採石から観光へ 中国・浙江省の村が「緑を金に変える」まで video poster
かつて採石場の粉じんに覆われていた中国・浙江省のYucun(ユーツン)村が、この20年あまりで「石の村」から世界が注目する観光地へと生まれ変わりました。環境を守りながら住民の収入をほぼ10倍に伸ばしたこの試みは、グリーン成長を考えるうえで示唆に富んでいます。
採石で潤ったはずの村をむしばんだ粉じん
Yucun村は、長らく採石業に依存してきた山あいの集落でした。周辺には採石場が広がり、村には経済的な恩恵ももたらしましたが、その代償として空気中にはquarry(砕石)の粉じんが舞い、山は削られ、水も濁っていきました。
本来、豊かな自然が魅力であるはずの地域が、その資源ゆえに自らの環境を損ない、将来の発展の可能性を狭めてしまっていたのです。
「石から景色へ」環境再生と観光へのシフト
転機となったのは、「石を売る」のではなく「景色を生かす」という発想への転換でした。村は採石中心の産業構造から一歩ずつ離れ、山や水を守る取り組みを進めていきます。
- 採石業に頼るのではなく、自然環境そのものを資産と見なす方向へ舵を切る
- 濁った水や削られた山を少しずつ回復させ、村の景観を整える
- 訪問客を迎え入れるための宿泊やサービスなど、観光関連の仕事を育てる
こうした変化の積み重ねにより、Yucun村は「石の村」から「景色の村」へと姿を変えました。いまでは澄んだ水と緑豊かな山々が大きな魅力となり、国内外から多くの観光客が訪れるようになっています。
「緑を金に変える」中国のグリーン転換の象徴
現在、Yucun村の住民の所得は、採石に依存していた頃と比べてほぼ10倍に増えたとされています。かつては環境を犠牲にして得ていた収入が、いまは環境を守ることで生まれている――まさに「緑を金に変える」モデルケースです。
この変化は中国のグリーン転換を象徴する取り組みとして、世界からも注目されています。欧州アジアセンター(Europe-Asia Center)の会長で、かつて国連の事務次長を務めたエリック・ソルハイム氏も、Yucun村を訪れてその実情を見つめました。
ソルハイム氏は、中国のグリーン転換の「秘密」を探る中で、Yucun村の経験が、経済発展と環境保護を両立させようとする各国にとってヒントになりうると見ています。
日本の地域が学べる3つのポイント
採石から観光へと大きな方向転換を遂げたYucun村の歩みは、日本の地方やアジア各地の地域にも通じる教訓を与えてくれます。
1. 資源依存から多様な産業へ
ひとつの資源や産業に依存すると、短期的には収入が増えても、環境悪化や価格変動によって地域が不安定になりやすくなります。Yucun村は、採石という「一つの柱」に頼るのではなく、観光やサービスといった新しい柱を育てることで、長期的な安定をめざしました。
2. 環境保全を「コスト」ではなく投資と捉える
環境対策は、しばしば「お金のかかる負担」とみなされがちです。しかしYucun村の経験は、山や水を守ることが長い目で見れば大きな経済的リターンを生む「投資」になりうることを示しています。実際に、環境改善と観光振興を通じて、村人の所得は約10倍に伸びました。
3. 変化のストーリーを発信する
世界各地から人が訪れるようになった背景には、「かつて採石場だった村が、環境を守ることで生き残りの道を見つけた」という物語性もあります。地域の変化のプロセスを丁寧に発信することで、観光客だけでなく、研究者や政策担当者など、多様な人々の関心を引きつけることができます。
これからのグリーン成長をどう描くか
Yucun村の事例は、環境か経済かという二者択一ではなく、「環境を守ることが新しい経済をつくる」という発想転換が現実のものになりつつあることを示しています。
気候変動やエネルギー転換が大きなテーマとなるなかで、中国・浙江省の小さな村の経験は、私たち一人ひとりに次の問いを投げかけています。
- 自分の暮らす地域の「緑」は、どのような「価値」に変えられるだろうか
- 短期的な利益よりも、10年、20年先を見据えた選択ができているだろうか
採石から観光へ、「汚染から繁栄へ」と歩んだYucun村の物語は、これからのグリーン成長の可能性を考えるための出発点のひとつと言えそうです。
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Reference(s):
cgtn.com








