中国、北部ミャンマー電話詐欺グループ21人を起訴 被害総額106億元超
中国当局が、北部ミャンマーを拠点に中国の一般市民を狙って電話詐欺などを行っていた犯罪グループの中心メンバー21人を起訴しました。巨額の詐欺に加え、殺人や麻薬製造など、複数の重大犯罪が並ぶ異例のケースとなっています。
中国市民を標的とした大規模電話詐欺事件
中国の公安当局によると、今回起訴されたのは、北部ミャンマーで活動していた電話詐欺犯罪グループの「重要メンバー」21人です。起訴内容には、次のような罪が含まれています。
- 詐欺
- カジノ(賭博場)の運営
- 故意による殺人
- 麻薬の製造 など
これらの違法行為は、主に中国の一般市民を標的として行われていたとされています。
被害は3万件超、被害額は約106億元
公安当局の発表によれば、この犯罪グループは少なくとも3万1,000件を超える電話詐欺事件に関与している疑いがあり、詐欺による資金は106億元(約14億8,000万ドル)以上に達するとみられています。
さらに、このグループに関連する違法行為が原因で、中国の市民6人が死亡した疑いがあるとされています。詐欺による経済的な被害にとどまらず、人命にも深刻な影響を与えた事件として、中国国内でも重く受け止められています。
麻薬製造・密売にも関与 約11トンを押収か
当局の調べでは、このグループは電話詐欺だけでなく、麻薬の製造や密売にも関与していた疑いがあります。およそ11トンに達する麻薬の製造・取引に関与していたとされ、国際的な組織犯罪としての性格が一層明らかになっています。
北部ミャンマーに41カ所の巨大拠点
中国の公安省によると、この犯罪グループは2015年以降、北部ミャンマーに41カ所以上の大規模な「コンパウンド(囲い込み型の拠点)」を建設し、電話詐欺や違法なオンライン賭博を行っていたとされています。
これらの拠点は、中国の人々を対象に詐欺電話やネット詐欺を仕掛ける「詐欺センター」として利用されていたほか、中国から人々を違法に国境を越えて呼び込み、賭博や詐欺に関与させる役割も担っていたとされています。
武装による支配と暴力的な「取り立て」
捜査の過程で、この犯罪グループが詐欺拠点を武装勢力によって管理し、内部で暴力的な統制を行っていた実態も明らかになりました。
下部の詐欺要員に対して、暴行や虐待を加えたり、場合によっては殺害にまで至るケースもあったとされ、詐欺組織の内側でさえ深刻な人権侵害が横行していた構図が浮かび上がっています。
中国とミャンマーの合同捜査の歩み
この事件に対して、中国とミャンマーは合同で捜査と取り締まりを進めてきました。中国公安省は、2023年11月にこのグループを対象とする特別捜査チームを設置し、同年12月には公開の手配情報を出しています。
その後、2024年1月には、中国とミャンマーの法執行・安全保障協力の枠組みの下で、主犯格とされるバイ・ソウ・チェイン(Bay Saw Chain)とバイ・イン・チン(Bay Yin Chin)がミャンマーから中国側に引き渡されました。これまでに、事件に関与した重要容疑者36人が身柄を拘束されているとされています。
現地への派遣捜査と国内での大規模聞き取り
捜査の過程では、中国の警察が5回にわたり北部ミャンマーに捜査チームを派遣し、ミャンマー側の支援を受けながら重要な証拠を収集しました。また、中国国内でも1,000人を超える警察官が動員され、多数の被害者から証言や関連資料を集める作業が行われました。
5万7,000人超を摘発 犯罪組織に大打撃
中国とミャンマーの共同取り締まりの結果、電話詐欺への関与が疑われる中国の関係者5万7,000人以上が逮捕・身柄拘束されました。これにより、北部ミャンマーを拠点とする主要な犯罪グループに対して、大きな打撃が与えられたとされています。
今回の21人起訴は、その一連の捜査・摘発の中でも、特に「中核メンバー」に対する法的責任を問う重要な段階といえます。
国境を越える犯罪とどう向き合うか
この事件は、電話詐欺やオンライン賭博、麻薬犯罪など、複数の違法行為が国境を越えて結びつく現代型の組織犯罪の典型例ともいえます。特定の国の法制度だけでは対応が難しく、複数の国・地域の警察や司法当局が協力することの重要性があらためて示された形です。
また、詐欺グループが自らの拠点を武装勢力で守り、人々を暴力的に拘束しながら違法行為を続けていた実態は、「オンライン犯罪」という言葉から想像される以上に深刻な人権侵害と暴力を伴うことも浮き彫りにしています。
新たなテクノロジーや通信手段を悪用した犯罪は、今後も形を変えながら現れると考えられます。国際ニュースとしてこの事件を追うことは、単に一つの大規模摘発の話にとどまらず、私たち一人ひとりがどのように詐欺や違法なオンラインサービスから身を守るかを考えるきっかけにもなります。
Reference(s):
China prosecutes 21 key members for telecom fraud in northern Myanmar
cgtn.com








