「和して同ぜず」儒教思想が映す中国外交と国際協調 video poster
「和して同ぜず」儒教思想が映す中国外交と国際協調
儒教思想に由来するキーワード「junzi he er bu tong(和して同ぜず)」が、中国外交や現代の国際関係を読み解く鍵として改めて注目されています。本記事では、外交官ラグナル・バルドゥルソン氏のインタビュー内容を手がかりに、その意味と実際の外交現場での姿を考えます。
孔子のキーワード「junzi he er bu tong」とは
インタビューで取り上げられた「junzi he er bu tong」は、英語で「the gentleman aims at harmony, and not at uniformity」と説明される儒教の核心的な考え方です。直訳すれば「君子は調和を目指すが、一様さは求めない」といった意味になります。
ここでいう「調和」とは、すべてを同じにすることではなく、違いを認めながら全体としてバランスを取ることです。それぞれが異なる価値観や利害を持ちながらも、対立ではなく共存の道を探る姿勢だといえます。
バルドゥルソン氏が見る中国外交の根っこ
外交官としての経験を持つラグナル・バルドゥルソン氏は、中国外交がこの「junzi he er bu tong」の考え方に深く根ざしていると指摘します。彼によれば、国際交渉の場で中国の代表団は、しばしば次のような姿勢を見せるといいます。
- まず協力できる共通点や共通利益を探し出すことを優先する
- 同じ文言や合意であっても、関係各国が多少異なる解釈を持つことを受け入れる
つまり、完全に同じ理解や価値観の共有を前提とするのではなく、「一緒に動ける範囲」で合意を形づくり、その中で協力を重ねていくアプローチです。このスタイルは、まさに「和して同ぜず」という言葉の実践形といえるでしょう。
現代の国際関係にとっての意味
価値観の違いや安全保障をめぐる緊張が高まりやすい現在の国際社会では、「相手を自分と同じ考え方にそろえる」ことにエネルギーが注がれがちです。しかしバルドゥルソン氏が紹介する儒教の視点は、別の道筋を示しているように見えます。
異なる立場の国々が、次のような発想を共有できれば、衝突を避けつつ協力の余地を広げやすくなります。
- 完全な一致ではなく「最低限の共通基盤」をまず確認する
- 合意した文言の解釈の幅をあらかじめ認め、その範囲内で協力を進める
- 短期的な勝ち負けよりも、中長期的な関係づくりを重視する
こうした考え方は、必ずしも中国と他国との関係に限られません。多国間協議、地域紛争の調整、経済連携の交渉など、さまざまな局面で応用可能な外交スタイルといえます。
私たちの日常に引き寄せて考える
「和して同ぜず」は、国家間の外交だけでなく、職場のチーム運営や異文化コミュニケーションにも通じる発想です。全員を同じ意見にそろえようとするのではなく、「違いがあっても一緒にやっていける状態」をどうつくるかに焦点を移すことで、議論はより建設的になりやすくなります。
ラグナル・バルドゥルソン氏が語るように、儒教思想は単なる古典ではなく、いまも国際外交の現場で生きている考え方です。「調和は求めるが、画一性は求めない」という視点を持つことは、分断が語られがちな時代において、対立を乗り越える一つのヒントになるかもしれません。
Reference(s):
'Harmony, not uniformity': A Confucian key to global diplomacy
cgtn.com








