中国本土を襲った記録的猛暑:都市インフラと市民の熱波サバイバル術
2025年のこの夏、中国本土は記録的な猛暑に見舞われました。北部と南部の広い範囲で気温と湿度が一気に高まり、これまでの「夏」の常識が揺さぶられています。都市インフラから私たちの暮らし方まで、どのような変化が起きているのでしょうか。
記録的猛暑、「サウナの夏」が到来
7月の初めから、中国本土の北部と南部はともに強い熱波に覆われました。山東省、江蘇省、安徽省などにある24の観測所では、7月としては観測史上最高の気温が記録されています。ふだんは比較的涼しいとされる東北部の地域でも、厳しい暑さとなりました。
長く続く暑さに加え、非常に高い湿度が重なったことで、SNS上では「サウナ天気」が例年より早くやってきた、という声が多く聞かれました。要因の一つとして、副熱帯高気圧が例年より早く北側へ張り出したことが挙げられています。
変わる都市インフラ:エアコンから地下空間まで
今回の熱波は、沿岸部や北部の都市に新たな課題を投げかけました。これまで夏でもエアコンがそれほど普及していなかった地域でも、学生寮や教室などの公共空間に空調設備を整えるべきかどうか、インフラを見直す必要に直面しています。
公共のクーリングスペースという発想
こうした中、いくつかの都市は「暑さから逃げ込める場所」を市民に提供し始めています。武漢では、地下の地下鉄駅をすべて住民や観光客に開放し、おおむね27度前後に保たれた空間を避暑場所として利用できるようにしました。
重慶、南昌、杭州、深圳など他の都市も、地下鉄網や防空壕、さらにはホテルなどの既存施設を活用して、クーリングスペースを設けています。個人のエアコン頼みではなく、都市全体で暑さをしのぐ仕組みを整えようとする試みと言えます。
屋外労働者を守る新しい基準が必要に
今回のような極端な暑さは、建設作業員や清掃員、宅配の配達員など、屋外で働く人たちの安全にも直結します。これまでは気温だけが目安にされることが多かったのに対し、今後は湿度も含めた新しい基準づくりが課題になっています。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体の熱が逃げにくくなります。その結果、熱中症のリスクが大幅に高まります。作業時間の調整、こまめな休憩や給水、日陰での待機場所の確保など、働き方そのものを見直すことが求められています。
市民ができる熱中症対策:ポイント整理
厳しい暑さのなかで、日常生活を少し工夫するだけでも、熱中症のリスクを減らすことができます。中国本土の人びとが実践している基本的なポイントは、日本に住む私たちにとっても参考になります。
- こまめな水分補給:こまめに水を飲み、甘い清涼飲料やアルコールは控えめにします。
- 直射日光を避ける:日差しの強い時間帯の外出をなるべく避け、外出時は日陰を選んで歩きます。
- 服装を工夫する:明るい色の、ゆったりとした通気性の良い服を選び、つばの広い帽子やサングラスで直射日光をさえぎります。
- 自宅を涼しく保つ:エアコンがない場合は、日中はカーテンやブラインドを閉めて室内に熱を入れないようにし、夜は気温が下がったタイミングで窓を開けて風を通します。冷たいシャワーやぬるめの入浴も体温を下げる助けになります。
- 体のサインに敏感になる:めまい、吐き気、急に汗が出なくなるなどの症状が出たら、すぐに涼しい場所へ移動して休み、症状が続く場合は医療機関を受診します。
- 周りの人に気を配る:高齢者や子ども、持病のある人など、暑さに弱い人の様子をこまめに確認し、必要に応じて声をかけます。
極端な夏とどう付き合うか
「サウナのような夏」が話題となった2025年の中国本土の猛暑は、今後の夏のあり方を考え直すきっかけにもなりました。都市レベルでの対策と、市民一人ひとりの工夫が組み合わさることで、厳しい暑さのなかでも日常生活を守ることができます。
極端な気象が珍しい例外ではなく、日常の一部になりつつあるとすれば、暑さと向き合う知恵はこれまで以上に重要になります。中国本土で始まっている試みは、アジア各地の都市にとっても、多くの示唆を与えてくれそうです。
Reference(s):
China's scorching summer: How a nation adapts to unprecedented heat
cgtn.com








