中国の科学者がヤクのクローンに成功 高地畜産と生態系に広がる可能性
中国南西部の西蔵自治区で、中国の研究チームがヤクのクローンづくりに成功しました。高地に暮らす人々の生活を支える家畜をめぐり、バイオテクノロジーが新たな段階に入ろうとしています。
木曜日、西蔵の牧場でクローンヤクが誕生
研究者によると、クローンヤクは西蔵自治区ダムシュン県のヤク繁殖基地で、木曜日に帝王切開で生まれました。体重は33.5キロと、通常のヤクの子牛よりもやや重めで、全身が黒い毛に覆われているといいます。
生まれて間もなく自力で立ち上がり、健康状態も良好だと報告されています。
プロジェクトは2023年から、産学官の共同で
このクローンヤクのプロジェクトは、2023年7月に始まりました。参加しているのは、東部の浙江大学の研究チーム、中国南西部の西蔵自治区ダムシュン県の地方政府、そして西蔵高原生物研究所です。
大学と研究機関、地方政府が組むことで、高度な生命科学の知見を実際の高地畜産に生かす狙いがあります。
どんなクローン技術が使われたのか
研究チームは、次の2つの技術を組み合わせてクローンヤクを誕生させたと説明しています。
- 全ゲノム選抜:動物の遺伝情報(ゲノム)を網羅的に解析し、望ましい性質を持つ個体を選び出す方法
- 体細胞クローン:成体の細胞の核を利用して、新しい個体をつくり出すクローン技術
まず、優れた体格や順応性などを持つヤクを全ゲノム選抜で選び、その個体の体細胞をもとにクローン胚を作製したとみられます。こうした手法により、次世代に引き継ぎたい形質を、より確実に残せるようになります。
なぜヤクのクローンが重要なのか
ヤクは、青海-西蔵高原に固有の家畜で、過酷な高地環境に適応してきました。研究者らは、ヤクが次のような役割を担っていると指摘しています。
- 牧畜民の生活の柱となる家畜(肉や乳、毛皮など)
- 荷物運搬など、高地での移動手段
- 草地の植生や栄養循環を支える生態系の一部
気候変動や環境変化が進むなか、高地に適した家畜の安定した供給は、地域社会の生活と生態系を守るうえでますます重要になっています。そのため、ヤクの品種改良や繁殖効率の向上は、高地の持続可能な発展と直結する課題です。
高地畜産の「設計図」をつくる試み
浙江大学の研究チームを率いるFang Shengguo氏は、クローン技術がヤクの品種改良と、西蔵における高地家畜の育種システム構築に重要な役割を果たすと述べています。
クローン技術を組み合わせることで、
- 高地に強い体質や、病気への抵抗性を持つヤクを効率的に増やせる
- 優良な遺伝的特性を安定的に維持できる
- 家畜の群れ全体として、生産性と環境適応力を高めやすくなる
といった効果が期待されています。これは、単に「同じ個体をコピーする」だけでなく、高地畜産の「設計図」を科学的に描き直す試みとも言えます。
クローン研究が投げかける問い
一方で、家畜のクローン技術には、倫理や安全性をめぐる議論も付きまといます。たとえば、
- 遺伝的多様性が損なわれないよう、どの程度クローンに依存すべきか
- 消費者がクローン由来の家畜やその製品をどう受け止めるのか
- 生態系への影響をどう評価し、長期的にモニタリングしていくのか
といった論点です。今回のクローンヤクは研究段階の成果ですが、今後もし実用化が進むなら、科学者だけでなく、地域の人々や消費者も交えた対話が重要になっていきます。
国際ニュースとしての意味
中国の研究チームによるクローンヤクの誕生は、バイオテクノロジーと気候変動、高地の食料安全保障が交差するニュースです。高地に暮らす人々の生活を守りつつ、生態系への負荷を抑えるために、どのように科学技術を使っていくのか——。
今回の動きは、日本を含む他地域の畜産や農業政策を考えるうえでも、参考になる点が多い事例と言えそうです。今後、クローンヤクの成長や次の世代づくりがどこまで進むのか、引き続き注目されます。
Reference(s):
cgtn.com








