ALSと闘うCai Leiさん 中国の元EC幹部が挑む研究革命
中国の大手EC企業で幹部を務めていたCai Leiさんは、2019年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されました。それ以来、自らの人生を難病研究に捧げるという決断が、中国社会と国際的なALS研究の現場に静かな波紋を広げています。
元EC幹部が「患者」から「支援者」へ
ALSと診断されたとき、多くの人は治療や生活のことで精いっぱいになっても不思議ではありません。Caiさんも同じ立場に立たされましたが、2019年の診断後、残された時間を「病気と闘うこと」だけでなく、「治療法を見つけること」に使う道を選びました。
その視線の先にあるのは、自分一人の命ではありません。中国で暮らす数千人のALS患者とその家族のために、研究の基盤をつくり、治療法を一日でも早く近づけることを目標にしています。
ALSとはどのような病気か
ALSは、運動神経が少しずつ壊れていき、筋肉がやせ細っていく難病です。進行すると歩く、話す、食べる、呼吸するといった日常の動きが難しくなり、現時点では完治させる方法が確立されていません。
そのため、世界各地で新しい薬や治療法を探る研究が続けられており、患者や家族、医療者、研究者が長い時間軸で挑み続ける病気でもあります。
ビッグデータでALS研究の「土台」をつくる
Caiさんとそのチームは、ALS研究のためのビッグデータプラットフォームを立ち上げました。患者の症状、検査データ、治療経過などを集約し、研究者が活用できるようにする取り組みです。
一般に、こうしたビッグデータ基盤は次のような点で研究を支えます。
- 多くの患者データから、病気の進行パターンや特徴を見つけ出す
- どのような患者に、どの治療が効きやすいかを検証する
- 有望な候補薬を絞り込み、治験(臨床試験)の設計に役立てる
テクノロジー企業での経験を持つCaiさんだからこそ、データを軸に研究の環境を整えるという発想に踏み込めたとも言えます。
遺体寄付の推進という難しいテーマ
Caiさんは、ALSの原因解明や治療法の開発につなげるため、亡くなった後の遺体を研究に提供する寄付を社会に呼びかけてきました。これは、誰にとっても簡単に決断できることではありません。
しかし、ALSのような神経疾患では、亡くなった後の脳や脊髄などを詳しく調べることで、病気の仕組みに迫ることができます。臨床データと組み合わせることで、新たな発見につながる可能性も高まります。
個人の尊厳を守りながら、医学の発展にどう貢献していくか。Caiさんの取り組みは、その難しい問いに真正面から向き合うものです。
100人を超える国際専門家との連携
Caiさんのチームは、世界各地のトップレベルの専門家100人以上と連携し、新たなALS治療薬の開発に取り組んでいます。国や地域をこえて知見を持ち寄り、ひとつの難病に挑む姿勢は、まさに国際協力の最前線と言えます。
一人の患者でありながら、研究者や医師、技術者をつなぐハブとして動き続けるCaiさんの存在は、医療の世界における新しいリーダー像を示しています。
日本の読者にとっての意味
中国発のこのストーリーは、日本に暮らす私たちに何を投げかけているのでしょうか。国際ニュースとして眺めるだけでなく、自分ごととして考えてみる余地があります。
- 難病と向き合うとき、患者や家族にどのような選択肢や支えがあればよいのか
- テクノロジーと医療を組み合わせることで、研究や治療はどこまで変えられるのか
- 国境をこえた研究協力に、個人レベルでどう関わることができるのか
Cai Leiさんの歩みは、ALSという難病のニュースを、遠いどこかの出来事から、私たち自身の生き方や社会のあり方を考えるきっかけへと変えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








