NvidiaフアンCEO、中国のサプライチェーンは「奇跡」と評価 AI時代の接続性とは video poster
半導体メーカーNvidia(エヌビディア)のジェンスン・フアン(Jensen Huang)CEOが、北京で開かれている中国国際サプライチェーン博覧会で、中国のサプライチェーンを「奇跡」と称賛しました。AI(人工知能)とソフトウエアを土台にした生産ネットワークをどう見ているのか。その言葉から、世界のテック産業の現在地が見えてきます。
北京の博覧会で語った「サプライチェーンは奇跡」
フアンCEOは博覧会の会場で記者団に対し、中国のサプライチェーンについて「世界で最大かつ最も複雑なものの一つ」だと強調しました。単に労働力に依存した仕組みではなく、「深い技術力、AI、ソフトウエアの上に築かれたサプライチェーンだ」として、その高度さを評価しました。
現在、北京で開催中のこの博覧会は、サプライチェーン(供給網)をテーマに各国・地域の企業や組織が参加する場です。そこでフアンCEOは、中国の企業が世界のテック・エコシステムの中で果たす役割の大きさを繰り返し強調しました。
AIとコンピューターサイエンスで存在感を増す中国
フアンCEOは、今年に入ってから中国を頻繁に訪れているとされます。その経験も踏まえ、「中国はコンピューターサイエンスに深い専門性を持つ、世界でも数少ない地域の一つだ」と述べました。
特に、巨大な人口を支えるためのシステムの設計やアルゴリズムについて、「非常に洗練されている」と指摘します。多くのユーザーに一度にサービスを届けるためのアーキテクチャ(全体設計)やAIの活用は、世界の中でも高いレベルにあるという見方です。
米中の緊張の中でも「サプライチェーンは接続」
こうした発言は、米国と中国の間でテクノロジーをめぐる緊張が高まり、規制や輸出管理が強化されている局面で出てきたものです。フアンCEOは、その中でも「協力とつながりを維持することが重要だ」と強調しました。
「私たちは、非常に複雑な製品をつくるために、世界的なサプライチェーンに依存している」。フアンCEOはそう述べ、自社が提供するソフトウエアとハードウエアが世界中のシステムを動かしていると説明しました。
インタビューを通じてフアンCEOが繰り返したメッセージは、「サプライチェーンとは接続そのものだ」という言葉です。世界各地の多くのサプライヤーやサービス提供者がつながることで初めて、先端のテクノロジー製品が成り立つと訴えました。
時価総額4兆ドルに到達したNvidia
先週、Nvidiaは時価総額が一時4兆ドルに達し、企業価値がこの水準に届いた初の半導体メーカーになったと報じられました。フアンCEOの発言は、AI関連企業への期待が高まるタイミングとも重なります。
AI半導体やソフトウエアを手がける企業が、サプライチェーンや地政学をどう見ているのかは、世界のテック業界だけでなく、各国・地域の産業政策にも影響を与えるテーマです。
AIの次の技術革命と安全性への視点
インタビューでは、AIの未来についての考えも問われました。フアンCEOは、AIを「次の大きな技術革命」と位置づけながらも、「まだ初期段階にある」と見ています。
この10~12年は、今日の状況のための「準備期間」だったと振り返り、現在のAIは情報を推論し、考え、理解できる段階に達していると述べました。その進歩を「信じられないほどだ」と表現しています。
一方で、AIの安全性に関する懸念についても言及しました。「技術を安全に前進させ続けなければならない」としたうえで、サイバーセキュリティや環境モニタリング(環境状況の監視)といった分野を例に挙げ、責任ある開発の重要性を強調しました。
AI開発で存在感を増す中国の研究者
中国のAI分野での役割について問われると、フアンCEOは、科学や数学に強い関心を持つ研究者が多く存在している点を指摘しました。「中国には、この瞬間に向けて完璧に準備ができている優れた研究者がいる」と述べ、AI時代に対応する人材層の厚さを評価しました。
AIやコンピューターサイエンスでの人材育成は、世界中の国や地域が競い合うテーマになっています。その中で、中国の研究者コミュニティがAI開発の重要な担い手になっているという見方は、今後の国際的な研究協力や産業競争の行方を考えるうえでも注目されます。
日本やアジアの読者への示唆
今回の発言は、中国やNvidiaに限った話ではなく、AI時代のサプライチェーンをどう位置づけるかという、より広い問いを投げかけています。日本やアジアの企業・政策担当者にとっても、次のような論点が浮かび上がります。
- サプライチェーンを「コスト削減の仕組み」ではなく、「技術と接続のネットワーク」としてどう再設計するか。
- AIやソフトウエアに精通した人材を、大学・企業・スタートアップがどのように育成し、活躍の場をつくるか。
- 地政学的な緊張が続く中で、どこまで国際協調とオープンな技術交流を維持できるか。
フアンCEOが語った「サプライチェーンは接続」という言葉は、AIとグローバル化が同時に進む2025年の世界を読み解く一つのキーワードと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








