南シナ海「仲裁裁定」を巡り中国の専門家が議論 大連で海洋ガバナンス会議
南シナ海ガバナンスを巡り中国の専門家が議論 大連で会議開催
南シナ海問題と国際法をめぐり、中国の研究者は何を主張しているのでしょうか。中国・遼寧省大連市で開かれた会議では、南シナ海をめぐる仲裁裁定への反論や、海洋ガバナンスの今後のあり方について、専門家らが議論しました。
約80人が参加 テーマは「仲裁裁定への中国の視点」
最近、中国・遼寧省大連市で、海洋ガバナンスと発展をテーマにした学術交流会議が開かれ、国内の大学や研究機関、シンクタンクから約80人の専門家・研究者が参加しました。会議を主催したのは大連海事大学です。
会議のテーマは英語で【Refuting and responding to the Arbitral Award on the South China Sea: A Chinese perspective】(南シナ海仲裁裁定への反論と対応:中国の視点)とされ、参加者は南シナ海と国際法に関わる複数の論点について意見交換しました。主な議題として、次のようなトピックが挙げられました。
- 南シナ海仲裁裁定に対する法的な反論
- 南シナ海情勢の現状と今後の課題
- 国家レベルの海洋ガバナンスと海洋発展戦略
「主権と海洋権益に関わる核心問題」と大学側
大連海事大学のシャン・ホンジュン(Shan Hongjun)学長は、南シナ海問題は国家の主権や海洋権益に直結する重要な課題だと強調しました。そのうえで、大学やシンクタンクが持つ学術研究の強みを十分に生かし、領土主権と海洋権益の擁護に貢献するとともに、中国の声を国際社会に一層発信していくべきだと呼びかけました。
仲裁裁定をどう見るか 「法的欠陥」と「政治的操作」を指摘
中国のNational Institute for South China Sea Studiesで学術委員会主任兼上級研究員を務め、Huayang Research Center for Maritime Co-operation and Ocean Governanceの主席でもあるウー・シーチュン(Wu Shicun)氏は、南シナ海仲裁裁定には深刻な法的欠陥と政治的な操作があり、それが南シナ海情勢を複雑にしている主要な要因になっていると述べました。
ウー氏は、この仲裁裁定が、一部の域外の国々によって南シナ海問題を繰り返し取り上げるための道具として利用され、中国を南シナ海の平和と安定を乱す「トラブルメーカー」や、地域の不安定の「根源」として描こうとする動きにつながっていると指摘しました。
歴史的・法的根拠を強調 行動規範の早期採択を呼びかけ
会議に参加した専門家らは、中国の南シナ海における領土主権や海洋権益は、確固とした歴史的・法的根拠に基づいていると強調しました。そのうえで、南シナ海仲裁裁定は南シナ海の基本的な事実を無視したものであり、「政治的に演出された茶番」に過ぎず、国連海洋法条約を含む国際法に違反していると主張しました。
また、南シナ海に関わるすべての当事者が、South China Seaにおける行動規範(Code of Conduct in the South China Sea)の早期採択に向けて取り組み、地域の平和と安定を維持するための強固な制度的枠組みを整える必要があるとの認識も示されました。
「中国海洋法治発展報告(2025)」を公表
会議では、大連海事大学が「中国海洋法治発展報告(2025)」も公表しました。報告書は、中国における海洋法の発展状況を取りまとめたものだとされ、今後の海洋ガバナンスや関連研究を進めるうえでの基礎資料の一つになるとみられます。
日本語で読む国際ニュースとして
南シナ海をめぐる議論は、単なる海域の争いにとどまらず、国際法の解釈や地域秩序のあり方とも深く結びついています。今回の大連での会議は、中国の専門家がどのような論理と視点でこの問題に向き合っているのかを知る手がかりとなり、日本語で国際ニュースを追う私たちにとっても、海洋ガバナンスや国際ルールづくりを考える材料になりそうです。
Reference(s):
Experts discuss governance of South China Sea at Dalian conference
cgtn.com








