中国がカナダの中国産鋼材関税を批判 WTO違反と主張
カナダ政府が中国産鋼材を含む製品に追加関税を課す方針を打ち出したことに対し、中国商務省がWTO(世界貿易機関)ルール違反だと強く批判し、必要な対抗措置も辞さない構えを示しています。
カナダが発表した追加関税の中身
カナダ政府は水曜日、中国との鉄鋼貿易に関わる新たな措置を発表しました。米国による鉄鋼関税や「世界的な鉄鋼の供給過剰」への対応を理由に、既存の輸入枠を厳格化し、その枠外に入る鉄鋼製品には追加関税を課すとしています。
具体的には、8月1日から、米国以外の国から輸入される鉄鋼製品のうち、「中国で溶解・鋳造された鋼材」を含むものに対して、一律25%の追加関税をかける内容です。
中国「WTOルール違反で国際貿易秩序を乱す」
金曜日に発表された声明で、中国商務省の報道官は、カナダの措置について「自国産業の保護」を名目とした一方的な関税であり、WTOルールに反し、国際貿易秩序を乱し、中国の利益を損なうものだと指摘しました。
報道官は、こうした動きは「典型的な一方主義と保護主義だ」と述べ、中国として強い不満と断固たる反対の立場を示しました。
「問題の根本原因は米国の関税措置」
中国側は、カナダの鉄鋼産業が直面している困難の主な原因は、米国が一方的に導入した鉄鋼関税にあると分析しています。
しかし、カナダ政府はその矛盾には正面から向き合わず、米国ではなく中国を含む他の貿易相手に負担を転嫁しようとしている、と中国商務省は批判しました。
中国「中国・カナダ経済関係を深刻に損なう」
報道官は、カナダの今回の措置は「不合理で違法かつ有益ではない」ものであり、中国とカナダの正常な経済・貿易協力を深刻に損なうと強い懸念を表明しました。
そのうえで、中国はカナダに対し、直ちに「誤ったやり方」を是正し、制限的な措置をやめることで、多国間貿易体制と中国・カナダ経済関係全体の利益を守るよう求めています。
中国側はまた、中国企業の正当な権益を断固として守るため、「必要なあらゆる措置」を取る方針も示しました。具体的な対抗措置は明らかになっていませんが、今後の両国関係の行方に注目が集まります。
国際貿易とサプライチェーンへの波紋
今回のカナダの追加関税は、中国とカナダの二国間関係にとどまらず、鉄鋼を使う幅広い産業のサプライチェーンにも影響を与える可能性があります。
- 関税率25%という水準は、企業にとっては無視できないコスト増につながります。
- 鉄鋼は自動車、建設機械、インフラなど多くの製品の基礎素材であり、価格転嫁が進めば最終製品の価格にも波及します。
- 「中国で溶解・鋳造された鋼材」を含む製品が対象となるため、中国以外の国・地域で組み立てられた製品にも影響が及ぶ可能性があります。
グローバルなサプライチェーンが複雑に絡み合うなかで、一国の関税措置が第三国の企業や消費者にまで波及する構図が、あらためて浮き彫りになっています。
日本を含む第三国が注視すべきポイント
日本を含む第三国の企業にとっても、「どの国で溶解・鋳造された鋼材を使っているのか」という原産地の管理が、一段と重要になりつつあります。製品設計や調達段階で中国産鋼材を使用している場合、カナダ向け輸出のコスト構造や価格戦略の見直しが必要になる可能性があります。
また、中国が今後どのような「必要な措置」に踏み切るかによっては、ほかの分野の貿易や投資にも影響が広がるシナリオも考えられます。各国・地域の企業にとっては、関税だけでなく、規制や認可手続きなど非関税分野の動きにも目配りが求められます。
「保護主義」と多国間ルールのせめぎ合い
中国商務省が批判するように、一方的な関税措置がWTOルールとどのように整合するのかは、国際貿易をめぐる重要な論点の一つです。各国が自国産業の保護を掲げるなかで、多国間のルールに基づく安定した貿易環境をどう維持するかは、今もなお大きな課題と言えます。
今回の中国とカナダの対立は、そのジレンマを映し出す出来事とも言えます。日本の読者にとっても、「関税」と聞くと遠い話に感じられるかもしれませんが、サプライチェーンや物価、雇用を通じて日常生活とも無縁ではありません。今後の交渉の行方を追いながら、自国や自分の産業への影響を考えるきっかけにしていきたいところです。
Reference(s):
China denounces Canada's tariffs on products containing Chinese steel
cgtn.com








