中国気象局の新構想MAZUとは 地球規模の早期警報ネットワークを目指す
2025年7月26日に開かれた世界人工知能大会(WAIC)で、中国気象局(CMA)が新たな早期警報構想MAZUを発表しました。国連のEarly Warnings for All(EW4All)と連携し、2027年末までに地球規模の早期警報サービス網の構築を目指す国際ニュースとして注目されています。
気候関連のリスクが高まるなか、どこに住んでいても危険な気象・水・気候現象から命を守るための警報が届くことを目標にした取り組みです。デジタル技術と国際協力を組み合わせて、災害リスクを早くつかみ、被害を最小限に抑えようとする動きだと言えます。
中国が打ち出した新構想MAZUとは
MAZUは、中国気象局が世界人工知能大会の場で打ち出した新しい早期警報イニシアチブです。深刻化する気候リスクを背景に、世界をカバーする早期警報サービスネットワークを整備することを掲げています。
- 発表した主体:中国気象局(CMA)
- 公表の場:世界人工知能大会(WAIC)
- 名称:MAZU(頭文字を組み合わせた名称)
- 主な目的:地球規模の早期警報サービスネットワークの構築
- 背景:気候変動に伴う気象・水・気候関連の脅威の高まり
現時点で詳細な技術仕様などは明らかになっていませんが、グローバルな早期警報体制づくりに向けて、中国の気象当局が積極的な役割を担おうとしていることが読み取れます。
国連EW4AllとMAZUの位置づけ
今回のMAZUは、国連が進めるEarly Warnings for All(EW4All)の枠組みのもとで進められる試みとされています。EW4Allは、2027年末までに地球上のすべての人が生命を守るための早期警報システムに守られることを目指す国際的なイニシアチブです。
- 対象とするリスク:危険な気象現象、水害、気候現象
- 目標時期:2027年末までに「すべての人」に早期警報を行き渡らせる
- 進め方:国連が旗振り役となり、各国や地域の取り組みを後押しする枠組み
MAZUは、このEW4Allの一部として、グローバルなサービスネットワークづくりを担う位置づけにあります。複数の国や地域の警報システムをつなぎ、より広い範囲をカバーすることが期待されています。
なぜ地球規模の早期警報ネットワークが必要なのか
豪雨、洪水、干ばつ、猛暑など、気候に関わる極端現象は国境を越えて影響を及ぼします。ある国の上流で起きた大雨が、下流に位置する別の国の洪水リスクを高めることも珍しくありません。
こうしたリスクに備えるには、個々の国の気象システムだけでなく、広域で観測データや警報情報を共有する仕組みが重要になります。グローバルな早期警報ネットワークは、次のような点で意味を持ちます。
- 遠く離れた地域の異常な気象・水文(すいもん)状況をいち早く把握できる
- 広域災害に対して、複数の国や地域が共通の「状況認識」を持ちやすくなる
- AIやデジタル技術を活用して、予測や警報の精度を高める土台になる
早期警報システムが機能するための三つのステップ
早期警報システムは、単に「予測できるかどうか」だけでなく、その情報が人々の行動につながるかどうかが問われます。一般的には、次の三つのステップが重要だとされます。
- 危険を素早く検知し、発生の可能性を評価する
- 分かりやすい形で警報情報を作り、必要な相手に迅速に届ける
- 住民や企業、自治体が具体的な行動に移せるよう、事前の備えと訓練を整えておく
MAZUやEW4Allのような枠組みは、特に一つ目と二つ目のステップを国際的なレベルで強化する取り組みだと言えます。そのうえで、各国・各地域が三つ目のステップをどう設計するかが今後の大きな課題になります。
日本やアジアにとっての意味
日本を含むアジアの多くの国や地域は、台風、豪雨、洪水、高潮など、気象・水関連のリスクが高いエリアに位置しています。こうした地域にとって、地球規模の早期警報ネットワークの動きは無関係ではありません。
- 広い範囲での異常気象の兆候を共有しやすくなる可能性
- 複数の国や地域で共通した警報基準や運用ルールを模索するきっかけ
- 企業や自治体が、防災・減災への投資や対策を考える際の重要な情報源
今後、MAZUの具体的な仕組みや参加する国・地域の輪がどう広がっていくかによって、アジアにおける防災協力の姿も変わっていく可能性があります。デジタルネイティブ世代にとっては、国境を越えた防災データの共有や、スマートフォンを通じた警報のあり方なども、関心のテーマになっていきそうです。
最後の一人まで警報を届けるために
EW4Allが掲げるのは「地球上のすべての人に早期警報を届ける」という非常に野心的な目標です。これは技術だけでなく、通信インフラ、教育、防災文化など、さまざまな要素が組み合わさって初めて実現します。
スマートフォンの通知、自治体の防災無線、テレビやラジオ、SNSなど、私たち一人ひとりにとって身近なチャネル(経路)をどう活用し、どう組み合わせるかも、今後の大きな論点になるでしょう。
MAZUやEW4Allが具体化していくプロセスは、技術と国際協力だけでなく、「最後の一人までどう情報を届けるか」という防災の根本的な問いを、私たちに投げかけています。日々のニュースを追いながら、自分の身の回りでどんな備えができるのかを考えるきっかけにしたいところです。
Reference(s):
China launches initiative to boost global early warning systems
cgtn.com








