ハイナンテナガザルと歩く:森に戻りつつある静かな命の声 video poster
中国南部の森で、わずか13頭だったハイナンテナガザルが42頭まで増えました。その裏には、毎日テナガザルを追いかけてきた小さなチームと、彼らを見守る村人たちの静かな努力があります。
毎日「彼ら」を追いかける監視チーム
「毎日、彼らを追いかけています。きっと私のことを知っているはずです。ただ、言わないだけでしょう」。そう話すのは、ハイナンテナガザル・モニタリングチームの副隊長、ジョウ・ジャオリー(Zhou Zhaoli)さんです。
ジョウさんが自然保護区の一員になってから、チームはハイナンテナガザルの動きを追い、行動や鳴き声、すむ森の状態を細かく記録してきました。雨の日も霧の日も、彼らのあとを歩き続ける地道な作業です。
13頭から42頭へ:数字に見える希望
ジョウさんが参加した当初、保護区にいるハイナンテナガザルはたった13頭でした。それが今では42頭にまで増えています。
- 保護区参加当初の個体数:13頭
- 現在確認されている個体数:42頭
数字だけを見れば小さな変化に思えるかもしれません。しかし、森にくらす野生動物にとって、1頭1頭の増加は、その地域の森や水、そして人との関係が少しずつ回復しているサインでもあります。
村に響くテナガザルの声は「自然が戻ってきた」合図
いま、保護区周辺の村では、朝や夕方にハイナンテナガザルの鳴き声が聞こえることがあります。村人たちは、その声を誇りに思うようになりました。
かつては森が遠ざかりつつあると感じていた人たちにとって、自分の家の近くからテナガザルの声が聞こえるのは、自然が戻ってきた実感そのものです。野生動物の存在が、地域の新しいシンボルになりつつあります。
なぜこの物語が、私たちにとっても大事なのか
ハイナンテナガザルの保護は、中国南部の一つの森の話に見えますが、その背景には私たちの暮らしともつながる、いくつかの問いが隠れています。
- 人が森に入って見守ることは、自然にとって負担なのか、それとも支えになるのか。
- 野生動物が身近にいることを、危険ではなく誇りと感じられる社会をどうつくるのか。
- 経済活動と自然保護を、対立ではなく共存のテーマとして語るにはどうすればよいのか。
ハイナンテナガザルを追いかける小さなチームと、村で耳を澄ませる人びとの姿は、こうした問いに静かに答えようとしているようにも見えます。
「知っているけれど、言わないだけ」な関係
彼らはきっと私を知っている。ただ、言わないだけだ――ジョウさんの言葉は、人と野生動物の距離感をよく表しています。完全に分かり合うことはできなくても、お互いの存在を認め合いながら、同じ森で生きていく。
ニュースとしての数字は「13頭から42頭へ」という短い一行で終わってしまいます。しかし、その裏側には、毎日の観察、記録、そして村人の意識の変化といった、無数の小さな選択が積み重なっています。
ハイナンテナガザルの声が響く森で起きていることは、遠い国の話ではなく、私たちがこれからどんな未来を選ぶのかを考えるヒントにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








