中国主導の国際調停機構IOMed、国連会合で役割を説明
中国が主導する新たな国際調停機構 IOMed が、国連の場で本格的にお披露目されました。国家間や企業間の紛争を「話し合い」で解決する新たな枠組みとして注目されています。
ウィーンの国連会合でIOMedを紹介
ウィーンで開かれている国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)第58会期の関連行事で、中国の国連ウィーン事務所代表を務める Li Song 氏が、国際調停機構(IOMed)の構想と役割について説明しました。
Li 氏は、国際連合憲章が紛争の平和的解決手段として調停を明確に位置付けていることに触れ、IOMed は国際紛争の調停に専念する世界初の政府間の法的機関になると強調しました。
世界初の調停に特化した政府間機構
Li 氏によると、IOMed は国際紛争を調停によって解決することに特化した政府間組織として設計されています。軍事力や経済制裁ではなく、対話と合意形成を通じて争いを収める場を提供することがねらいです。
この取り組みは、中国と志を同じくする国々が共同で提供する重要な国際公共財と位置付けられており、国際調停へのニーズが高まる中で、その受け皿となることが期待されています。
IOMedが扱う3つのタイプの紛争
IOMed 設立条約によると、同機構が調停を行う対象となるのは、当事者が合意の上で付託した次の三つのタイプの国際紛争です。合意は、紛争が起きる前でも、発生した後でも行うことができるとされています。
- 国家と国家の間で生じる紛争
- ある国家と、他国の国民との間で生じる商業・投資紛争
- 民間企業同士の間で生じる国際商業紛争
つまり、政府同士の対立だけでなく、投資案件や国境をまたぐ取引をめぐるトラブルなど、グローバル経済の現場で起きるさまざまな争いも対象になりうる設計です。
香港特別行政区での署名とUNCITRALの期待
UNCITRAL のアナ・ジュバン=ブレ事務局長は、今年、中国南部の香港特別行政区で行われた IOMed 設立条約の署名式に立ち会ったことを振り返りました。
そのうえで、IOMed が今後、UNCITRAL と連携を深め、国際的な法の支配とルールづくりの発展に共に貢献していくことへの期待を表明しました。
国際公共財としての意味
中国側は、IOMed を中国と理念を共有する国々が提供する重要な国際公共財と位置付けています。背景には、国際社会で法に基づく解決手段へのニーズが一段と高まっているという認識があります。
当事者の合意を前提とした調停は、通常、勝者と敗者をはっきり分ける裁判や仲裁とは異なるプロセスと理解されています。IOMed は、そのような協調的なアプローチを支える新たなプラットフォームとして構想されています。
国際紛争解決の選択肢が増えることの意味
今回の発表は、国際紛争の現場において調停という手段をどのように位置付けるのかをめぐる議論が、今まさに進行していることを示しています。
国家間の対立から企業の投資紛争まで、対話のチャンネルをいかに確保するかは、多くの国や企業にとって喫緊の課題です。IOMed がどの程度利用され、どのような事例で活用されていくのかは、今後の国際秩序やビジネス環境を考えるうえで注目すべきポイントになりそうです。
力ではなく話し合いで解決を目指す枠組みづくりが進む中で、私たち一人ひとりも、紛争や対立にどう向き合うのかという問いをあらためて投げかけられています。
Reference(s):
cgtn.com








