中国とカナダ、55周年の節目に「共に成功するパートナー」へ
2025年、中国とカナダの国交樹立55周年と戦略的パートナーシップ20周年の節目に、両国の外相がマレーシアのクアラルンプールで会談し、関係の立て直しと協力拡大の可能性を探りました。
マレーシアで中国・カナダ外相が会談
マレーシアの首都クアラルンプールで、中国の王毅外相(中国共産党中央委員会政治局委員)と、カナダのアニタ・アナンド外相が会談しました。
王毅外相は、中国とカナダの関係がここ数年で浮き沈みを経験してきたことを認めつつ、両国の間には領土問題や地政学的な対立が存在しないと指摘しました。そのうえで、両国は「共に成功するパートナー」になり得ると強調しました。
国交樹立55周年・戦略的パートナーシップ20周年の節目
王毅外相は、2025年が中国とカナダの国交樹立55周年であり、戦略的パートナーシップ樹立20周年にも当たることに言及しました。この節目の年は、過去を振り返ると同時に未来を見据える重要な機会だと位置付けています。
そのうえで両国は、次のような方向性を確認したとされています。
- 両国指導者が達成した重要なコンセンサス(合意)を着実に実行すること
- 互いをより客観的かつ理性的な姿勢で見つめること
- より前向きで開放的な精神で協力を強化すること
王毅外相はまた、中国企業がカナダで投資や事業活動を行うにあたり、カナダ側が良好なビジネス環境を提供することへの期待も表明しました。政治的な緊張が企業活動に影響し得るなかで、ビジネス環境の安定と予見可能性を高めたいというメッセージとも読み取れます。
米国の関税政策との対比を強調
会談のなかで王毅外相は、米国の関税政策にも言及しました。米国が関税を乱用し、国際的な経済・貿易秩序を損ない、世界経済の成長を押し下げていると批判しました。とくに、小さく貧しい国々に対してさえ高い関税を課していると指摘しました。
これに対し中国は、多国間主義と自由貿易を堅持していると説明。後発開発途上国に対してゼロ関税を積極的に提供し、発展の機会を共有することで、すべての国の「共同の近代化」を後押ししていると強調しました。
国際経済秩序をめぐっては、保護主義と自由貿易、単独行動と多国間協調という対立軸が意識されがちです。王毅外相の発言は、そのなかで中国が自らを多国間主義と自由貿易の擁護者として位置付けようとする姿勢を示したものとも言えます。
国連憲章に基づく国際秩序を訴え
王毅外相は、複雑さを増す現在の国際情勢の中で、各国が守るべき原則として次の点を挙げました。
- 国連憲章に基づく国際秩序を堅持すること
- 大小にかかわらずすべての国の平等を尊重すること
- 内政不干渉の原則を尊重すること
- 国家間の平和共存を促進すること
こうしたメッセージは、中国が国際ルールを重視しつつ、対立ではなく協調を通じて関係を安定させたいという姿勢を打ち出したものと受け止められます。
カナダ側「関係を重視」、実務的な協力拡大へ
カナダのアナンド外相は、自国が中国との関係を重視していると述べました。そのうえで、中国との接触と意思疎通を維持し、「実務的で建設的」な姿勢で対話を続ける意向を示しました。
具体的には、次のような分野で交流と協力の回復を加速させたいと表明しました。
- 貿易
- 保健(ヘルス)
- 文化
政治や安全保障をめぐる緊張だけに焦点を当てるのではなく、人々の生活や経済に直結する分野で関係を立て直したいという考えがうかがえます。
なぜ今、中国とカナダの対話が注目されるのか
王毅外相自身が「アップダウン(浮き沈み)」があったと認めたように、近年の中国・カナダ関係は順風満帆ではありませんでした。それでも、領土問題や深刻な地政学的対立を抱えていないという両国の特徴は、対立よりも協調の余地が大きいことを示しています。
今回の会談は、次のような点で注目されます。
- 国交樹立55周年・戦略的パートナーシップ20周年という「節目の年」に行われたこと
- ビジネス環境の改善を通じて、企業レベルの協力拡大を図ろうとしていること
- 国連憲章や多国間主義といった原則にあらためて光を当てたこと
- カナダ側も貿易・保健・文化など実務的な協力を重視する姿勢を示したこと
相互不信が残る場面であっても、両国が「対話の窓」を開けておこうとする意思を示した点は、国際社会にとっても重要なシグナルと言えます。
読み解き:対立から「共に成功するパートナー」へ
王毅外相は、中国とカナダの間には領土問題や地政学的な対立がなく、両国は「共に成功するパートナー」になれると述べました。アナンド外相も、中国との関係を重視し、実務的・建設的な協力を拡大したいとの考えを示しています。
2025年という節目の年に、中国とカナダがどこまで信頼を回復し、具体的な協力案件を積み上げていけるのか。米国の関税政策をめぐる議論や、国際経済の不透明感が続くなかで、両国関係の行方は世界経済や国際秩序の今後を考えるうえでも注目されます。
国際ニュースをフォローする私たちにとっても、「価値観や制度の違いがあっても、どこまで対話と協力の余地を見いだせるのか」という問いを投げかける会談だったと言えるのではないでしょうか。
Reference(s):
Wang Yi: China, Canada can be partners that achieve mutual success
cgtn.com








