肝がんと闘う北京とシカゴ:中国と米国の医師が語るB型肝炎対策 video poster
毎年7月28日の「世界肝炎デー」は、ウイルス性肝炎への理解を深め、予防と早期発見の重要性を世界に呼びかける日です。中国本土の北京と米国シカゴをつなぐ肝臓外科医たちの対話から、B型肝炎対策と肝がん治療のいまを見ていきます。
中国本土で進むB型肝炎対策
中国では、肝炎の新規感染が着実に減少していると報告されています。その背景には、監視体制の強化と、ワクチンを中心とした総合的な予防策の拡大があります。
北京協和病院(Peking Union Medical College Hospital)のMao Yilei(マオ・イーレイ)教授によると、中国のB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの数は大きく減少しており、とくに子どもの感染率が下がっています。
- 5歳未満の子どもにおけるB型肝炎の発症率は、最新の全国調査で0.3%まで低下
- 新生児へのB型肝炎ワクチン3回接種率は95%以上を継続
- 世界保健機関(WHO)が掲げる「2030年目標」をすでに達成
HBVの広がりを食い止めることは、将来の肝障害、肝硬変、肝不全、肝がんといった重い病気を防ぐうえで欠かせません。出生直後からのワクチン接種が、その第一歩となっています。
B型肝炎と肝がん:なぜ早期発見が決定的なのか
B型肝炎ウイルスに感染した人や、肝硬変を抱える人は、とくに肝がんのリスクが高まるとされています。そこで重要になるのが、症状が出る前の「早期発見」です。
Mao教授と、シカゴ大学メディシン(University of Chicago Medicine)のMichael Millis(マイケル・ミリス)教授は、次のような定期検査の必要性を強調しています。
- HBVキャリア(ウイルスを持っている人)
- 肝硬変など、慢性的な肝障害を抱える人
こうした人々は、半年に一度を目安に以下のような検査を受けることが推奨されています。
- 腹部エコー(超音波検査)
- CT(コンピュータ断層撮影)検査
これらの検査は、最も一般的な肝がんの一種である「肝細胞がん」を早い段階で見つけるために役立ちます。肝がんは進行するまで自覚症状が出にくいため、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、定期的なチェックが命を守る鍵になります。
北京とシカゴ、国境を越える医療協力
肝炎や肝がんに対する取り組みは、一国だけでは完結しません。ウイルス性肝炎は世界中で共通する課題であり、治療法や手術技術の向上には国際的な連携が欠かせません。
Mao教授とMillis教授は、中国本土と米国の間で次のような学術交流と協力を進めています。
- 医学生や若手医師の交換留学プログラム
- 肝臓疾患や肝がん治療をテーマにした学会や会議の共同開催
人材交流や共同での場づくりを通じて、両国の知見を持ち寄り、肝がんと闘うための新しい手法の模索が続いています。
私たちにできる3つのアクション
肝炎や肝がんは、「気づいたときには進行していた」というケースが少なくありません。しかし、ワクチンと早期検診を組み合わせることで、リスクを下げられると専門家たちは指摘しています。記事で紹介されたポイントを、日常で意識しやすい3つの行動にまとめました。
- B型肝炎ワクチンの重要性を理解する
新生児期からの3回接種が、将来の肝疾患を防ぐ基盤になります。家族や身近な人ともワクチンの役割について共有してみましょう。 - リスクが高い人は定期検査を受ける
HBVキャリアや肝硬変の人は、6か月ごとの超音波検査やCT検査が肝細胞がんの早期発見に役立ちます。 - 肝炎について話題にする
世界肝炎デーの狙いは、「肝炎は防げる病気だ」という認識を広げることです。家族や友人と話してみること自体が、予防につながる一歩になります。
国際ニュースとしての肝炎対策をどう見るか
中国本土で進むB型肝炎ワクチン接種率の向上と、米国シカゴの専門家との協力は、「感染症対策は国境を越える」という事実を示しています。国際ニュースとして見るとき、単に数字や成果として受け取るだけでなく、「自分の健康行動を見直すきっかけ」として活用できるかどうかが問われています。
世界肝炎デーをきっかけに、B型肝炎や肝がんについて家族や友人と話してみることも、一つの大切な一歩になります。北京からシカゴまで、専門家たちが築いている連携の輪に、私たちも日常の行動から静かに加わっていくことができるのではないでしょうか。
Reference(s):
From Beijing to Chicago: A united front against liver cancer
cgtn.com








