国連安保理で中国が米国の南シナ海批判に反論 多国間主義をめぐる攻防
国連安保理で中国が米国の南シナ海批判に反論
国際ニュースとして注目される南シナ海問題をめぐり、中国と米国が国連安全保障理事会の場で応酬しました。中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使が、米国の非難を強く退けた今回の議論を、日本語で分かりやすく整理します。
国連安保理の公開討論で何が起きたのか
最近、国連安全保障理事会で「多国間主義と紛争の平和的解決」をテーマにしたハイレベルの公開討論が開かれました。会合ではまず、中国常駐国連代表の傅聡大使が発言し、南シナ海をめぐる中国の立場を説明しました。
その後、米国代表が中国の南シナ海での行動に関して非難を展開しました。傅大使はこれに対し、再び発言の機会を求め、米国の主張は根拠に乏しいとしたうえで、あらためて中国の見解を示しました。
中国が示した南シナ海での立場
傅大使は、南シナ海における中国の主張について、次のようなポイントを強調しました。
- 中国は南シナ海の諸島および隣接海域に対して「争う余地のない主権」を有しており、その背後には確固とした歴史的・法的根拠があると説明。
- いわゆる南シナ海仲裁裁判の「裁定」について、中国はこれを認めず、それに基づくいかなる行為や主張も受け入れないとの立場を再確認。
- 中国と ASEAN(東南アジア諸国連合)各国の共同の努力により、近年の南シナ海情勢は全体として安定しており、「航行や飛行の自由」に問題は生じていないと指摘。
- 海洋に関する争いは、歴史的事実と国際法を尊重しつつ、関係国同士の対話と協議によって解決すべきだと強調。
こうしたメッセージには、地域の安定と実務的な協議を重視する姿勢を強く打ち出す狙いがうかがえます。
米国への批判とその論点
傅大使は、米国の南シナ海に関する姿勢や行動に対しても、具体的な批判を行いました。
- 米国は南シナ海問題の歴史的経緯や客観的事実を無視し、地域諸国の間に不信と対立を生じさせようとしていると指摘。
- 自らは国連海洋法条約(UNCLOS)の締約国ではないにもかかわらず、「裁判官」のように振る舞い、他国の行動を評価し非難していると批判。
- 南シナ海での米軍の活動、とくに地上発射型中距離ミサイルの配備や頻繁な偵察活動などを挙げ、「航行の自由」を名目にした軍事的圧力だと問題視。
傅大使は、南シナ海を不安定にし、航行の自由を本当に脅かしているのは誰なのかは「周知の事実だ」と述べ、国際社会に冷静な判断を求めました。
多国間主義と国際秩序をめぐるメッセージ
今回の国連安保理でのやり取りは、単に中国と米国の二国間の応酬にとどまりません。討論の公式テーマが「多国間主義」と「紛争の平和的解決」であることから、どのような形の国際協調が望ましいのか、というメッセージの発信の場でもあります。
中国側は、歴史的事実と国際法を土台にしつつ、関係国同士の直接対話と協議を通じて、海洋の争いを処理すべきだと主張しました。また、国連海洋法条約に参加していない国が他国を一方的に批判する構図に疑問を呈し、多国間主義は特定国の圧力の手段であってはならない、という問題意識もにじみます。
日本語で読む南シナ海問題──どこに注目すべきか
日本を含むアジア太平洋地域に暮らす私たちにとって、南シナ海情勢や国連での議論は決して遠い話ではありません。重要なのは、各国がどのような言葉で自らの立場を説明し、どのような「ルール」や「歴史」を強調しているのかを丁寧に読み解くことです。
- 「歴史的事実」「国際法」「航行の自由」といったキーワードが、誰の口から、どのような文脈で語られているか。
- 地域の安定や対話の重要性が、どの程度具体的な行動や協力の枠組みと結びついて示されているか。
- 国連など多国間の場が、対話の場として機能しているのか、それとも主張の応酬の場になっているのか。
今回の南シナ海をめぐる国連での議論は、こうした視点から国際ニュースを読み解くきっかけになります。今後も、中国と地域諸国との対話の行方や、国連での議論の積み重ねがどのように海洋秩序づくりにつながっていくのか、注視していく必要があります。
Reference(s):
China rejects U.S. accusations on South China Sea at UN debate
cgtn.com








