中国とアフリカのグリーン農業最前線 第3回サプライチェーン博から読む
北京で開かれた第3回中国国際サプライチェーン博覧会では、世界70以上の国と地域から600を超える出展者が集まり、グリーン農業が主要テーマの一つとして注目を集めています。気候変動と食料安全保障の課題が深刻化する2025年現在、中国とアフリカがどのように協力して持続可能な農業サプライチェーンを築こうとしているのかを整理します。
第3回中国国際サプライチェーン博覧会とグリーン農業
北京で開催された第3回中国国際サプライチェーン博覧会には、70以上の国と地域から600を超える出展者が参加しました。「Connecting the World for a Shared Future(共に未来をつなぐ)」を掲げたこの博覧会では、6つの主要サプライチェーンが取り上げられ、その一つがグリーン農業です。
グリーン農業のサプライチェーンは、生産現場の省エネ・低炭素化だけでなく、輸送や加工、消費までを含めて環境負荷を減らし、同時に農家の所得向上や地域コミュニティの強化もめざす取り組みです。今回、中国農業大学工学院の周雨光(Zhou Yuguang)氏と、Global Organization of African Academic Doctors の農業研究グループを調整するコジョ・アヒアクパ(Kojo Ahiakpa)氏が、中国とアフリカの最新動向を語りました。
中国のグリーン農業転換:政策に支えられた長期戦略
周氏によると、中国のグリーン農業推進は、農村振興や循環型農業といった国家レベルの政策に深く根ざしています。過去10年あまりの間に、中国では農業廃棄物をバイオ燃料や肥料、環境配慮型の資材へと変換するための体系的な仕組みが整えられてきました。
農村地域では、水資源管理の改善、廃棄物リサイクル、エコインフラの整備などが進み、汚染の削減と住民の生活向上の両立が図られています。こうした取り組みは、単なる技術導入にとどまらず、地域コミュニティの受容やトップレベルの制度設計、継続的な投資が必要な「長期の変革プロセス」だと周氏は強調します。
そのため、中国では各地に実証プロジェクトを設け、地方補助金や教育・啓発活動を組み合わせながら、グリーン農業のモデルを全国へと広げていくアプローチが取られています。
アフリカのグリーン農業:ローカルな創意と構造的な課題
一方で、アヒアクパ氏は、アフリカのグリーン農業は「地域に根ざしたイノベーション」である一方、構造的な課題にも直面していると指摘します。その中心にあるのが、コールドチェーン(低温物流)や輸送網、保管施設などのインフラの不足です。これらの弱点が、持続可能な農業の取り組みを大きく制約しています。
アヒアクパ氏は、アフリカでグリーン農業を加速するために、次のような方向性を挙げています。
- グリーンインフラへの投資を拡大すること
- デジタル技術を活用した営農指導などを通じて、気候変動に強い「気候スマート農業」の実践を広げること
- 収穫後の損失を減らすため、農産物加工ゾーンを強化すること
- 女性や若者など脆弱なグループを支えるグリーンファイナンス(環境配慮型の資金供給)の仕組みを拡充すること
- アフリカ域内のグリーン貿易を標準化するため、地域共通の認証制度を発展させること
こうした土台が整えば、環境に配慮しつつ収益性もある農業モデルを、より多くの地域へ展開できる可能性が高まります。
技術と南南協力:中国とアフリカが共有する「グリーン技術」
周氏とアヒアクパ氏の両者が強調するのが、中国とアフリカを含む南南協力の役割です。中国は、国連開発計画(UNDP)が主導するプログラムなどを通じて、再生可能エネルギーやグリーン農業の技術をアフリカ諸国と共有してきました。
ただし、技術は「輸出すれば終わり」ではありません。現地の気候や土壌、社会制度に合わせて応用し、人材育成や運営能力の強化とセットで進めていく必要があります。その意味で、技術移転よりも「現地への適応」と「能力構築」が鍵となります。
周氏はさらに、中国国内でグリーン・低炭素な製品への消費者ニーズが高まりつつあると指摘します。この流れは、環境にやさしい農産物や加工品への需要を押し上げ、エコフレンドリーな農法の普及を後押ししています。
こうした市場の変化は、アフリカの生産者にとっても新たなチャンスになり得ます。グリーン貿易や有機認証、さらにはカーボンマーケット(排出権市場)への参画などの分野で、中国が技術支援や政策面での経験を共有する余地があるといえます。
長期的な価値創出へ:中国・アフリカ協力の次なる焦点
両氏は、中国とアフリカのグリーン農業協力の将来像として、次のような分野が重要になると見ています。
- 中国の農村振興モデルの要素を応用できる共同研究拠点の構築
- 気候変動への適応策を実証するデモンストレーションセンターの設置と展開
- 環境配慮型の農産物に対するエコ認証の拡大
- カーボン取引におけるパートナーシップの構築
- 有機農業の拡大と、人材や知見を共有する交流プログラムの強化
これらの取り組みが進めば、中国とアフリカは、気候変動と食料安全保障という二つのグローバル課題に対し、具体的な解決策を提示する「グリーン農業のパートナー」として存在感を高めていく可能性があります。
国際ニュースとしての注目度だけでなく、自国の農業や地域づくりを考えるうえでも、中国とアフリカのグリーン農業協力は多くの示唆を与えてくれます。サプライチェーンのどの部分で環境負荷を減らし、誰の暮らしをどう良くしていくのか──その問いは、2025年の今、日本に暮らす私たちにとっても無関係ではありません。
Reference(s):
cgtn.com








