中英金融教育シンポジウム開催 中国大使が多国間主義と協力強化を訴え
ロンドンで2025年7月10日に開かれた「Sino-UK Financial Education Symposium(中英金融教育シンポジウム)」は、中国と英国の金融・教育協力、そして多国間主義をめぐる議論を映し出す国際ニュースとして注目されています。本記事では、その内容を日本語でコンパクトに整理し、日本の読者が押さえておきたいポイントを紹介します。
ロンドンで開かれた「中英金融教育シンポジウム」
7月10日、ロンドンで開かれた中英金融教育シンポジウムの開会式には、駐英国中国大使のZheng Zeguang氏が出席し、あいさつを行いました。
同席したのは、西帰留学人員聯誼会(Western Returned Scholars Association、WRSA)の事務総長であるLi Min氏、Asia HouseのCEOであるMichael Lawrence氏、Asia House理事でHSBCパブリック・アフェアーズ部門の責任者を務めるサー・David Quarry氏らです。
中国と英国の金融、教育、シンクタンク分野から多くの関係者が参加し、開会式後の討議にも加わりました。
揺らぐ世界経済と多国間主義へのメッセージ
中国大使館が発表した声明によると、Zheng大使は、世界経済が不安定性と不確実性を増していると指摘しました。そのうえで、米国が始めた関税戦争や貿易戦争が、世界貿易機関(WTO)のルールと多角的貿易体制を大きく損ない、世界の産業・サプライチェーンの安全と安定を乱し、各国の利益と世界経済を損なっていると述べました。
また今年が、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80周年にあたる節目の年であることにも触れました。その歴史的背景を踏まえつつ、大使は国際社会に対し、
- 団結と協力を一層強化すること
- 真の多国間主義を堅持すること
- 一方主義や保護主義に反対すること
を呼びかけました。そのうえで、WTOを中核とする多角的貿易体制と、国連を中核とする国際システムを守ることの重要性を強調しました。
中国経済の底力と第14次5カ年計画
Zheng大使は、外部環境が厳しく複雑さを増す中でも、中国は「高品質な発展」の路線を維持していると説明しました。中国経済は依然として強い回復力と前向きなモメンタムを示しており、今年は第14次5カ年計画の最終年にあたると述べました。
この発言には、長期的な政策枠組みのもとで経済運営を続けつつ、外部の不確実性に左右されにくい構造を目指すという意図がにじみます。
金融と教育で広がる中英協力
Zheng大使は、金融と教育の分野で中国と英国が持つ協力のポテンシャルは大きいと指摘しました。声明によると、両国の貿易額はここ数年、1,100億ポンドを上回る水準を維持しており、双方向の投資ストックも1,300億ポンドを超えています。
特にグリーン金融の分野では協力が加速しており、今年4月には、中国政府がロンドン証券取引所で60億元規模のグリーン国債を発行しました。気候変動対策と金融市場を結びつける取り組みとして位置づけられます。
教育分野の協力も、二国間関係を支える推進力になっていると強調されました。中国大使館によれば、現在英国には20万人を超える中国からの留学生がおり、中国は英国にとって最大の留学生送り出し国となっています。
一方で、2013年から2024年の間に、最長・最短さまざまな形で中国で学んだ英国の学生は、最大で5万人に上りました。さらに最近では、英国の62校から約1,200人の中等教育段階の学生が、中国での交流プログラムに参加しています。中国側は、こうした英国の学生による短期・長期の訪問や研修の受け入れを今後も歓迎するとしています。
- 英国で学ぶ中国からの留学生:20万人超
- 2013〜2024年に中国で学んだ英国の学生:最大5万人
- 最近の中等教育交流プログラム:英国62校から約1,200人が中国を訪問
「相互尊重」と「協力」による環境づくり
Zheng大使は、中国と英国が両国首脳の間で得られた重要な共通認識を着実に実行すべきだと述べました。そのうえで、
- 相互尊重
- 開放性と包摂性
- 協力へのフォーカス
をキーワードとして掲げ、不要な雑音を取り除きながら、金融や教育をはじめとする幅広い分野での協力拡大にふさわしい環境づくりを進める必要があると訴えました。
中国大使館は声明の中で、中国と英国のあらゆる分野の有識者や関係者が今後も二国間の交流と協力を支持し、積極的に参加することへの期待を表明しました。新たな協力モデルを生み出し、新しい成果を積み重ねることで、両国の人びとにより大きな利益をもたらしたいというメッセージです。
日本の読者が注目したいポイント
今回の中英金融教育シンポジウムは、日本にとってもいくつかの示唆を含んでいます。
- 不確実性が高まる世界経済の中で、多国間主義や国際ルールをめぐる議論が、具体的な外交の場でどう語られているかを知る手がかりになること。
- 大学生だけでなく高校生レベルの交流まで含め、人の往来が二国間関係の土台を形づくっていること。
- グリーン国債の発行など、金融市場が気候変動対策や持続可能な成長と結びつきつつあること。
2025年という節目の年に、中国と英国が金融と教育を軸にどのような協力の枠組みを築いていくのかは、国際ニュースとして今後も注視されるテーマと言えます。
Reference(s):
China Ambassador to UK attends Sino-UK Financial Education Symposium
cgtn.com








