中国の王毅外相、ASEAN地域フォーラム外相会合で「対話の安全保障」を提唱
アジア太平洋の安全保障環境が揺れる中、中国の王毅国務委員兼外交部長が第32回ASEAN地域フォーラム(ARF)外相会合に出席し、「対話と協力」を軸にした安全保障ビジョンを示しました。本記事では、その発言内容と意味を日本語でわかりやすく整理します。
第32回ARF外相会合に中国の王毅外相が出席
最近行われた第32回ASEAN地域フォーラム(ARF)外相会合に、中国の王毅国務委員兼外交部長(中国共産党中央委員会政治局委員)が出席しました。ARFは、アジア太平洋地域の外相らが集まり、安全保障と政治問題を協議する重要な多国間の場です。
王毅氏は、アジア太平洋の発展は「平和で安定した環境」に支えられてきたと述べ、この環境は大切に守られるべきだと強調しました。
ARFの役割を強化し「信頼醸成」を
王毅氏は、ARFが地域の平和と安定を維持する上で重要な役割を担っていると評価し、その機能強化を支持しました。具体的には次のような方向性を歓迎すると述べました。
- ARFの役割を一層強化すること
- 参加国同士の「信頼醸成措置」を拡充すること
信頼醸成措置とは、軍事情報の透明化や対話の仕組みづくりなど、誤解や偶発的な衝突を防ぐための取り組みを指します。王毅氏は、こうした措置を通じて地域の安定を高めるべきだと訴えました。
中国が示した3つの安全保障ビジョン
会合で王毅氏は、アジア太平洋の安定した発展を維持するために、中国として次のような安全保障ビジョンを提示しました。
- 共通・包括的・協調的・持続可能な安全保障の構想
- バランスが取れ、効果的で、持続可能な安全保障の枠組み
- 「違いを認めつつ共通点を追求する」アジア型安全保障モデル
このアジア型モデルでは、各国が立場や制度の違いを抱えたままでも、対話と協力を通じて安定をつくることが重視されています。
対立より対話、同盟よりパートナーシップ
王毅氏は、「ゼロサムゲーム(勝者総取り)の発想で分断や対立をつくることは、安全保障の目的に反する」と指摘しました。そのうえで、次のような安全保障の方向性を提案しました。
- 対話ではなく対立を選ぶのではなく、「対話を通じた安全保障」
- 軍事同盟よりも、「パートナーシップ(協力関係)」を重視
- 一方の勝利と他方の損失ではなく、「ウィンウィン(双方に利益)」を目指す
また、紛争や戦争の「症状」だけでなく、その「根本原因」にも向き合う必要があるとし、予防的な外交の重要性にも言及しました。
「東洋の知恵」とバンドン精神への言及
王毅氏は、アジアには「調和」と「共存」を重んじる東洋の知恵があると述べ、その一例として「バンドン精神」に触れました。バンドン精神とは、各国の主権尊重、平和共存、互いの内政不干渉などを重視する考え方とされています。
王毅氏は、関係国すべての正当な安全保障上の懸念がきちんと考慮されるべきだと強調し、対話と協議を通じて違いを埋めていくことを提案しました。
中国と地域諸国の「対話外交」をどう活かすか
中国は、ARFの枠組みの中で、地域諸国と共に対話と協議を進め、信頼醸成や予防外交をさまざまな分野で強化していく用意があると表明しました。
アジア太平洋の安全保障環境が複雑さを増す中で、今回の発言は、
- 多国間の安全保障対話をどう設計するか
- 対立を管理し、エスカレーションを防ぐには何が必要か
- 日本を含む地域の国々が、どのような形で対話の場に関わるのか
といった問いを投げかけています。短いニュースとして読むだけでなく、アジア太平洋の将来を考える素材としても、押さえておきたい動きです。
Reference(s):
Chinese FM attends ASEAN Regional Forum Foreign Ministers' Meeting
cgtn.com








