国際ニュース:中国が「グリーンでスマートで開かれた海運」新提案 海洋経済10兆元の背景
中国が海運分野で「グリーンでスマートで開かれた海運」を掲げた新提案を公表しました。世界最大級の貿易大国が海上輸送の脱炭素化と高度化を打ち出した意味を、コンパクトに整理します。
20回目の全国海の日に合わせた新提案
中国は、20回目の全国海の日を記念する金曜日に、海上輸送の今後の方向性を示す新たな提案を発表しました。この提案は、海運をよりグリーンに、よりスマートに、そしてより開かれたものへと転換していく重要性を強調しています。
国際ニュースとしても、この動きは世界の物流と海洋環境の両方に関わるテーマであり、海運に大きく依存する各国にとっても無視できない内容です。
世界最大級の貿易大国としての海運依存
提案の背景には、中国経済と海運の強い結びつきがあります。中国の交通運輸当局によると、中国は世界最大の貨物貿易国であり、第2の経済大国でもあります。そして輸出入貨物のおよそ95%を海上輸送に依存しています。
中国の海運ネットワークは、主要な国と地域を幅広く結んでおり、次のような分野で世界をリードしているとされています。
- 港湾の取り扱い能力
- 船隊の規模
- 造船量
- 海洋関連産業の規模
海運インフラと関連産業の規模が大きいからこそ、その方向性の変化は国際的な物流や環境対策にも波及しやすいと言えます。
2024年、海洋経済は初の10兆元超え
昨年2024年には、中国の海洋経済の総額が初めて10兆元(約1.4兆ドル)を超えました。海洋経済とは、港湾運営や海上輸送、造船、海洋資源の利用など、海に関連する幅広い産業を含む経済分野です。
10兆元を超える規模に達したことで、中国にとって海は単なる輸送ルートではなく、経済成長と産業発展の中核的な舞台になっていることが改めて浮き彫りになっています。その海洋経済を今後どう「グリーン化」していくのかが、今回の提案の大きな焦点です。
提案の柱:グリーン港・グリーン船舶・グリーン航路
今回の提案は、海運を低炭素化するために、産業全体のグリーン転換を加速させる方向性を明確に示しています。具体的には、次の三つの分野を総合的に前進させるとしています。
- グリーン港:環境負荷の小さい港湾運営や設備の導入
- グリーン船舶:より環境性能の高い船舶への更新・導入
- グリーン航路:効率的な航路設計や運航で排出を抑える取り組み
提案では、クリーンで低炭素、安全かつ効率的なエネルギー供給システムの構築が不可欠だとしたうえで、クリーンエネルギーの利用を積極的に推進し、同時に海洋の生態系保護も強化していく必要があると強調しています。
クリーンエネルギーと海洋生態系保護を両立へ
海運のグリーン化は、単に燃料を切り替えるだけではありません。提案が示すように、エネルギー供給システム全体をクリーンで低炭素なものへと再設計しつつ、海洋生態系の保護も並行して進める必要があります。
例えば、次のような観点が重視されていることが読み取れます。
- エネルギーの安定供給と安全性を保ちつつ、排出削減を追求すること
- 燃料のクリーン化だけでなく、港湾設備や物流プロセス全体の効率化を図ること
- 海洋の生物多様性や生態系への影響を抑えること
こうした考え方は、環境と経済の両立をめざす「グリーン成長」の一つのモデルとしても注目されます。
最近のグリーン海運の成果と今後の視点
中国側は、グリーン海運分野での最近の成果が、今回の提案に込めたコミットメントを裏付けているとしています。これまでの取り組みの積み上げを踏まえたうえで、今後さらに制度面や技術面の整備を進めていく流れが想定されます。
世界全体で見ると、海運は国際貿易の大部分を担う「見えにくいインフラ」です。その脱炭素化が進めば、温室効果ガス排出の削減や海洋汚染の抑制につながる可能性があります。一方で、新しい環境基準や設備投資は、業界のコスト構造や競争環境にも影響を与えます。
日本やアジアの読者にとっての意味
日本を含むアジア各国にとっても、中国の海運政策の変化は無縁ではありません。中国の港湾や航路は、地域の物流ネットワークの重要な一部を構成しており、環境基準や運航のルールが変われば、企業のサプライチェーンや物流コストの在り方にも影響し得ます。
今回の提案は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 海運のグリーン化を進めながら、どのように国際的な協調とルールづくりを図っていくのか
- 経済成長と海洋環境保護をどのようなバランスで両立させるのか
- アジア全体として、どのような技術協力や制度整備が可能なのか
「グリーンでスマートで開かれた海運」という方向性は、単に一国の政策ではなく、国際社会全体がどのような海洋の未来を選ぶのかというテーマとも重なります。今後の具体的な施策や各国との連携の動きが、次の注目ポイントになりそうです。
Reference(s):
China releases proposal for green, smart and open maritime shipping
cgtn.com








