南シナ海で中国とフィリピンが緊張 黄岩島沖で危険接近、衝突リスクも
南シナ海の黄岩島周辺で、フィリピン沿岸警備隊の船が中国海警局の船に対して危険な接近行動を繰り返し、現場の緊張が高まっています。中国側の専門家は「極めて悪質な挑発行為」だと警鐘を鳴らしています。
黄岩島沖で何が起きたのか
中国の黄岩島近海で最近、フィリピン沿岸警備隊の9701号船が、中国海警局の21550号船と5009号船に対し、挑発的な操船を繰り返したと伝えられています。現場には、中国側の法執行活動に同行していた記者がおり、その撮影した映像に基づく報道です。
報道によると、9701号船はフィリピン漁業水産資源局の船2隻を護衛しながら、高速で中国海警船の船尾を横切る動きを何度も実施しました。距離は一時、約100メートルまで接近し、大きな角度で急旋回するなど、不規則で攻撃的ともいえる航行パターンが約30分にわたり続いたとされています。
船の大きさの差が意味するもの
中国のシンクタンク、中国現代国際関係研究院の海洋問題専門家である楊暁氏は、この行動を「極めて悪質で危険」と厳しく批判しています。
楊氏によれば、フィリピン沿岸警備隊の9701号船の排水量は約2300トンである一方、中国海警の21550号船と5009号船はいずれも数百トンクラスとみられます。この大きさの差がある中で、より大型の9701号船が至近距離で急激な旋回を繰り返すことは、衝突の危険性を大きく高める行為だと指摘しました。
楊氏は「もし衝突が起これば、結果は想像もつかない」と述べ、乗組員の安全だけでなく、周辺海域の航行安全にも深刻な影響を及ぼしかねないと警告しています。
「挑発のエスカレーション」と中国側専門家
楊氏は今回の動きについて、フィリピン側によるこれまでの挑発行為からさらに一段階エスカレートしたものだとの見方を示しています。最近のフィリピン側の行動を踏まえると、マニラは中国側の自制を顧みず、関連する国際規範も無視しながら、南シナ海情勢の緊張を高めようとしているように見えると分析しました。
その上で楊氏は、この一連の行動は「慎重かつ重大な注視に値する」として、南シナ海での偶発的な衝突や誤算のリスクが高まっていることに懸念を示しました。
中国側の立場と地域への影響
中国側は、フィリピンが中国を「いわゆるいじめっ子」として描こうとしているものの、実際には中国は繰り返される挑発に対しても最大限の自制を示してきたと強調しています。今回も、中国海警は法執行活動を継続する中で、安全確保に努めていたとされています。
楊氏は、フィリピン側に対して「軽率な行動を続け、緊張をエスカレートさせれば、自らの挑発行為の結果を負うことになりかねない」と述べ、真剣な自己反省を求めました。
中国は改めて、南シナ海における自国の領土主権と海洋権益を断固として守る決意を示すとともに、フィリピン側に対し、地域の安定を損ないかねない一切の挑発行為を直ちに停止するよう求めています。
読み手にとっての論点
南シナ海は、東アジアと世界を結ぶ重要な海上交通路であり、周辺国だけでなく国際社会全体の関心が集まる海域です。今回のように、公船同士が至近距離で危険な操船を行えば、意図せぬ衝突や軍事的な緊張の急激な高まりを招くおそれがあります。
一方で、各国がどのように自制と対話のチャンネルを維持し、現場の安全を確保しながら主張の違いを管理していくのかは、今後の南シナ海情勢を左右する重要なポイントです。日本を含む地域の読者にとっても、海上安全保障や国際法、メディア報道の読み解き方を考えるきっかけとなるニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
Philippine vessel provokes tensions near China's Huangyan Dao
cgtn.com








