新疆の生地彫刻とナンおじさん ネットで広がる無形文化遺産 video poster
新疆ウイグル自治区の無形文化遺産である生地彫刻。その匠の一人、ナ・ディンハオ氏が生み出した愛らしい人形シリーズ「ナンおじさん」が、バザールの人気土産としてだけでなく、オンラインでも注目を集めています。
新疆ウイグル自治区の無形文化遺産、生地彫刻とは
生地彫刻は、Xinjiang Uygur Autonomous Regionで受け継がれてきた伝統的な造形芸術で、生地を素材に立体的な作品を作り上げる無形文化遺産です。長い歴史のなかで培われた技と美意識が、小さな人形やモチーフの中に凝縮されています。
この地域の生活や風習、物語を、やわらかな生地の質感を通じて表現する生地彫刻は、工芸でありながら、日常と深く結びついた文化の記憶装置のような役割も担っています。
匠ナ・ディンハオ氏が見せる「古くて新しい」表現
ナ・ディンハオ氏は、生地彫刻の名匠として知られています。彼の手にかかると、伝統の技が現代的な感覚と出会い、古い工芸が新しい表現としてよみがえります。
古くから伝わる技法を大切にしながらも、色使いやキャラクター性、構図などに現代の創造性を取り入れることで、世代や国境を超えて楽しめる作品へと昇華させているのが特徴です。
オンラインで広がる生地彫刻の世界
ナ・ディンハオ氏の作品は、インターネットを通じて広く知られるようになりました。画面越しにも伝わる繊細な造形とユーモアのある表情が、多くの人の目を引き、オンライン上で評判を呼んでいます。
伝統工芸がデジタル空間で共有されることで、生地彫刻は、現地を訪れたことのない人にも身近な文化として届き始めています。スマートフォンで動画や写真を眺めながら、その土地の空気感やストーリーに思いをはせることができるのは、オンライン時代ならではの広がり方と言えます。
バザールの人気土産「ナンおじさん」
なかでも象徴的な存在となっているのが、「ナンおじさん」と呼ばれる生地人形のシリーズです。親しみのある風貌やコミカルな仕草をまとった「ナンおじさん」は、見る人の心を和ませるキャラクターとして支持を集めています。
この「ナンおじさん」シリーズは、Xinjiang International Grand Bazaarで人気の文化的土産物として、高い注目を浴びています。旅行者にとっては、「ここに来たからこそ手に入る一品」として特別な意味を持ち、地元にとっては地域文化を伝える象徴的なアイテムになりつつあります。
新疆の自然と文化を伝える「アンバサダー」
「ナンおじさん」の生地人形は、単なるキャラクターグッズではありません。新疆の自然の美しさや、多様な文化の魅力を体現する小さな「アンバサダー(大使)」として位置づけられています。
観光客がこの人形を手に取り、持ち帰り、さらにSNSなどでその姿を発信することで、生地彫刻は新疆の風景や文化への関心を静かに広げていきます。一つひとつの作品が、遠く離れた場所へと文化を運ぶメッセージボトルのような役割を果たしているのです。
ローカルな無形文化遺産から見えるグローバルな視点
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、生地彫刻のようなローカルな無形文化遺産は、世界を見るためのもう一つの窓と言えます。経済や安全保障といった大きなテーマだけでは見えてこない、人々の日常と暮らしの肌ざわりが、こうした工芸から立ち上がってきます。
ナ・ディンハオ氏の活動と「ナンおじさん」の広がりは、次のような視点を私たちに投げかけます。
- 伝統工芸が観光土産やキャラクターを通じて、現代社会の中で新たな役割を得ていること
- オンライン発信によって、現地の無形文化遺産が、国境を越えて共有される時代になっていること
- 一つの地域の工芸が、自然や文化の魅力を伝える「民間大使」として機能し得ること
通勤時間やスキマ時間にスマートフォンで生地彫刻の動画や写真を眺めることは、ニュースの見出しだけではつかみきれない世界の多様性に触れる、小さなきっかけにもなります。
新疆ウイグル自治区で育まれてきた生地彫刻と、その現代的な展開である「ナンおじさん」。伝統と創造性、地域性とグローバルな関心が交差するこの物語は、これからの文化発信のヒントを静かに示しているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








