中国と中央アジアの文化財が語り出す:AIとシルクロードの新しい物語 video poster
中国と中央アジアの関係がサミットを軸に新しい段階へ進むなか、両地域の文化財にAIが「声」を与える試みが広がっています。シルクロードの遺産を通じて、過去と現在、そして未来の協力関係をどう映し出しているのでしょうか。
サミットが開いた「新しい時代」と文化交流
中国は2023年5月、西安市で第1回中国・中央アジアサミットを成功裏に開催しました。これをきっかけに、中国と中央アジア諸国との関係は「新たな時代」に入ったとされています。
さらに今年、2025年6月16日から18日にかけて、第2回中国・中央アジアサミットがカザフスタンの首都アスタナで開かれました。政治・経済だけでなく、文化や人と人の交流を含む協力の「質」を高める動きが加速しています。
その象徴のひとつが、両地域の文化財に再び光を当てるプロジェクトです。数百年、数千年の時を経た遺物が、中国と中央アジアをつなぐシルクロードの長い歴史を静かに物語っています。
AIが歴史に命を吹き込む「When Relics Speak」
こうした流れの中で、中国のメディアが制作するシリーズ『When Relics Speak』は、最先端のAI技術を使って歴史的な宝物に新しい命を吹き込んでいます。登場する主な文化財は次のようなものです。
- 中国で発見された、疾走する姿が印象的な青銅の馬像
- カザフスタンを象徴する黄金の装束をまとった「黄金人(Golden Man)」
- キルギス各地に残る、人の姿を刻んだ石像「バルバル」
- タジキスタンのパンジャケントで見つかった、色鮮やかな壁画
- ウズベキスタンのラボット古代遺跡で、中国・ウズベキスタン共同考古学チームが発掘したスフィンクス形の首飾り
- トルクメニスタンの世界遺産・古代ニサと、中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uygur Autonomous Region)で見つかったリュトン(動物や神話的存在の形をした酒杯)
AIはこれらの文化財の「出身地」や「旅の軌跡」をたどり直し、映像や対話形式でストーリーとして再構成します。その際に、シルクロードが大切にしてきた価値が浮かび上がります。
AIが照らし出すシルクロードの価値観
シリーズで強調されるのは、シルクロードが象徴する次のような価値観です。
- 平和:軍事的な緊張ではなく、人や物、アイデアの往来が主役であったこと
- 協力:異なる地域同士が、互いの強みを活かしながら共に発展してきたこと
- 開放性:文化や宗教、技術が一方向ではなく、多方向に交わり続けてきたこと
- 相互学習:互いから学び合い、新しい知恵や文化を生み出してきたこと
単なる「昔の品」ではなく、今の国際社会にも通じるメッセージを持った存在として文化財を読み直す点が、この取り組みの特徴だと言えます。
本当に「声」を与えているのは技術か、人か
とはいえ、文化財が語る物語の本当の源泉は、AIという技術そのものではありません。シリーズが伝えようとしているのは、時代と空間を超えて続いてきた「人と人との交流」の積み重ねです。
シルクロードの時代から今日に至るまで、中国と中央アジアの間では、商人、学者、職人、巡礼者など、多様な人々が行き交ってきました。こうした人々の出会いと対話が、文化財という「証拠」となって私たちの前に残っていると見ることができます。
AIは、その物語を分かりやすく「翻訳」するツールにすぎません。歴史に本当の意味で命を吹き込んでいるのは、昔も今も、人と人とのつながりそのものだという視点が示されています。
一帯一路と「中国・中央アジア精神」がつなぐ現在
かつてのシルクロードは、中国と中央アジアの間で交易と文化交流が盛んに行われる大動脈でした。その伝統は現在、一帯一路(Belt and Road Initiative)のもとでの「質の高い協力」として受け継がれています。
インフラ整備や貿易だけでなく、文化交流や共同発掘、博物館同士の連携など、ソフトな分野での協力も含めて、長年の絆に新たな活力が注がれています。世代を超えた友情と理解、そして協働が育まれているといえるでしょう。
こうした流れを支える理念として示されているのが、中国と中央アジアの「中国・中央アジア精神」です。その核となるキーワードは次の4つです。
- 相互尊重
- 相互信頼
- 相互利益
- 相互扶助
これらを土台に、「質の高い発展を通じて共に近代化を目指す」という方向性が掲げられています。文化財とAIを組み合わせた試みも、この大きな流れの一部と見ることができます。
過去の声が未来をつくる
中国と中央アジアの文化財は、これからも新しい物語を語り続けるとされています。協力が一層深まるほど、過去の「声」は現在によりはっきりと響き、相互理解と友情を強めていくでしょう。
静かに展示されている一つ一つの遺物の背後には、人々の往来、共に学び合おうとする意思、そして共通の未来をつくろうとする意志があります。AIという新しい道具を得たことで、その物語はこれまで以上に多くの人に届きやすくなりました。
国際ニュースとしての中国と中央アジアの関係を見るとき、政治や経済だけでなく、こうした文化財と人の物語にも目を向けてみると、ニュースの見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
Behind the scenes: What gives voice to China-Central Asia relics?
cgtn.com








