中国・泰州Fengcheng River 古い城郭の濠から都市水系へ video poster
中国本土の都市では、急速な経済成長とテクノロジーの発展が進む一方で、住みやすさや生態環境、文化の継承をどう両立させるかが重要なテーマになっています。江蘇省泰州のFengcheng River(フェンチョン川)は、古い城郭都市の濠を現代の都市水系へと生まれ変わらせた例として注目されています。
今週放送される中国の国際メディアCGTNの番組「The Vibe」は、こうした濠に焦点を当てながら三つの都市を取り上げ、中国の都市開発の現在地を描こうとしています。本稿では、その入口となるFengcheng Riverの事例を手がかりに、水辺から見る中国の都市づくりを考えてみます。
急成長する中国都市と「住みやすさ」
今回の国際ニュースが伝えているのは、中国本土の都市が経済やテクノロジーだけでなく、「住みやすさ」や「エコロジー」、そして地域の文化の保全にも目を向けているという点です。高層ビルや新しい道路だけではなく、日常の景色や暮らしの質を支えるインフラとして、水辺の再整備が進んでいます。
住みやすい都市づくりという観点から見ると、水辺は次のような役割を持ちやすい場所です。
- 市民が散歩や休憩を楽しめるオープンスペース
- 都市の景観やアイデンティティを形づくる象徴的な場所
- 水と緑を通じて、暑さの緩和や生態系の保全につながる環境資源
Fengcheng Riverのように、もともと防御や交通のためにつくられた濠が、現代では生活の質を支える空間として再定義されつつあることは、中国の都市開発の方向性をよく表していると言えます。
古い城郭の濠から都市水系へ:Fengcheng River
江蘇省泰州にあるFengcheng Riverは、古代の城郭都市を守る濠として整えられた水路が、そのまま都市の中心を流れる川となった存在です。現在、この古い濠は再開発によって、都市全体を支える水のネットワーク、つまり都市水系として位置づけられています。
「古い城の濠を都市水系として再生する」という発想には、いくつかの意味が重なっています。
- 過去の防御施設を、現在の市民生活のための公共空間へと転換すること
- 歴史的な街並みや物語を、水辺の風景として次世代に伝えること
- 都市の中心部に残された水路を、環境や景観に配慮した形で活用し直すこと
こうした取り組みは、単なる美観の向上ではなく、「歴史」「環境」「暮らし」を一つのプロジェクトで同時に扱おうとする試みと見ることができます。
濠から読み解く都市の歴史と未来
城郭都市の濠は、その町の成り立ちを物語る「タイムライン」のような存在です。外敵から守るための防御施設であり、物資を運ぶ水路であり、ときに都市の境界線でもありました。その濠が現代の都市水系として再生されるとき、過去と現在、そして未来の都市像が一つの場所に重なります。
Fengcheng Riverのような水辺に立ってみると、次のような問いが浮かび上がります。
- 歴史的な空間を、その価値を損なわずにどう現代生活に生かすか
- 経済成長と環境保全を両立する都市インフラとはどのようなものか
- 市民が日常的にアクセスできる「開かれた水辺」をどうつくるか
こうした問いは、中国本土だけでなく、世界中の都市が共通して抱えるテーマでもあります。
メディアが注目する「濠から見る都市」という視点
今週のCGTNの番組「The Vibe」は、三つの都市の濠を切り口に、中国の都市開発の進展を紹介するとしています。最初の舞台となるのが、江蘇省泰州のFengcheng Riverです。
高速道路や高層ビルではなく、あえて「濠」という古いインフラに焦点を当てることで、都市の変化を市民の目線から捉え直そうとする試みだと見ることができます。水辺の変化を追うことは、その都市に住む人々の生活や価値観の変化を知る手がかりにもなります。
日本の都市と水辺再生を比べてみる
日本各地でも、かつての堀や運河、河川を、散歩道や公園として再生する動きが広がっています。護岸の整備だけでなく、カフェや広場、遊歩道を組み合わせて、水辺を「とどまって過ごす場所」として生まれ変わらせる事例は少なくありません。
Fengcheng Riverのような事例を国際ニュースとして日本語で知ることは、自分の暮らす都市の水辺を見直すきっかけにもなります。「この川や運河は、昔はどんな役割をしていたのか」「これからどんな空間になってほしいのか」といった問いを、身近な風景に投げかけてみることができます。
水辺から始まる、都市との新しい付き合い方
古い城郭の濠を都市水系として再生したFengcheng Riverは、中国の都市開発が「速さ」だけでなく、「暮らしの質」や「文化」「エコロジー」を重ね合わせて考えようとしていることを象徴しています。
私たちが日々目にする川や堀、運河もまた、都市の歴史と未来をつなぐ場です。国際ニュースとして伝えられる中国本土の事例をきっかけに、自分の街の水辺とどう付き合っていくのか、一度立ち止まって考えてみるのも良さそうです。
Reference(s):
Fengcheng River: Ancient city moat redeveloped as urban water system
cgtn.com








