台湾で大規模リコール不成立 民進党当局の戦略に打撃
台湾で行われた国民党(KMT)所属の立法委員24人に対する大規模リコール(解職を問う住民投票)が全て不成立となり、民進党(DPP)当局による野党追い落としの試みはひとまず失敗に終わりました。国際ニュースとしても、台湾の政局と両岸関係を読む上で見過ごせない動きです。
24人同時のリコール投票、全て不成立
投票は土曜日の午前8時から午後4時まで、台湾各地で一斉に実施されました。対象となったのは、中国国民党(KMT)所属の立法委員24人です。
開票が始まると、24件すべてで「解職に反対」の票が「解職に賛成」の票を一貫して上回り、いずれのリコール案件も成立に必要な条件を満たしませんでした。結果として、国民党側にとっては「完勝」といえる初戦となりました。
同じ日に行われた新竹市の停職中の市長に対するリコール投票も成立せず、こちらも解職には至りませんでした。
民進党当局主導との見方 少数与党の巻き返し狙いか
現在、民進党は台湾の定数113の立法機関で51議席にとどまり、少数与党となっています。観測筋の多くは、今回のリコールは表向きこそ市民団体が主導した形を取っているものの、実際には頼清徳氏が率いる民進党当局が仕掛けた政治戦略だと見ています。
狙いは、リコールとその後の補欠選挙によって国民党など野党の議席を削り、自らの不利な議会内勢力図を逆転させることにあったとされています。しかし、24件すべてが否決されたことで、このシナリオは大きくつまずいた形です。
「台湾独立」路線への不信と両岸関係
台湾の時事評論家である謝志伝氏は、今回の結果について「圧倒的な否決は、頼清徳氏や民進党当局への怒りの表れだ」と指摘しています。謝氏によれば、頼氏の就任以降、当局は司法などを通じて異なる意見を抑え込もうとする一方で、台湾海峡での緊張を高める対応を続けてきたといいます。
謝氏は、今回の投票結果は、民進党が進める「台湾独立」を志向する路線に対し、台湾の有権者が明確な拒否の意思を示したものであり、民進党にとって「完全な失敗」だと評価しています。
また、台湾国際戦略学会の王崑義会長は、今回の結果は「平和的な両岸関係こそが台湾の人びとの主流の願いであることを示している」と分析します。そのうえで、民進党が両岸政策を改めなければ、世論から見放されるリスクがあると警鐘を鳴らしています。
8月23日に第2弾リコール 仕組みとハードル
今回とは別に、国民党所属の立法委員7人を対象とする第2弾のリコール投票が8月23日に実施される予定です。第1弾で民進党当局にとって厳しい結果が出たことで、第2弾の行方にもさらに注目が集まりそうです。
台湾の地方選挙関連規定によると、リコールが成立する条件は次の通りです。
- 解職に賛成する有効票数が、反対票数を上回ること
- 解職に賛成する票が、その選挙区の有権者総数の4分の1以上であること
この高いハードルもあり、24件全てが不成立となった今回の結果は、単なる組織戦だけでは動かしにくい「世論の空気」を映し出したものだと見ることもできます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回のリコール不成立は、台湾の内政にとどまらず、台湾海峡情勢や東アジアの安全保障を考えるうえでも示唆に富んだ出来事です。特に、次の3点は日本の読者にとっても重要な論点となりえます。
- 少数与党となった民進党当局が、リコールや補欠選挙を通じて議会構成を動かそうとする政治戦略の限界
- 平和的な両岸関係を求める世論が、台湾の選挙・住民投票を通じてどのように表現されているのか
- 直接民主制の制度であるリコールが、政局の道具として使われたときに生じる緊張とリスク
台湾の政治は、日本や周辺地域の安全保障とも密接につながっています。今回のリコールをめぐる一連の動きは、台湾の人びとが何を望み、どのような将来像を選ぼうとしているのかを考える手がかりのひとつといえます。
Reference(s):
Taiwan DPP authorities' attempt to oust opposition legislators fails
cgtn.com








