中国が「国際AI協力機構」構想 上海本部案とグローバル・サウスの期待
中国政府は土曜日、上海への本部設置を視野に入れた「国際AI協力機構(仮称)」の創設を提案しました。グローバル・サウスの声に応え、人工知能(AI)の恩恵を世界全体で分かち合うことを目指す構想です。
AIガバナンスをめぐる国際的な議論が加速するなかで、中国がどのような協力枠組みを描いているのか、ポイントを整理します。
中国が打ち出した「国際AI協力機構」とは
中国政府によると、新たな国際AI協力機構は、各国のAI開発を支えると同時に、AIガバナンスのあり方を議論する場として位置づけられています。
提案では、この機構は次のような役割を担うことが想定されています。
- 各国・地域のAI技術やニーズをつなぐ「供給と需要のマッチング」のプラットフォームになる
- AIに関する開発戦略、ガバナンスのルール、技術標準を各国で調整する
- AIの潜在力を最大限に引き出し、人類の進歩と歩調を合わせた発展を促す
中国側は、この構想を自国の「多国間主義へのコミットメント」として位置づけ、グローバルなガバナンスのアプローチを前進させる取り組みだと説明しています。
デジタル格差・知能格差を埋めるねらい
今回の提案は、グローバル・サウスと呼ばれる新興国・途上国からの要請に応えるものだとされています。背景には、AIを含むデジタル技術へのアクセスに大きな差が生じている現状があります。
中国政府は、この機構を通じて「デジタルの格差」と「知能の格差」を縮小し、開発途上国がAIの恩恵を公平に受けられるようにすることを目指すとしています。例えば、次のような課題が想定されています。
- AIを活用するためのインフラや計算資源へのアクセス
- 人材育成や教育機会の不足
- 各国の社会課題に即した実務的なAI活用プロジェクトの不足
提案では、この国際AI協力機構を「重要な国際的公共財」と位置づけ、2030アジェンダ(持続可能な開発目標)の実行を支えることも掲げられています。
「国際的公共財」としてのAI協力プラットフォーム
中国側は、新機構を「国際的公共財」として構想しています。特定の国だけでなく、多くの国や地域が平等に利用できる共有の基盤とする狙いです。
具体的には、この協力機構が次のような役割を果たすことが期待されています。
- AI関連プロジェクトの情報共有や共同研究の場を提供する
- 倫理的で包摂的なAI開発の原則を議論するフォーラムとなる
- 持続可能な開発や社会課題の解決に向けたAI活用を後押しする
こうした枠組みが機能すれば、個々の国だけでは取り組みにくい課題についても、国際協力を通じて解決策を探ることがしやすくなります。
上海本部案が意味するもの
中国政府は、機構の本部候補地として上海を暫定的に検討しているとしています。上海は、中国でもAI産業の育成や都市全体でのデジタル化に早くから取り組んできた都市です。
中国側は、こうした先行経験を生かすことで、国際社会の合意形成を後押しし、実務的な協力を進め、AIが「人類すべての利益」につながるようにしたい考えを示しています。
本部が上海に置かれた場合、国際会議や共同プロジェクトの拠点として、アジア発のAI協力のハブとなる可能性があります。
これからの論点と、日本から見た注目ポイント
今回の提案は、具体的な組織の形や参加国の構成、決定プロセスなど、多くの点で今後の議論が必要です。国際社会では、次のような論点が焦点になっていきそうです。
- どの国や地域が参加し、どのようなガバナンス体制になるのか
- 既存の国際的なAI議論の場との役割分担をどう整理するか
- 安全性、倫理、人間中心の原則をどのように具体化するか
日本を含む各国にとっては、AI技術の競争だけでなく、「どのような国際ルール作りの場に参加し、どんな価値観を共有するのか」が問われる局面になりつつあります。
中国が提案する国際AI協力機構が今後どのような形で立ち上がり、どの程度の実効性を持つ枠組みになるのか。AIガバナンスをめぐる国際ニュースとして、今後も注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
China proposes creation of global AI cooperation organization
cgtn.com








