中国国際サプライチェーン博が示すクリーンエネルギー供給網の現在地
2025年7月に北京で開かれた第3回中国国際サプライチェーン博覧会で、クリーンエネルギーのサプライチェーンに特化した展示エリアが注目を集めました。世界が脱炭素とエネルギー安全保障の両立を模索するなか、中国がどのような「答え」を示したのかを整理します。
北京で開催された第3回サプライチェーン博とは
第3回中国国際サプライチェーン博覧会は、2025年7月16日から20日まで北京で開催されました。さまざまな産業分野のサプライチェーンが紹介される中で、クリーンエネルギーに特化した専用エリアが設けられたことが特徴です。
クリーンエネルギーの「フルサイクル」産業チェーンが一堂に
クリーンエネルギー専用エリアでは、いわゆる「フルサイクル」の産業チェーンが展示されました。フルサイクルとは一般的に、研究開発や部材供給から製造、導入・運用、そして再利用やリサイクルまでを含めた一連の流れを指します。
会場には、クリーンエネルギー分野の最新技術や最新製品が並び、さらに業界を動かしているトレンドも紹介されました。一つひとつの製品ではなく、サプライチェーン全体としてクリーンエネルギーをどう支えるかが強調された点が特徴です。
- 研究開発からリサイクルまでをつなぐ「フルサイクル」視点
- 最新のクリーンエネルギー技術や製品の展示
- 業界を動かすトレンドの紹介
展示から読み解くクリーンエネルギーの3つのトレンド
こうした「フルサイクル」型の展示からは、世界のクリーンエネルギー産業がどの方向に向かっているのかを読み解くヒントが見えてきます。ここでは、特に重要だと考えられる三つのキーワードを整理します。
1. サプライチェーン全体での脱炭素
第一に、発電設備そのものだけでなく、原材料の調達や製造過程、輸送に至るまで、サプライチェーン全体での脱炭素が重視されている点です。クリーンエネルギーを名乗る以上、その裏側の工程でも温室効果ガス排出を抑えることが求められています。
2. デジタル化とスマート化
第二に、デジタル技術を活用した「スマート化」です。センサーやデータ分析、人工知能などを組み合わせることで、発電量の予測や設備の保守、電力の需給調整を高度に最適化しようとする動きが進んでいます。サプライチェーン全体を見える化し、リスクを早期に把握するねらいもあります。
3. 循環型社会とリサイクル
第三に、循環型社会を見据えたリサイクルや再利用の取り組みです。クリーンエネルギー設備の普及が進むほど、将来の廃棄や資源回収の問題は大きくなります。資源を無駄なく循環させる仕組みを、サプライチェーンの早い段階から組み込むことが重要になっています。
中国発のクリーンエネルギー戦略が示すもの
今回の博覧会のように、クリーンエネルギーをサプライチェーン全体で見せる試みは、中国が世界のクリーンエネルギー市場でどのような役割を担おうとしているのかを映し出しています。製造能力や技術開発力を背景に、安定した供給とコスト低減で世界の脱炭素を支えるというメッセージが込められていると言えるでしょう。
同時に、クリーンエネルギーのサプライチェーンは一国だけで完結するものではありません。部材や技術、人材、資本は国境をまたいで行き来します。今回の展示は、国際的な連携を前提にしながら、より強靭で持続可能なサプライチェーンを構築しようとする試みの一つと見ることもできます。
日本とアジアにとっての意味
日本やアジアの企業・政策担当者にとっても、こうした動きは他人事ではありません。クリーンエネルギーの導入を進めるうえで、どの国・地域とどの段階で連携し、どの部分を自国で強化すべきかという戦略が問われています。
特に、サプライチェーンを「フルサイクル」で捉える視点は、企業の投資判断や研究開発、地域の産業政策にも直結します。発電設備だけでなく、その前後の工程でどれだけ付加価値を生み出せるかが、今後の競争力に影響していきます。
北京での第3回中国国際サプライチェーン博覧会は、クリーンエネルギーの未来を「製品」ではなく「サプライチェーン」として提示しました。世界の脱炭素が加速するなか、日本からこの動きをどう捉え、どのようなパートナーシップを築いていくのかが、これからの議論のポイントになりそうです。
Reference(s):
China's answer to global clean energy at the supply chain expo
cgtn.com








