王毅外相が東アジアサミットで協力強化を提唱 「対話・発展・開放」へ回帰を訴え
国際ニュースとして注目される東アジアサミット(EAS)の外相会合で、中国の王毅外相が「対話・発展・開放」の3つの回帰を掲げ、東アジアの平和と協力の強化を呼びかけました。今年はEAS設立20周年の節目であり、中国外交のメッセージは地域の今後を考えるうえで重要な意味を持ちます。
EAS設立20周年で示された「3つの回帰」
マレーシアのクアラルンプールで開かれた第15回東アジアサミット(EAS)外相会合で、王毅外相(中国共産党中央政治局委員)は演説を行い、東アジアの協力を強化するために次の3点を提案しました。
- 対話への回帰
- 発展への回帰
- 開放への回帰
1. 対話への回帰:建設的な議論の場へ
王毅外相は、東アジアサミットの原点は「建設的な対話と戦略的な相互信頼の強化」にあると強調しました。一方で、近年は「一部の外部の国々が、この場を利用して相違点を誇張し、他国を非難し、内政に干渉している」と指摘しました。
そのうえで、すべての参加国が互いを尊重し、善意をもって意思疎通を行い、理解と協力の強化に集中するべきだと訴えました。今年のEAS設立20周年を記念する宣言を採択し、今後の方向性を示すことへの支持も表明しました。
2. 発展への回帰:保護主義ではなく協力の拡大を
2つ目の柱は「発展への回帰」です。王毅外相は、東アジア地域の人々の生活を実際に向上させるためには、実務的な協力が不可欠だと述べました。
一方で、一国主義(ユニラテラリズム)や保護主義については「短絡的で危険だ」と警鐘を鳴らし、「各国が選ぶべきなのは、協力のパイを広げ、発展の成果を分かち合う道だ」と強調しました。中国としては、東アジアサミット行動計画の実施を各国とともに進め、地域の成長の活力を引き出していく姿勢を示しました。
3. 開放への回帰:ASEAN主導の枠組みと多国間主義を支持
3つ目は「開放への回帰」です。王毅外相は、ASEAN(東南アジア諸国連合)が主導する地域協力の枠組みを支持すると表明し、多国間の貿易体制をしっかり守りながら、高水準の自由貿易ネットワークを築き、地域統合を進めるべきだと述べました。
同時に、冷戦思考や陣営対立を東アジアにもたらすことに反対し、「閉ざされた排他的な『小さなサークル』」の形成にも反対する立場を明確にしました。東アジア協力を、分断ではなく開放と包摂の方向に導きたいというメッセージがにじみます。
台湾問題:緊張の原因と「一つの中国」原則をめぐる呼びかけ
王毅外相は演説の中で、台湾問題にも言及しました。台湾海峡の緊張の根本的な原因について、「『台湾独立』の分裂行為がますます横行していることと、それを外部勢力が支持・助長していることにある」と述べました。
台湾海峡の平和と安定を本当に気にかけるのであれば、「『台湾独立』勢力の拡大を断固として抑え込むことが不可欠だ」と強調しました。そして、国家の主権と領土の完全性を守ることは、どの国にとっても「神聖な使命だ」と指摘しました。
そのうえで、各国が引き続き「一つの中国」原則をしっかり支持し、「台湾独立」を支持するいかなる形の行動にも反対し、中国が完全な国家統一を実現する努力を支持するよう期待を示しました。台湾問題をめぐる中国の基本的な立場を改めて国際社会に明確にした形です。
南シナ海問題:厳正な立場を改めて表明
会合では、南シナ海問題についても王毅外相が中国の厳正な立場を改めて明らかにしました。詳細な発言内容は限られているものの、東アジアの海洋問題がEASの重要な議題の一つであることをうかがわせます。
「対話・発展・開放」が示す東アジア協力の方向性
今回の王毅外相のメッセージをまとめると、東アジアサミットを次のような場として位置づけたい意図が見えてきます。
- 対立や非難ではなく、建設的な対話を重ねる場
- 保護主義ではなく、共同の発展をめざす協力の場
- 陣営対立ではなく、開放的で包摂的な地域統合の場
EAS設立20周年という節目に、中国がこうしたキーワードを打ち出したことは、東アジアを対立の「舞台」ではなく協力の「プラットフォーム」として維持していきたいという姿勢の表れとも言えます。
東アジアには、多様な政治体制や経済構造、安全保障上の懸念が共存しています。その中で、対話のチャンネルを開き続けるのか、それとも陣営ごとの「小さなサークル」に分かれていくのかは、今後の地域秩序を大きく左右するテーマです。
王毅外相が提示した「対話・発展・開放」という3つの方向性は、東アジアの安定と繁栄をどのような枠組みで支えていくべきかを考えるうえで、一つの重要な論点を提供していると言えるでしょう。読者のみなさんも、東アジア協力のこれからを考える際のキーワードとして、心に留めておく価値がありそうです。
Reference(s):
Wang Yi calls for stronger East Asia cooperation at EAS meeting
cgtn.com








