中国のAI大規模モデルが世界最多1509件に 世界AI会議2025で公表
世界の人工知能(AI)競争のなかで、中国が公開した大規模AIモデルの数が1,509件に達し、世界最多となったことが「世界AI会議(WAIC)2025」で明らかになりました。世界全体の3,755モデルのうち約4割を占める規模で、中国のAI産業の存在感を端的に示しています。
世界の大規模AIモデルの約4割が中国発
上海で開かれた世界AI会議(WAIC)2025で紹介されたデータによると、中国で公開された大規模AIモデルは1,509件に上り、世界全体3,755モデルの中で最多となっています。数だけでなく、基盤インフラから各分野向けアプリケーションまでを含む、包括的なAI産業システムを構築している点も特徴です。
この数字は、中国が単にAIを「使う側」ではなく、大規模モデルそのものを「作り出す側」として国際舞台で重要なプレーヤーになっていることを示しています。
約5,100社・71ユニコーン 広がるAIエコシステム
中国情報通信研究院(CAICT)のデータによると、中国には5,100社以上のAI関連企業があり、これは世界全体のおよそ15%に相当します。また、評価額10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」のうち、中国のAIユニコーンは71社で、世界全体271社の約26%を占めています。
CAICTの于曉蕙(Yu Xiaohui)院長は、2025年のこの1年で基盤となる大規模モデルの更新スピードが加速し、新しい技術アプローチも相次いだことで、汎用人工知能(AGI)への前進に大きな可能性が見えてきたと指摘しました。そのうえで、中国では以下のような多層的なイノベーション構造が形づくられていると述べています。
- 大手テック企業
- 急成長中のユニコーン企業
- 特定分野に強みを持つ専門企業
- 新興スタートアップ
こうしたプレーヤーが相互に影響し合いながら、新しい技術やサービスを次々と生み出している構図です。
上場企業とユニコーンが「成長エンジン」に
中国のAI産業を牽引しているのは、上場企業とユニコーン企業だと位置づけられています。CAICTによると、中国にはAI関連の上場企業が300社以上あり、これらの企業が生み出すAI関連売上は、中国全体のAI産業規模の約7割を占めています。
とくに中国のAIユニコーンが注力するイノベーション分野として、次の5つが挙げられています。
- 大規模モデル(基盤モデル)
- 自動運転
- 知能ロボット
- ビジネスインテリジェンス(業務・経営分析)アプリケーション
- AI計算チップ
基盤となるモデルから、それを活用するアプリケーション、さらに計算資源を支えるチップまで、バリューチェーン(価値の連鎖)の各層にユニコーン企業が分布していることが分かります。
「高品質な発展」を支える成長エンジンに
于院長は、中国のAI産業が「新技術・新アプリケーション・新しいビジネスモデル」の継続的な登場によって急速に拡大しており、高品質な経済成長と社会発展を支える重要な原動力になっていると強調しました。
大規模モデルの数だけでなく、企業数やユニコーンの比率、上場企業の売上構成などを総合して見ると、中国ではAIが一部の先端企業だけの話ではなく、産業全体に広がる「エコシステム」として機能し始めている姿が浮かび上がります。
世界AI会議2025が示した「連帯」とガバナンスの課題
今回の世界AI会議(WAIC)2025のテーマは「Global Solidarity in the AI Era(AI時代のグローバルな連帯)」でした。会期3日間のWAICと、同時開催された「グローバルAIガバナンスに関するハイレベル会合」は上海で行われ、40以上の国や国際機関のハイレベル代表が参加しました。
AIが経済や社会の成長を牽引する一方で、そのルールづくりやガバナンス(統治)のあり方を国際的に議論していく必要性も高まっています。WAIC2025は、中国のAI産業の現状を示す場であると同時に、各国・各地域が連携しながらAIの未来像を模索する場にもなったと言えます。
日本の読者にとっての意味
日本から見ると、「世界のAIモデルの約4割が中国発」という事実は、AI技術やサービスをどこから導入し、どう組み合わせて使うのかという戦略に直結します。ビジネスパーソンや技術者にとっては、次のような視点が重要になりそうです。
- 中国発の大規模モデルやアプリケーションが、今後どの分野で存在感を増していくのか
- 自社や自分の業務にとって、どの分野(自動運転、ロボット、ビジネスインテリジェンスなど)が最もインパクトが大きいのか
- 国際的なAIガバナンスの議論が進むことで、どのようなルールや標準が形成されていくのか
中国の動向を「遠いニュース」として眺めるのではなく、世界のAIエコシステムの中で自分たちはどこに位置し、何を選び、どの領域で価値を出すのかを考えるきっかけにしてみるとよさそうです。
Reference(s):
China tops global AI model count with over 1,500 large models released
cgtn.com








