中国の趙楽際委員長がキルギス・ハンガリー・スイス歴訪 第6回国会議長世界会議に出席
中国の最高立法機関トップである趙楽際・全国人民代表大会(全人代)常務委員会委員長が、2025年7月23〜31日にかけてキルギス、ハンガリー、スイスを公式友好訪問する予定でした。スイス滞在中には、第6回国会議長世界会議(World Conference of Speakers of Parliament)に出席する計画も示されていました。
今回の歴訪は、各国議会トップからの招きを受けたもので、中国が「議会外交」を通じて中央アジアと欧州との関係をどのように深めようとしているのかを読み解く手がかりになります。
趙楽際委員長の歴訪スケジュールと招待元
趙楽際委員長は、中国の最高立法機関である全人代常務委員会のトップです。その趙委員長が7月下旬に予定していた歴訪では、次の3カ国を訪問する計画が示されていました。
- キルギス
- ハンガリー
- スイス
今回の訪問は、次の各国・国際機関の要人からの正式な招待によるものとされています。
- キルギス議会議長 ヌルランベク・トゥルグンベク・ウウル氏
- ハンガリー国民議会議長 ラースロー・ケーヴェル氏
- スイス・ナショナル・カウンシル(National Council)議長 マヤ・リニカー氏
- スイス・カウンシル・オブ・ステーツ(Council of States)議長 アンドレア・カローニ氏
- 列国議会同盟(IPU)議長 トゥリア・アクセン氏
- IPU事務総長 マルティン・チュンゴン氏
複数の議会トップとIPU首脳からの連名に近い形の招待である点は、中国とこれらの国・機関との関係が議会レベルで重視されていることを示していると言えます。
3カ国歴訪のねらい:中央アジアから欧州へ
今回の公式友好訪問が計画されたキルギス、ハンガリー、スイスの3カ国は、地理的にも政治的にも性格の異なる国々です。それぞれの訪問には、異なるテーマや意味合いが重なっていると考えられます。
キルギス:中央アジアとの協力強化
キルギスは中央アジアに位置し、地域の安全保障や経済協力で重要な役割を担う国です。中国にとって中央アジアは、エネルギーや物流、インフラ協力などで関係を深めてきた地域であり、議会トップ同士の交流を通じて、長期的な信頼関係を固める狙いがあるとみられます。
議会間の対話では、法制度づくりや投資環境、人的交流の枠組みなど、政府間協議とは少し違う角度からの議論が行われる可能性があります。
ハンガリー:欧州の中で存在感を持つパートナー
ハンガリーは欧州連合(EU)の一員でありながら、独自の対外姿勢を取ることでも知られています。中国にとっては、欧州との関係を考えるうえで注目度の高いパートナーの一つです。
ハンガリー国民議会議長からの招待に応じた形となっている今回の訪問は、経済協力だけでなく、欧州における中国の立ち位置や対話のチャンネルを広げる意味合いを持つと見ることもできます。
スイスと第6回国会議長世界会議
スイスでは二つの重要な要素があります。一つはスイスの二院制議会(ナショナル・カウンシルとカウンシル・オブ・ステーツ)のトップとの関係構築、もう一つは第6回国会議長世界会議への出席です。
国会議長世界会議は、世界各国の議会議長が集まり、国際秩序、平和と安全保障、持続可能な開発など、地球規模の課題について意見交換を行う場です。列国議会同盟(IPU)と国連などが関わるこの枠組みは、政府間会議とは異なる「議会サミット」として位置づけられています。
趙楽際委員長がこの会議に出席する計画は、中国が議会レベルでも多国間の対話に積極的に関与しようとしていることを示しています。
広がる「議会外交」の役割
今回の歴訪は、いわゆる「首脳外交」や「外相会談」といった従来の外交とは少し違うレイヤーで進む「議会外交」の一例です。議会外交には、次のような特徴があります。
- 政権交代や政局の変化を超えた長期的な関係づくりに向きやすい
- 法制度や人権、環境、ガバナンスなど、立法機関ならではのテーマを議論しやすい
- 多国間会議を通じて、複数の国・地域と同時にネットワークを広げられる
中国のように国際社会での存在感が大きい国にとって、議会トップの外交は、首脳会談や外相会談を補完するチャンネルとして重要性を増していると考えられます。
日本の読者が押さえておきたい視点
日本から見ると、中国トップ立法者の3カ国歴訪と国会議長世界会議への参加計画は、単なる「表敬訪問」にとどまらず、いくつかのポイントで注目する価値があります。
- 中央アジアと欧州を結ぶルートで、中国がどのように政治・経済関係を重ねていくのか
- 議会レベルの対話が、安全保障や経済連携の議論にどのような影響を与えうるのか
- 多国間の議会会議で、中国を含む各国がどんなテーマを優先して取り上げるのか
国際ニュースを追ううえでは、政府間の首脳会談だけでなく、こうした議会外交の動きにも目を向けることで、各国の対外関係の「奥行き」が見えやすくなります。
今後も、中国を含む各国の議会トップによる往来や国際会議での発言は、世界やアジアの秩序を考えるうえで、静かだが重要なシグナルとなりそうです。
Reference(s):
China's top legislator to visit Kyrgyzstan, Hungary and Switzerland
cgtn.com







