習近平主席への手紙と一枚の切符 ケニア人留学生が語った一帯一路の物語 video poster
国際ニュースの現場は、ときに大きな数字や会議名ではなく、一通の手紙や一枚の切符から見えてくることがあります。約2年前、一帯一路(ベルト・アンド・ロード)構想の10周年を機に、ケニア人留学生たちが習近平国家主席に送った手紙と、その裏側の物語が、改めて注目を集めています。
一帯一路10周年に送られた、ケニア人留学生からの手紙
約2年前、一帯一路10周年を記念して、ケニア出身の留学生およそ40人が、習近平国家主席に連名で手紙を書きました。一帯一路はインフラや貿易だけでなく、教育や人的交流を通じて各国をつなぐ取り組みとして位置づけられていますが、この手紙は、そうした交流の「現場」から届けられた声でした。
留学生たちは、中国での学びや生活、一帯一路を通じて自国と中国の関係がどのように変化しているかについて、自分たちの目線でつづったとされています。経済規模や投資額とは違う、若者ならではの率直な実感が込められたメッセージだったと考えられます。
切符を同封したジャムリック・カリウキさんの「物語」
その手紙の中で、北京交通大学(Beijing Jiaotong University)に在籍するケニア人留学生ジャムリック・カリウキさんは、一枚の鉄道の切符を同封しました。切符は、彼自身が体験した鉄道の旅や、一帯一路を通じて広がる交通ネットワークを象徴するものだったとみられます。
切符という小さな紙片には、次のような意味が込められているように読めます。
- 中国とアフリカを結ぶインフラが、日常の移動や学びの機会を変えていること
- 教室の中だけでなく、実際の旅を通して「つながり」を肌で感じていること
- 数字では表せない、一人ひとりの経験や希望があること
カリウキさんにとって、その切符は単なる記念ではなく、自分の物語を習近平主席に届けるための、具体的で身近な「証拠」だったのかもしれません。
グローバル文明対話閣僚会合で紹介されたストーリー
こうした背景は、最近開かれたグローバル文明対話閣僚会合(Ministerial Meeting on the Global Civilization Dialogue)の開幕セッションに設けられた「Story Sharing(物語の共有)」のコーナーで紹介されました。
カリウキさんはこの場で、手紙を書いた経緯や、切符を同封した理由について語りました。各国の代表が集まる国際会合の場で、一人の留学生の体験が取り上げられたことは、文明間の対話や相互理解が、政府レベルの議論だけでなく、市民レベルの交流にも根ざしていることを強く印象づけます。
若者がつなぐ中国とアフリカの距離
一帯一路や国際協力というと、大型プロジェクトや巨額の投資が注目されがちです。しかし、ケニア人留学生たちの手紙から浮かび上がるのは、次のような「人」の姿です。
- 留学や研修を通じて新しい技術や知識を学ぶ若者
- 言語や文化の違いを超えて友人やネットワークを築く学生たち
- 自国の発展にどのように貢献できるかを模索する次世代の担い手
こうした一人ひとりの経験が積み重なることで、中国とアフリカの距離は、地図の上だけでなく、心理的にも縮まっていきます。教育交流は、そのプロセスを支える重要な柱のひとつです。
切符が問いかける「これから」の一帯一路
一枚の切符には、「どこからどこへ向かうのか」という情報が印字されています。同じように、一帯一路のこれからを考えるうえでも、「どのような未来に向かうのか」という視点が欠かせません。
カリウキさんの物語は、一帯一路をめぐる議論に次のような問いを投げかけています。
- インフラや貿易の数字だけでなく、人々の生活や学びにどんな変化が起きているのか
- 若い世代が一帯一路をどう受け止め、自国の未来と結びつけているのか
- 国際協力のプロジェクトを、参加する人々が主体的に語り直す余地はどれくらいあるのか
ニュースを自分ごととして読むために
今回のエピソードは、「一帯一路」「文明間対話」といった大きなテーマを、私たちが自分ごととして考えるヒントを与えてくれます。遠い国のニュースのように感じても、そこには同じ時代を生きる学生や若者たちの選択や希望があります。
スマートフォンで国際ニュースを追う私たちにできるのは、プロジェクトの規模だけでなく、その裏側にあるストーリーにも目を向けることです。一通の手紙と一枚の切符から始まる物語をどう受け止めるか。それが、これからの世界との向き合い方を静かに問いかけています。
Reference(s):
cgtn.com








