上海の航空モビリティ博で探る、悪用ドローン対策の最前線 video poster
空飛ぶクルマやドローン配送が現実味を増す一方で、悪用されるドローンをどう止めるかという課題が浮かび上がっています。上海で開かれた国際先進航空モビリティ博覧会を取材したCGTNの動画を手がかりに、中国の低空経済と対ドローン技術のいまを見ていきます。
低空経済の拡大と見えない守護者
2025年現在、中国では低空経済と呼ばれる新しい産業分野が急速に広がっています。低空経済とは、ドローンや空飛ぶクルマなどが都市の比較的低い高度を飛行し、物流や観光、点検などのサービスを担う経済圏のことです。
便利で効率的な一方で、無許可飛行や事故、悪意ある利用といったリスクも高まります。そこで注目されているのが、不審なドローンを検知し、無力化する対ドローン技術です。CGTNの龔喆(Gong Zhe)氏は、上海の国際先進航空モビリティ博覧会の会場で、こうした見えない守護者たちの姿を紹介しました。
上海の国際先進航空モビリティ博で見えたもの
動画では、会場に並ぶ対ドローン関連の装備が次々と登場します。印象的なのは、そのバリエーションの広さです。手に持って使う装置から、大型の地上ステーション、さらには車両に搭載された移動型システムまで、さまざまなレイヤーで空を守る発想が示されています。
手持ち型ドローンガン
まず目を引くのが、いわゆるドローンガンと呼ばれる手持ち型の装置です。見た目は大型のライフルのようですが、目的はドローンを撃ち落とすことではなく、飛行を安全に止めることにあります。オペレーターが不審なドローンに向けて構え、電波を使って制御信号を遮断したり、指定した地点へ誘導したりすることを想定しています。
こうしたハンドヘルド型の装置は、イベント会場や重要施設の周辺など、現場で素早く対応したい状況で活躍が期待されています。
地上ステーションと監視システム
より広いエリアをカバーするのが、先進的な地上ステーションです。会場には、複数のアンテナやセンサー、モニターを備えたシステムが展示されていました。空域を常時監視し、どこにどのドローンが飛んでいるのかを把握し、異常な動きをいち早く検知することを目指します。
重要なのは、単にドローンを止めるのではなく、どの機体が正規のものか、どの飛行が許可されているのかを見分けることです。低空経済が広がるほど、空の交通管理とセキュリティを両立させる仕組みが欠かせなくなります。
移動型防御車両
もう一つの注目は、対ドローン機能を搭載した移動型の防御車両です。車両の上部にレーダーやアンテナが設置され、内部には監視用の画面や操作卓が並びます。必要な場所へ車両ごと移動し、その場で周囲の空域を監視しながら対処できるのが特徴です。
大規模イベントや突発的な事態が起きた地域など、臨機応変に対応するためのモバイルな拠点として想定されています。
明日の都市インフラとしての空の安全
CGTNの動画が伝えているのは、単なる軍事や治安の話ではありません。低空空域をどう管理し、安全を保つかは、これからの都市インフラをどう設計するかという問題でもあります。
ドローン配送や空飛ぶタクシーが本格的に動き出せば、信号機や道路標識のように、空にも見えない交通ルールとセキュリティの網が必要になります。上海の博覧会に並んだ対ドローン技術は、そのための基盤づくりの一部と見ることができます。
読者が考えたい三つのポイント
- 便利さと安全性をどう両立するか:ドローン配送や空飛ぶクルマの恩恵を受けながら、リスクを最小限に抑えるには、技術とルールの両方が必要です。
- 誰が空を管理するのか:自治体、企業、国家など、さまざまな主体が関わる中で、透明性のある運用と責任分担が問われます。
- 市民として何を知っておくべきか:自分の住む都市の上空で何が起きているのか、どんな技術が安全を支えているのかを知ることは、これからの時代のリテラシーになりつつあります。
低空経済の拡大が続く中国の動きを追うことは、日本を含む世界の都市の未来を考えるヒントにもなります。ドローンを飛ばす側だけでなく、それを見守る側のテクノロジーにも目を向けることで、空のインフラの全体像が少しずつ見えてきます。
Reference(s):
cgtn.com








