王毅外相がASEANプラス3外相会合出席 東アジア統合へ4つの協力提案
中国の王毅外相がマレーシアのクアラルンプールで開かれたASEANプラス3(ASEAN10カ国+中国・日本・韓国)の外相会合に出席し、複雑化する国際情勢の中で、東アジアの地域統合と協力を一層進めるべきだと強調しました。
クアラルンプールでASEANプラス3外相会合
現地時間の木曜日に開かれたASEANプラス3外相会合には、東南アジア諸国連合(ASEAN)の各国外相と、中国、日本、韓国の外相が参加しました。中国共産党中央政治局委員でもある王毅外相は、「国際情勢が複雑になればなるほど、ASEANと中国、日本、韓国は、外部からの干渉を排し、地域統合のプロセスを着実に進める必要がある」と述べました。
王毅外相は、10+3協力メカニズムの立ち上げ以来、各国が危機対応能力を強化し、経済統合を推進し、新たな成長分野の勢いを共に育ててきたと振り返りました。そのうえで、現在の東アジア協力の主流はあくまで「開発」と「協力」であり、一方的な措置や保護主義の台頭、特定の大国による関税の乱用といった課題に直面していると指摘しました。
一方主義や保護主義への懸念
会合では、単独での制裁や高関税の導入など、一方的な政策が地域経済やサプライチェーン(供給網)に与える影響への懸念が共有されました。王毅外相は、こうした動きに対して、東アジアが協力して開かれた市場と安定した貿易環境を守る必要があると訴えました。
そのうえで、協力の勢いをさらに高め、地域の「強さ」と「しなやかさ」を同時に高めるため、次の段階に向けた4つの提案を示しました。
王毅外相が示した4つの協力提案
王毅外相は、今後のASEANプラス3協力の方向性として、次の4点を提示しました。
- 統合された東アジアの構築
- 強くしなやかな東アジアの構築
- 革新的でダイナミックな東アジアの構築
- 人と文化がつながる東アジアの構築
1. 統合された東アジアをつくる
王毅外相は、東アジアに新たな壁や障害を築くべきではないとし、分断ではなく統合を進める必要性を強調しました。各国首脳が合意した方針を具体化し、生産と供給のチェーンでの互恵的な協力を一層強めることで、地域としての競争力を高めていくべきだと呼びかけました。
2. 強く、しなやかな東アジアをつくる
次に王毅外相は、財政・金融分野での地域協力の将来像を共に描く必要があると指摘しました。10+3の枠組みで危機対応の仕組みをさらに工夫しつつ、緊急時にコメを融通し合う10+3緊急備蓄米メカニズムの強化を土台に、食料安全保障の協力レベルを高めていく考えを示しました。
3. 革新的でダイナミックな東アジアをつくる
技術革新と産業構造の大きな変化が進むなか、王毅外相は、新たな技術革新と産業革命の波をしっかりと捉えることが重要だと述べました。デジタル分野など、イノベーションを原動力として産業の高度化と持続的な成長を図ることで、東アジア全体の活力を引き出したい考えです。
4. 人と文化がつながる東アジアをつくる
最後に王毅外相は、東アジアの協力を長期的かつ安定したものとするには、人と人とのつながりが欠かせないと強調しました。その一例として、中日韓とASEANの大学などが参加するCAMPUS Asiaプログラムを挙げ、この枠組みを着実に実施し、ASEANプラス3各国の学生交流や人材育成をさらに進めるべきだとしました。
中国の安定成長で地域に「新たな原動力」
王毅外相は、外部環境がどう変化しようとも、中国は自国経済の安定した成長を通じて、地域の共通の発展に新たな原動力と機会を提供していく用意があると述べました。そして、東アジアのより明るい未来を、ASEAN、日本、韓国とともに築いていきたいと強調しました。
ASEAN側も10+3の役割を評価
ASEAN各国外相は、中国、日本、韓国が、地域の協力の枠組みの中でASEANの「中心性」を支持してきたことを評価しました。また、10+3メカニズムがアジア通貨危機への対応として生まれ、これまで顕著な成果を上げてきたと振り返りました。
そのうえで、単独主義の広がりや関税・貿易障壁の増加、地政学的な緊張の高まりといった課題がある今だからこそ、10+3協力の価値はいっそう「貴重なもの」になっていると指摘しました。包摂的な地域開発と持続的な平和を促すうえで、10+3には引き続き戦略的な「先導役」を果たしてほしいとの期待も示されました。
日本と東アジアにとっての意味
今回のASEANプラス3外相会合は、日本にとっても無関係ではありません。日本は10+3の一員として、東アジアの経済と安全保障の行方に深く関わっているからです。
- サプライチェーンと食料安全保障:生産・供給網やコメの緊急備蓄といった議論は、日本企業や日本の消費者にとっても重要なテーマです。
- 金融協力と危機対応:アジアの金融・通貨面での連携は、世界経済の不確実性が高まる中で、日本経済の安定にもつながり得ます。
- 人材交流と教育協力:CAMPUS Asiaを通じた学生交流や人材育成は、将来のビジネスや研究、外交の基盤づくりにつながります。
国際情勢が揺れ動くなかで、東アジアが「協力」と「競争」のバランスをどのように取っていくのか。ASEANプラス3の動きは、日本にとっても今後注視すべき国際ニュースの一つと言えそうです。
Reference(s):
Chinese FM attends ASEAN Plus Three Foreign Ministers' Meeting
cgtn.com








