王毅外相「ロシアと戦略協調を強化」ASEANと中東で連携確認
2025年7月10日、中国の王毅外相がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とマレーシア・クアラルンプールで会談しました。中国はロシアと戦略協調を継続的に強化し、双方の安全保障と発展利益を共に守る方針を改めて示しました。
中国とロシア「戦略協調」の中身は
王毅外相は、中国とロシアの首脳が継続的に戦略的な意思疎通を行っていることを強調しました。今年6月には両国首脳が電話会談を行い、地域および国際的なホットスポット問題に関する強い立場を示したとしています。
そのうえで王毅外相は、中国とロシアが今後も戦略協調を深めることで、両国それぞれの安全保障と発展の利益を守っていくと表明しました。
東アジア協力とASEAN中心の地域秩序
中国とロシアは、東南アジア諸国連合 ASEAN の重要な対話パートナーです。王毅外相は、東アジアの協力枠組みの場で両国が戦略的な連携を強めるべきだと述べました。
- ASEANを中心とした開かれた包摂的な地域協力の枠組みを支持すること
- 東アジア首脳会議やASEAN地域フォーラムの「正しい方向性」を維持すること
- 東アジア協力メカニズムを、世界の発展をけん引する重要なエンジンかつ前向きな原動力に育てること
こうした主張には、東アジアの地域協力をASEAN中心に位置づけ、そこに中国とロシアが積極的に関与していくという考え方がにじみます。
ラブロフ外相「二国間関係の戦略的意義が浮き彫り」
ラブロフ外相は、両国首脳の戦略的な指導のもとで、中国とロシアが緊密な調整と協力を維持していると述べ、そのこと自体が現在の状況の中で二国間関係の地球規模かつ戦略的な意義を示していると評価しました。
またラブロフ外相は、中国とロシアの双方がASEANの地域協力における中心的役割を支持し、アジア太平洋の平和と安定を守ることにコミットしていると強調しました。その一方で、一部の大国が地域に分断を持ち込み、対立をあおろうとする試みに対しては警戒を怠るべきではないと指摘しました。
上海協力機構やBRICSでの連携強化
安全保障と経済の多国間枠組みでも、中国とロシアの協調は続きます。ラブロフ外相は、中国が上海協力機構の議長国を務めることを全面的に支持すると表明しました。
ロシア側は、今後のハイレベル交流や各分野での協力に向けて共同で準備を進める用意があるとし、BRICSなどの枠組みでも意思疎通と調整を強化していく考えを示しました。
イラン核問題「力ではなく対話と交渉を」
会談では、イラン核問題についても意見交換が行われました。ラブロフ外相は、ロシアの立場を詳しく説明したとされています。
これに対し王毅外相は、武力は平和をもたらさず、圧力では問題は解決しないと述べ、対話と交渉こそが根本的な道だと強調しました。中国は、イランが核兵器を追求しないとのコミットメントを重視するとともに、核兵器不拡散条約 NPT の締約国としてイランが平和目的で原子力を利用する正当な権利を尊重すると述べました。
さらに王毅外相は、中国とロシアが国連安全保障理事会の常任理事国であり、イラン核合意 いわゆる包括的共同行動計画の重要な当事者であることに言及しました。そのうえで、両国は戦略協調を強め、政治的かつ外交的な解決プロセスを前進させ、国際的な核不拡散体制を共に守り、中東の平和と安定の早期実現に貢献すべきだと述べました。
パレスチナ・イスラエル情勢なども協議
王毅外相とラブロフ外相は、パレスチナとイスラエルの対立を含む国際的・地域的な諸課題についても意見を交わしました。詳細なやり取りは明らかにされていませんが、中東情勢の安定化に向けて両国が引き続き連携していく姿勢がうかがえます。
2025年の国際秩序の中で見る中国・ロシア関係
2025年7月のクアラルンプールでの会談は、中国とロシアが東アジアから中東に至るまで、複数の地域課題をまたいで戦略協調を深めようとしていることを示しました。
- 東アジアでは、ASEANを中心とした協力枠組みを支える立場を打ち出したこと
- 中東では、イラン核問題やパレスチナ・イスラエル情勢をめぐり、対話と交渉による解決を強調したこと
- 多国間の枠組みとして、上海協力機構やBRICSなどを活用しようとしていること
こうした動きは、2025年の国際秩序の中で、中国とロシアがどのように自らの役割を位置づけているのかを読み解く手がかりになります。アジア太平洋と中東の安全保障環境を考えるうえでも、今回の会談で示されたメッセージは引き続き注目されそうです。
Reference(s):
Wang Yi: China willing to promote strategic coordination with Russia
cgtn.com








