台湾グルメが語る物語──作家ジャオ・トンの「ふるさとの味」案内 video poster
台湾在住の作家でフード批評家のジャオ・トンが、カキオムレツや牛肉麺、フライドチキンやマンゴーかき氷といった身近な料理から、故郷の味と記憶の物語をすくい上げています。日常の一皿に込められたストーリーを追う視点は、2025年のいま、台湾を食から知りたい人にとってもヒントになりそうです。
香りから立ち上る物語
ジャオ・トンが目を向けるのは、観光客向けの派手なグルメではなく、地元の屋台や食堂で当たり前のように出てくる料理です。香ばしいカキオムレツ、湯気の立つ牛肉麺、揚げたてのフライドチキン、甘いマンゴーかき氷──そうした一品一品の向こう側に、人びとの暮らしや記憶が見えてくるといいます。
彼が料理を取材するときに探しているのは、なぜこの味が受け継がれてきたのか、どんな人がこの店を支えてきたのかといった背景です。そこには、遠く離れた家族を思う気持ちや、変わりゆく街の中で味だけは守りたいという、静かな願いが重なります。
ふるさとの味を守り、広げる
ジャオ・トンが見つけてきたのは、単なる懐かしさではありません。カキオムレツや牛肉麺には、故郷の味を守りながらも、より多くの人に知ってもらいたいという思いが込められています。味を変えすぎれば別物になってしまう一方で、まったく変えなければ新しい世代には届きにくい。そのバランスを模索する店主たちの姿を、彼は丁寧にすくい取っています。
こうしたふるさとの味をめぐる葛藤は、台湾だけのものではありません。どの地域でも、家庭料理や屋台の味には、その土地の歴史や家族の記憶が刻まれています。ジャオ・トンの文章は、台湾の食の話でありながら、読む人それぞれが自分の原点を思い出すきっかけにもなりそうです。
国際ニュースとしての「食」
国際ニュースというと、政治や経済が中心になりがちですが、食もまた地域を理解する重要な入口です。台湾の屋台料理やスイーツをめぐる物語からは、移り変わる街並みや世代の価値観、観光や移住で訪れる人びとの影響など、さまざまな要素が浮かび上がります。
2025年のいま、台湾の料理や文化に関心を寄せる日本の読者は少なくありません。ジャオ・トンが描き出すのは、ガイドブックには載りにくい、日常のなかの台湾です。ハッシュタグ「#Taiwanthroughtheages」が示すように、時代をまたいで受け継がれてきた味の歴史を、ひと皿ずつたどる試みでもあります。
私たちができる味わい方
このような視点は、読者の日常にも応用できます。旅行先で台湾の料理を味わうときはもちろん、近所の店で食事をするときにも、次のようなことを意識してみると、世界の見え方が少し変わるかもしれません。
- 料理の作り手がどんな思いでその味を守ってきたのか、想像してみる
- 食べ慣れた一皿に、自分や家族のどんな記憶が結びついているか振り返る
- 気に入った店や料理の背景を、家族や友人、SNSで共有してみる
ジャオ・トンのように、身近な料理に耳を傾けてみると、ニュースだけでは見えてこない台湾の姿が立ち上がってきます。食を通じて世界を知ることは、自分自身の暮らしや価値観を見直すきっかけにもなります。次にカキオムレツや牛肉麺、フライドチキン、マンゴーかき氷のような一皿に出会ったとき、その向こう側にある物語にも、少しだけ思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








