意識していることがうかがえます。
90分のショーに凝縮された15分のアート
開会式全体は約90分間が予定され、その中で15分が芸術的なパフォーマンスの時間にあてられました。リハーサルは6月から続けられてきたとされ、短い時間にコンセプトを凝縮する構成になっています。
巨大イベントの開会式というと、何時間にも及ぶ大規模なショーをイメージしがちです。しかし今回は、全体を90分に抑えつつ、そのうちの15分だけにアート表現を集中的に配置するという設計です。これは、観客の集中力やオンライン視聴との相性を意識した「コンパクトな演出」とも見ることができます。
なぜ成都ワールドゲームズの開会式が注目されるのか
今回の開会式の方針には、国際スポーツイベントのあり方を考えるうえで、いくつかの示唆があります。
- 既存施設の活用:大会専用のインフラを新設するのではなく、既にある会議センターを活用した点。
- 街との一体感:屋外のオープンエリアや芝生を使うことで、都市の日常空間とイベントを重ね合わせている点。
- 時間の「シンプルさ」:90分という比較的コンパクトな開会式の中に、15分のアートパフォーマンスを組み込む構成。
これらはすべて、「見せ場は作りつつも過度な負担はかけない」というバランスを意識した選択といえそうです。派手さだけでなく、都市生活との調和や持続可能性を重視する方向に、国際スポーツの舞台も少しずつ変化していることが読み取れます。
「読みやすいシンプルさ」は国際イベントでも求められる
デジタルネイティブ世代にとって、長時間のショーよりも、ポイントが絞られたコンテンツの方が受け入れやすい場面が増えています。成都の第12回ワールドゲームズ開会式の設計は、その変化を意識した一つの実験とも言えるでしょう。
巨大な新スタジアムではなく、街の一部として日常的に使われる会議センターと芝生広場を舞台にした今回の選択は、「イベントは都市とどうつながるべきか」「どこまで準備をシンプルにできるのか」という問いを投げかけています。
国際スポーツを日本語で追いかける私たちにとっても、今後の大会の開会式や都市づくりを考えるうえで、成都からのこの試みは一つの参考事例になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








