南シナ海仲裁を巡る中国の立場 王毅外相がASEAN会合で詳細説明
南シナ海仲裁を巡る中国の立場 王毅外相がASEAN会合で詳細説明
南シナ海を巡る仲裁案件について、中国の王毅外相がASEANプラス外相会合の場で中国の法的立場を改めて説明しました。仲裁の前提条件や国際法の解釈を巡る中国側の論点が、改めて整理される形となりました。
王毅外相「仲裁には前提条件と同意が欠如」
中国の王毅外相(共産党中央政治局委員)は、フィリピンが一方的に提起した南シナ海仲裁案件について、「必要な事前協議が行われず、仲裁の大前提である国家の同意という原則を満たしていない」と指摘しました。そのため、この仲裁は「最初から進行する法的根拠を欠いていた」との見方を示しました。
また、この動きは、南シナ海の関係国が署名した「南シナ海における関係各国の行動宣言(DOC)」にも反すると述べました。DOCは、紛争は直接の当事者同士が友好的な協議を通じて平和的に解決するべきだと定めています。王毅外相は、フィリピンが中国との二国間合意で行ってきた約束にも背き、国際法上の「禁反言(エストッペル)の原則」にも反していると批判しました。
争点は南沙諸島の主権と海洋境界画定
王毅外相は、仲裁がさまざまな形式をとりながらも、その本質は「中国の南沙諸島に対する領土主権」と「海洋境界画定」を巡る問題だと強調しました。領土問題は、そもそも国連海洋法条約(UNCLOS)の適用範囲外であり、中国は2006年の宣言で、UNCLOSが認める選択的除外規定に基づき、海洋境界画定を強制的な仲裁から除外しています。
王毅外相によると、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国のうち、UNCLOSに参加していないのは米国だけであり、中国を含む他の4カ国はいずれも同様の除外宣言を行っています。それにもかかわらず、仲裁裁判所は自らの権限を逸脱し、UNCLOSの紛争解決制度を乱用したとし、「国際海洋秩序の法の支配を損ない、むしろ条約そのものに反する行為だ」と批判しました。
太平島を「岩」とした判断への反論
王毅外相は、仲裁判断の中でも特に、南沙諸島で最大の地物である太平島の扱いに重大な事実誤認と法的誤りがあると指摘しました。面積50万平方メートルを超える太平島を仲裁裁判所が「島」ではなく「岩」と分類し、その結果、南沙諸島のいかなる地物も排他的経済水域(EEZ)や大陸棚を生み出さないと結論づけたことは、「現地の事実ともUNCLOSの規定とも矛盾する」と述べました。
さらに王毅外相は、「もしこの基準を世界全体に適用すれば、既存の海洋秩序は根本から変えられてしまう」と警鐘を鳴らしました。その上で、米国や日本なども同じ論理に従い、自らの海洋権益の主張を放棄する用意があるのかという疑問を投げかけました。
「域外勢力の操作」と南シナ海の安定
王毅外相は、仲裁案件とその後の世論の盛り上がりについて、「域外の勢力によって仕組まれ、操作されたものだ」との認識を示しました。その目的は「南シナ海の平和をかき乱し、自らの利益を図ることにある」とし、こうした性格について「世界のより多くの国々が見抜きつつある」と述べました。
そのうえで、中国の立場は「国際法の原則とUNCLOSの権威を守ることにこそある」と強調しました。中国とASEAN諸国の共同の努力により、現在、南シナ海の情勢は安定しており、航行の自由と上空飛行の自由も「しっかりと守られている」と評価しました。
行動規範づくりと今後の焦点
王毅外相は、中国がASEAN各国との間で南シナ海行動規範(Code of Conduct)に関する協議を加速していると紹介しました。地域における平和・協力・友好の新たな物語をともに紡ぐことを目指しているとし、「問題をかき立てたり、対立をあおったりするいかなる試みも失敗に終わる」と述べました。
南シナ海を巡る法的・外交的なせめぎ合いは、今も国際ニュースの重要なテーマであり続けています。今回の王毅外相の発言は、中国がUNCLOSの枠組みの中で自国の立場をどのように整理し、ASEANとの協調を通じて地域の安定を模索しているのかを示すものだと言えます。読者としても、次のポイントを意識しながら、今後の南シナ海情勢を追っていくことが求められそうです。
- 国際仲裁と「国家の同意」の関係
- 地域の当事者間協議と域外勢力の役割
- 海洋秩序と国際ルールのバランス
Reference(s):
Wang Yi expounds China's position on South China Sea arbitration case
cgtn.com








