習近平国家主席、中国映画界に「時代精神」を映す作品制作を呼びかけ
中国の習近平国家主席が、中国映画界に対し「時代精神」を映し出し、人民の願いを表現する質の高い作品づくりを呼びかけました。ベテラン映画人への書簡をきっかけに示されたこのメッセージは、2025年の中国の文化政策を読むうえで重要なシグナルと言えます。
ベテラン映画人への返信から始まった呼びかけ
習近平国家主席は最近、中国映画界の8人のベテラン映画人から届いた手紙に返信しました。その中には、97歳の著名な女優・田華(ティエン・ホワ)さんも含まれていました。
返信の中で習氏は、彼らが出演してきた数々の名作映画に触れ、多くの人々に知られ、長く愛されてきたと評価しました。そのうえで、長年にわたり中国映画を支えてきたベテランたちに対し、今後も徳を重んじ、芸を磨き続ける模範であってほしいと期待を示しました。
キーワードは「時代精神」と「人民の願い」
今回のメッセージで特に強調されたのが、「時代精神を体現し、人民の願いを表現する映画作品」という方向性です。
- 現代の社会や価値観の変化を捉えた物語を描くこと
- 人々の日常や感情、希望や不安を真摯に映し出すこと
- 単なる娯楽にとどまらず、観客の心に長く残る作品を目指すこと
映画は多くの人が共有する物語です。その物語を通じて、いまの社会がどこへ向かおうとしているのか、どのような未来を望んでいるのかを示したい、という意図が読み取れます。
徳と芸を両立させるロールモデル像
習氏は、ベテラン映画人に対し、徳を守り芸を磨く姿勢を保ち続けてほしいと呼びかけています。これは、技術だけでなく、人としてのあり方も含めて次の世代の手本になってほしいというメッセージでもあります。
- 社会に対する責任感を持ち、慎重にテーマを選ぶこと
- 若いクリエイターや俳優を支え、経験を伝えていくこと
- 名声よりも作品の中身や影響を重視する姿勢を持つこと
こうした姿勢が、映画界全体の水準を底上げしていくという考え方が背景にあるといえます。
「文化的自信」と「リアルな生活」へのまなざし
返信の中で習氏は、映画界全体に向けてもメッセージを送りました。文化的自信を強め、現実の生活に深く根ざし、芸術の繁栄と文化強国づくりに新たな貢献をすることが求められています。
- 自国の歴史や文化、価値観に誇りを持つこと
- 市井の人々の視点を重視し、現実から遊離しない物語を紡ぐこと
- 映画を通じて文化の力を高めること
映画人が日々の生活に根ざした視点を持つことで、観客が自分の経験と重ね合わせられる作品が生まれやすくなります。そうした作品は、国内だけでなく海外の観客にも、社会の姿や人々の思いを伝える窓口となります。
日本の読者が押さえておきたい視点
今回のニュースは、中国の映画政策や文化政策の流れを知るうえで、いくつかのヒントを与えてくれます。
- 映画は単なるエンターテインメントではなく、「時代」と「人民」を映す重要なメディアとして位置づけられていること
- ベテラン映画人の役割が、作品づくりだけでなく、次世代への教育や価値観の継承に広がっていること
- 文化強国を掲げる中で、映画産業がその一翼を担うことを期待されていること
2025年のいま、日本でも中国映画を観る機会は少しずつ増えています。スクリーンの向こう側にあるのは、エンターテインメント作品であると同時に、どのような時代精神を描こうとしているのかというメッセージでもあります。今回の動きを念頭に置きながら中国映画を観てみると、新たな読み解き方が見えてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








