中国の医療保険加入率95% 2021~2025年の社会保障拡充を解説
中国の国家医療保障局(NHSA)は、第14次五カ年計画(2021~2025年)の期間を通じて、全国の基本医療保険の加入率が約95%と高い水準で安定していると明らかにしました。2024年末時点の加入者数は13億2700万人に達し、公的な医療保障の網が中国全土に広がっていることがうかがえます。
本記事では、この国際ニュースを日本語で読み解きながら、中国の医療保険制度のポイントをコンパクトに整理します。
95%加入の中身は? 主な数字で見る中国の医療保険
今回の発表では、加入率だけでなく、財政規模や給付水準など、制度の中身に関する数字も示されています。主なポイントを整理すると、次のようになります。
- 加入率:第14次五カ年計画期間を通じて約95%
- 加入者数:2024年時点で13億2700万人
- 医療扶助:年間約8000万人の保険料を公的に補助
- 入院費の償還率:従業員向け約80%、住民向け約70%
- 長期介護保険の試行:約1億9000万人をカバー
- 医療保険基金残高:2024年末時点で3.86兆元(約5,391億ドル)
- 保険でカバーされる薬:全国統一の薬剤目録に3,159品目
保険料を支える医療扶助と高めの入院償還率
中国では、低所得層など保険料の負担が重い人に対し、医療扶助と呼ばれる仕組みで保険料の一部または全額を補助しています。今回の説明によると、この医療扶助を通じて、毎年約8000万人が保険料の補助を受けているとされています。
入院費の自己負担については、従業員向けの医療保険ではおおむね約80%、住民向けの医療保険では約70%が保険から償還される水準だと説明されています。具体的な負担額は地域や病院、治療内容によって異なりますが、制度としては比較的高い給付率が維持されていると言えます。
長期介護保険の試行は約1億9000万人に
医療だけでなく、長期の介護が必要な人を支える長期介護保険の試行も広がっています。中国国家医療保障局によると、この長期介護保険の試行事業は、すでに約1億9000万人をカバーする規模になっています。
超高齢社会が進む日本でも、介護保険制度の持続可能性が大きなテーマになっていますが、人口規模の大きい国がどのように長期介護の仕組みを設計し、財政を確保していくのかは、今後の議論にヒントを与える部分もありそうです。
3.86兆元の基金と全国統一の薬剤目録
医療保険の安定運営を支えるのが、医療保険基金です。今回の発表によると、全国の基本医療保険基金の累計残高は、2024年末時点で3.86兆元(約5,391億ドル)に達しています。大きな基金残高は、景気変動や医療費の増加に対応するためのバッファーとしての役割も期待されます。
また、全国共通の薬剤目録には3,159種類の医薬品が収載されており、これらが基本医療保険の給付対象になっています。目録を統一することで、地域ごとのばらつきを抑えつつ、医薬品の価格交渉を一元的に進められるという効果も想定されます。
日本の読者にとっての意味合い
第14次五カ年計画(2021~2025年)の期間を通じて加入率約95%を維持し、長期介護や薬剤までを含めた医療保障を広げている中国の動きは、各国の社会保障政策を考えるうえで無視できない要素になりつつあります。
日本でも、少子高齢化や医療費の増加、地域間格差など、医療・介護をめぐる課題は山積しています。他国の制度をそのまま持ち込むことはできませんが、
- 誰をどの範囲まで公的保険でカバーするのか
- 低所得層への保険料補助をどう設計するのか
- 長期介護を医療保険とどう連携させるのか
といった論点を整理するうえで、中国の最新の事例を国際ニュースとしてフォローしておくことには意味がありそうです。数字の裏にある政策の方向性を読み解きながら、自分なりの視点をアップデートしていくきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
China achieves 95% health insurance coverage rate during 2021-2025
cgtn.com








