中国、米国にさらなる貿易制限緩和を要求 NVIDIAチップ承認受け
米国がNVIDIA(エヌビディア)のAI向け半導体H20チップの対中輸出を承認したことを受けて、中国商務省が米国に対し、さらなる貿易制限の緩和を求めました。国際ニュースとして、米中関係と世界の半導体サプライチェーンの行方に直結する動きとして注目されています。
何が起きているのか:NVIDIAチップ承認と中国の反応
中国商務省は金曜日に発表したコメントで、米国がNVIDIAのH20チップの対中販売を承認したことに言及しました。そのうえで、中国に対する一連の経済・貿易制限について、米国はゼロサム思考を捨て、引き続き撤廃を進めるべきだと主張しました。
報道官によると、両国はロンドンでの経済・貿易協議後も緊密な意思疎通を続け、同協議で構築された枠組みの詳細を確認しながら、その実施を進めているといいます。
中国側は、管理品目とされる貨物の輸出申請について、法令に基づき条件を満たした案件を承認してきました。その結果として、米国は協議内容に沿い、7月初めに関連する対中制限措置の一部を解除したと説明しています。
中国商務省のメッセージ:ゼロサムではなくウィンウィンを
中国商務省は、米国が取ってきた対中経済・貿易制限を「不合理な措置」と位置づけ、ゼロサム(どちらか一方だけが得をする)発想を改めるよう求めました。
報道官は、中国と米国にとって、互いに利益をもたらす協力こそが正しい道だと強調し、「抑圧と封じ込めではどこにも行き着かない」と指摘しました。米中双方が歩み寄り、対話と協力を通じて課題を解決するべきだという立場です。
焦点は半導体と輸出規制:Huawei Ascendチップへの新ガイドライン
今回の国際ニュースの背景には、半導体をめぐる米中のせめぎ合いがあります。報道官によると、今年5月(2025年5月)、米国は華為技術(ファーウェイ)のAscend(アセンド)チップを対象とする輸出管理ガイドラインを公表し、中国の半導体製品に対する規制を一段と強化しました。
中国側は、このガイドラインが「根拠のない主張」に基づくものであり、行政権限を通じて公正な市場競争を妨げ、中国企業の正当な権益を著しく損なっていると批判しています。中国は自らの立場を厳正に表明し、これらの措置に断固として反対しているとしています。
輸出管理は安全保障や技術流出防止を目的に用いられますが、対象が最先端の半導体やAI関連チップとなると、企業活動やイノベーションに与える影響も大きくなります。今回のNVIDIA H20承認と、中国側のさらなる制限緩和要求は、まさにその駆け引きの一環といえます。
ロンドン協議後の歩み寄り:相互措置の中身
中国商務省の説明によると、ロンドンでの経済・貿易協議を受けて、両国は次のような動きを取ってきました。
- 中国側:法に基づき、管理品目に関する輸出申請を審査し、条件を満たした案件を承認
- 米国側:協議の合意内容に沿って、7月初めに中国への関連制限措置の一部を解除
今回のNVIDIAチップの承認は、こうした一連の調整の延長線上にあるものと位置づけられています。一方で、中国は依然として残る制限措置の撤廃を求めており、今後の協議の行方が注視されています。
NVIDIAとの対話:対外開放の姿勢をアピール
中国の王文涛商務相は木曜日、NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)と会談しました。王氏は、中国の外資誘致政策は変わらず、中国の扉は今後も「さらに大きく開かれていく」と述べ、対外開放の姿勢を改めて示しました。
王氏は、中国には巨大な市場規模、多様な応用シナリオ、そして活発なイノベーションと創造性があると指摘。NVIDIAを含む多国籍企業が、中国の顧客に対して高品質で信頼できる製品とサービスを提供することに期待を表明しました。
これに対しフアン氏は、中国市場は非常に魅力的だと評価し、NVIDIAとしても人工知能(AI)の分野で中国のパートナーとの協力を一層深めていく意思を示しました。企業レベルでは、依然として技術協力とビジネス機会を模索する動きが続いていることがうかがえます。
世界の半導体サプライチェーンへの影響
中国商務省の報道官は、米国が中国と同じ方向を向き、対等な協議を行い、誤ったやり方を正すことで、両国企業の互恵的な協力に資する環境を整えるよう期待を示しました。そのうえで、世界の半導体生産・供給チェーンの安定を共に守るべきだと呼びかけています。
半導体は、AIからスマートフォン、クラウド、車載機器に至るまで、現代のデジタル経済を支える基盤です。米中両国は生産、設計、需要のいずれの面でも大きな存在感を持っており、両国間の規制や協力のあり方は、第三国の企業や消費者にも波及します。
今回のNVIDIA H20承認と中国側のメッセージは、対立だけでなく、協力やルール作りの余地もまだ残されていることを示しているとも読めます。国際ニュースとしての注目点は、今後どこまで協議が進み、どの範囲で制限緩和と協力の拡大が実現するのかという点です。
読者が押さえておきたい視点
今回の動きを踏まえ、読者として考えておきたいポイントを整理します。
- 米中関係の二面性:安全保障や技術をめぐる競争が続く一方で、半導体やAIの分野では相互依存が強く、協力を模索する動きも並行して進んでいます。
- 規制とイノベーション:輸出管理や制裁が強化されると、短期的には特定企業が打撃を受けますが、中長期的には技術自立や代替サプライチェーンの構築を促す可能性もあります。
- サプライチェーンの安定性:半導体分野での緊張が高まれば、価格や供給リスクが増し、世界中の企業や消費者に影響が及ぶおそれがあります。逆に、協議による緩和が進めば、不確実性の低減につながります。
米国のNVIDIAチップ承認と中国の追加緩和要求は、単なる一企業や一製品のニュースにとどまらず、2025年現在の米中経済関係と国際秩序のゆらぎを映し出す鏡のような出来事だといえます。今後の協議や新たなガイドラインの動きにも、継続的な注視が必要です。
Reference(s):
China urges U.S. to ease more trade curbs following Nvidia chip nod
cgtn.com








