中国の都市化は「量から質」へ 習近平氏が中央都市工作会議で優先課題示す
中国の都市化と都市政策をめぐる国際ニュースとして注目されるのが、北京で月曜日から火曜日にかけて開かれた中央都市工作会議です。習近平国家主席が今後の都市づくりの全体方針と優先課題を示し、都市化が新たな段階に入ったことを印象づけました。
中央都市工作会議とは何か
中央都市工作会議は、中国の都市政策や都市化の方向性を議論し、今後の都市建設の基本方針を示す重要な会議です。今回の会議には、習近平国家主席(中国共産党中央委員会総書記、中央軍事委員会主席)のほか、中国共産党中央政治局常務委員の李強氏、趙楽際氏、王滬寧氏、蔡奇氏、丁薛祥氏、李希氏らが出席しました。
会議では習氏が重要演説を行い、都市政策の「全体的な要求」「基本原則」「重点任務」を示しました。閉幕にあたっては李強氏が総括の演説を行い、中国共産党の指導の下で都市政策を推し進める姿勢が強調されました。
農業国から都市社会へ 都市化の進展と転換点
会議の背景にあるのは、中国の急速な都市化です。中国はもともと農業国として知られてきましたが、1970年代末の改革開放政策の開始以降、都市への人口移動が加速しました。
10年以上前には、都市人口が農村人口を上回り、その後も都市化は続いています。2024年には、常住人口のうち都市居住者が全体の67%を占めるまでになりました。およそ3人に2人が都市に暮らしている計算です。
雇用面でも都市は重要な役割を果たしています。2013年から2024年の期間に、中国では1億5,000万人を超える新たな都市部の雇用が創出されました。都市が経済成長と雇用のエンジンになってきたことがうかがえます。
一方で、会議は、都市化が「急速な拡大」から「安定した発展」の段階へと移りつつあると指摘しました。都市の発展も、大規模な拡張から、既存の都市空間の質と効率を高める段階へと重心を移す必要があると位置づけています。
「人民の都市」をどうつくるか 全体方針
会議は、第18回党大会以降、中国共産党中央委員会が「人民の都市」を掲げ、都市を「人民のために、人民が主体となって」発展させてきたと評価しました。その上で、今後の全体的な方向性として、次のような都市像を打ち出しました。
- 革新的である都市
- 住みやすく、暮らしやすい都市
- 美しく、景観に優れた都市
- 災害などに強い、レジリエントな都市
- 文化的に豊かで、文明度の高い都市
- デジタル技術を活用したスマートな都市
こうした「現代的な人民の都市」を建設することを通じて、「中国の特色を持つ都市の現代化」の新たな道を切り開くとしています。
その際に重視すべき原則として、会議は次の4点を挙げました。
- 人を中心に据える姿勢を一層強めること
- 各都市の個性や特色を育てること
- 都市ガバナンス(統治・運営能力)を高めること
- 部門間や地域間の協調を強化すること
都市発展の優先課題 7つのポイント
会議では、具体的な都市政策の優先課題も提示されました。主なポイントは次の通りです。
1. 現代的な都市システムの最適化
まず挙げられたのが、現代的な都市システムの最適化です。大都市、中小都市、周辺地域がそれぞれの役割を発揮しながら、バランスよく発展する都市ネットワークをつくることが狙いとみられます。
2. イノベーションが牽引する活力ある都市づくり
次に、技術革新や新産業が都市の成長を引っ張る「イノベーション都市」の建設です。研究開発拠点の整備や、新しいビジネスが生まれやすい環境づくりなどを通じて、都市の競争力を高めることが意図されています。
3. 快適で便利な生活環境の整備
市民の日常生活に直結するのが、快適で便利な生活環境の構築です。住宅、交通、公共サービス、生活インフラなどを整えることで、暮らしの質を高める方向性が示されています。
4. 緑で低炭素、かつ美しい都市空間
会議は、環境面でも「緑」「低炭素」「美しさ」をキーワードに掲げました。公園や緑地の整備、エネルギー効率の向上、景観への配慮などを通じて、環境負荷の少ない都市空間を目指す姿勢がうかがえます。
5. 安全でレジリエントな都市
自然災害や事故、さまざまなリスクへの備えとして、「安全」と「レジリエンス(回復力)」の強化も優先課題に含まれました。インフラの耐久性向上や、危機管理体制の整備などが想定されます。
6. 道徳と社会的規範を重んじる都市文化
会議は、都市を「道徳的な誠実さ」と「社会的な文明度」を体現する場として位置づけました。公共マナーの向上や、コミュニティの連帯感、文化活動の充実などを通じて、都市の「ソフト面」を強化する狙いが読み取れます。
7. 便利で効率的なスマートシティ
最後に掲げられたのが、「便利で効率的なスマート都市」の推進です。デジタル技術やデータを活用し、行政サービス、交通、エネルギー管理などを高度化していくことで、市民にとって使いやすく効率的な都市運営を目指します。
党の指導を強調 今後の焦点は実行段階へ
会議は、「人民のための現代都市」を建設するには、中国共産党による都市関連業務への全面的な指導を強める必要があると強調しました。都市政策を党指導の重要な一部として位置づけた形です。
都市化のスピードが落ち着きつつあるなかで、これからの焦点は「どれだけ多く建てるか」から「どう質を高めるか」へと移りつつあります。イノベーション、環境、安全、デジタル化といったキーワードは、日本を含む他の国や地域でも共通の課題となっており、中国の動きは今後も注目を集めそうです。
今回の中央都市工作会議で示された都市づくりの優先課題が、今後どのような具体的な政策やプロジェクトとして形になっていくのか。その進展を追うことが、中国の社会・経済の変化を読み解く手がかりとなりそうです。
Reference(s):
Xi addresses Central Urban Work Conference, listing priorities
cgtn.com








