中国とオーストラリアが経済協力を深化へ 李強首相とアルバニージー首相が会談
北京で開かれた第10回中豪首脳会議で、中国の李強首相とオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が会談し、経済や人の往来など幅広い分野で協力を一段と深める方針を確認しました。2025年の不透明な世界経済の中で、中豪関係がどのような役割を果たすのかが注目されています。
第10回中豪首脳会議 「より高い次元の相互利益」めざす
火曜日に北京で行われた第10回中国・オーストラリア年次首脳会議で、李強首相は、中国はオーストラリアと協力して、二国間協力をさらに深化・拡大し、「より高いレベルの相互利益」を実現したいと述べました。両国の人々の利益にいっそう資する関係をめざす姿勢を明確にした形です。
李首相は、世界経済の不安定さと不確実性が高まる中で、各国が新たな発展の課題に直面していると指摘。そのうえで、主要な経済・貿易パートナー同士である中国とオーストラリアにとって、交流と協力を強化する意義はこれまで以上に大きくなっていると強調しました。
補完性の高い両国経済 重点分野はエネルギーからグリーンまで
李首相は、中国経済とオーストラリア経済は高い補完性を持ち、協力の余地は大きいと述べました。具体的には、次のような分野が挙げられています。
- エネルギー・資源分野
- 農産物貿易
- グリーン開発(環境に配慮した成長)
- 科学技術・イノベーション
中国側は、既存のさまざまな対話メカニズムを十分に活用し、分野横断的な協力の「設計図」を強化する考えも示しました。共有できる利益や、新たな経済成長の原動力をともに探り、二国間の経済・貿易協力が持つ潜在力を引き出したい考えです。
中国企業への公平な環境を要請 人文交流も拡大へ
李首相は、オーストラリアで事業を行う中国企業に対し、公平で開かれ、差別のないビジネス環境を提供してほしいと要請しました。投資先としての予見可能性や安定性が重視されていることがうかがえます。
その一方で、中国側は文化、教育、観光、地域間協力といった分野での交流を「力強く支援する」姿勢も示しました。ビザ手続きなどを含む「人の往来」の円滑化も進め、相互理解を深めていく方針です。
多国間主義と自由貿易での連携強調 アジア太平洋へのメッセージ
李首相は、中国とオーストラリアはともに、多国間主義(多国間協調)と自由貿易の提唱者であり、またその恩恵を受けてきた国だと位置づけました。両国はアジア太平洋地域での協力を積極的に推進してきたという認識も共有しました。
中国側は、世界貿易機関(WTO)を中心とする「ルールに基づく多国間貿易体制」を維持し、国際的な経済・貿易協力にとって良好な環境をつくるため、さまざまな多国間の枠組みの中で中豪両国が緊密に意思疎通し、連携を深めていくべきだと呼びかけました。
アルバニージー首相 関係改善の「前向きな勢い」を確認
アルバニージー首相は、オーストラリアと中国の関係には「前向きな勢い」が見られると評価し、自国は中国との「安定的で建設的な」二国間関係を重視していると述べました。
また、オーストラリアは「一つの中国」の方針を堅持し、「台湾独立」に反対する立場を改めて表明しました。中国が重視する原則にあらためて言及したことで、関係の安定を図る狙いがうかがえます。
アルバニージー首相は、外交や貿易など幅広い分野で、中国とのハイレベルの交流と対話をさらに強化したいとしつつ、両国間に意見の違いがあっても「それが関係全体を規定するべきではない」と強調しました。
貿易・観光・教育などでの「相互利益」を拡大
オーストラリア側も、両国経済の補完性に言及し、次のような分野で相互に利益をもたらす協力の深化に期待を示しました。
- 鉱物資源や農産物などを含む貿易
- 観光や文化交流
- 教育、民間交流、市民社会や若者同士の交流
アルバニージー首相は、中国企業が国内で投資・事業活動を行うための「安定的で予見可能な環境」を提供する考えを示し、より多くの中国人留学生や観光客を歓迎すると述べました。
オーストラリアは、多国間主義と「自由で公正な貿易」を強く支持するとしたうえで、気候変動といった地球規模の課題に対応するため、中国と協力していきたいと表明。WTOを中心とした多国間貿易体制を共に守っていく姿勢も示しました。
2025年の国際ニュースとして見る中豪協力の意味
今回の中豪首脳会談は、世界経済の不透明感が増す2025年において、二国間協力を通じて安定と成長の道を探ろうとする動きの一つといえます。エネルギー・資源、グリーン開発、技術革新といった分野での連携強化は、アジア太平洋地域全体のサプライチェーンや気候変動対策にも影響を与えうるテーマです。
また、企業の投資環境だけでなく、留学や観光、若者交流など「人と人」のつながりを重視する姿勢は、長期的な信頼構築にとって重要な要素です。政策レベルの協力と、人々の相互理解がどこまで両輪として機能するかが、これからの焦点になるでしょう。
一方で、アルバニージー首相が「違いが関係全体を規定すべきではない」と述べたように、中豪間には価値観や政策で意見が分かれる場面もあります。そうした違いを抱えたまま、どのように協力の土台を広げていくのか——この問いは、中豪関係だけでなく、アジア太平洋の国々と中国との関係を考えるうえでも示唆的です。
読者のみなさんは、日本やアジアの視点から見て、中豪の「安定的で建設的な関係づくり」はどのような意味を持つと感じるでしょうか。今回の国際ニュースは、私たち自身の対外関係のあり方を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Premier Li: China ready to deepen bilateral cooperation with Australia
cgtn.com







