中国AIがDeepSeekに猛追 オープンモデル競争が世界の開発を加速
中国の生成AI企業が、DeepSeekに対抗する最新モデルを次々と公開しています。推論やコーディング、エージェント機能まで備えたオープンモデルの競争が、2025年現在の世界のAI開発を加速させています。
DeepSeek後も続く中国発生成AIの猛追
数カ月前に登場したDeepSeekは世界の注目を集めましたが、その後も中国の生成AI企業は勢いを緩めていません。最近では、北京や深圳を拠点とする複数の企業が、DeepSeek級の能力をうたう新モデルを立て続けに投入しています。
月曜日には、北京拠点のZhipu.AIが生成AIプラットフォーム「GLM-4.5」を発表しました。このプラットフォームは、複雑な推論、プログラミング、そして自律的にタスクをこなすエージェント機能をネイティブに統合したとされます。公式Xアカウントの更新によると、インタラクティブなミニゲームから物理シミュレーションまで、単体で完結した高度な成果物を生成できるのが特徴です。
米国のOpenAI研究者は、ブログ「Chinese Progress at the Front」で、Zhipuが「競争力の高い価格で、独自にライバルとなるモデルを構築している」と評価しており、中国勢の存在感の高さを示しています。
GLM-4.5、Qwen3、Kimi K2、HunyuanWorld-1 主要モデルの特徴
GLM-4.5:推論・コーディング・エージェントを一体化
すでに触れたGLM-4.5は、複雑な推論やコード生成、自律エージェント機能を一体化したプラットフォームとして位置づけられています。インタラクティブなミニゲームや物理シミュレーションなど、動作するアプリケーションそのものを生成できる点が特徴です。
Qwen3:推論とエージェント性能を強化
先週には、アリババのAI部門が推論特化型モデル「Qwen3」の新バージョンを公開しました。開発チームによれば、Qwen3は「より賢く、より多くの知識を持ち、こなせるタスクが増え、エージェント関連の作業でもより良く動作する」と説明されています。チームはX上で「これは小さなアップデート。もっと大きなことが間もなくやって来る」と予告しており、今後の展開にも関心が集まります。
Kimi K2:一から学習せずに使えるオープンアクセスモデル
今月には、北京発のスタートアップMoonshot AIが「Kimi K2」を公開し、競争に加わりました。このモデルはオープンアクセスで、開発者は一から学習をやり直すことなく、自由に利用し、微調整し、機能を拡張できるとされています。大規模な計算資源を持たない開発者にとっても、高性能モデルを基盤にした開発がしやすくなる点が注目されています。
HunyuanWorld-1:360度の没入型バーチャル世界を即時生成
日曜日には、深圳拠点の大手企業テンセントが「HunyuanWorld-1」を発表しました。このモデルは、歩き回ることができる没入型の360度バーチャル世界を瞬時に生成し、しかもその世界をユーザーが自由に編集できるとされています。生成AIがテキストや画像だけでなく、仮想空間そのものの構築へと広がっていることを象徴する動きです。
オープンモデルランキングで中国勢が上位を独占
木曜日時点で、オープンソース系モデルを集計するプラットフォームHugging Faceのオープンモデル向けリーダーボードでは、Zhipu.AIのGLM-4.5が首位に立っています。Qwenやテンセントのモデルもこれに続き、Kimi K2は9位にランクインしています。
トップ10のうち8モデルが中国発という結果になっており、中国企業がオープンな生成AIモデル分野で大きな存在感を示していることが数字からも分かります。
- GLM-4.5がオープンモデルランキングで1位
- Qwenやテンセントのモデルがそれに続く上位にランクイン
- Kimi K2は9位に位置
- トップ10のうち8モデルが中国発
世界のAI開発を刺激する中国発オープンモデル
北京で今月開かれた展示会に参加したNvidia創業者で最高経営責任者(CEO)のジェンスン・フアン氏は、DeepSeek、アリババ、テンセント、MiniMax、百度のErnie Botなどのモデルについて、世界レベルの水準にあり、中国で開発されオープンに共有されることで世界のAI開発を後押ししてきたと語りました。
こうした評価は、中国発のモデルが国内市場向けにとどまらず、世界中の研究者や開発者にとって重要な基盤になりつつあることを物語っています。
オープンな生成AIモデルの広がりは、次のような影響をもたらすと考えられます。
- 高性能モデルを一から学習させなくても、既存モデルを基盤にサービスを開発できる
- スタートアップや研究機関など、多様なプレーヤーの参入ハードルが下がる
- 言語、産業分野、ユースケースごとに最適化された多様な派生モデルが生まれやすくなる
1,509モデルと「グローバルAI協力」構想
現時点までに、世界で公開されたAIモデル3,755件のうち1,509件が中国からのモデルとされています。数だけで見ても、中国がAIモデル開発の主要な拠点になっていることがうかがえます。
先週には、中国政府が世界的な技術協力を進めるため、グローバルAI協力組織の設立を提案しました。オープンなモデルを軸にしながら、国際的なルール作りや安全性の確保、技術共有をどのように進めていくかが今後の焦点になりそうです。
日本の読者にとっての意味合い
中国発のオープンモデルが台頭するなか、日本や他地域の開発者や企業にとっても、利用可能な選択肢は急速に広がっています。英語圏中心のモデルだけでなく、アジアの言語や市場に近い環境で育ったモデルをどう組み合わせるかが、今後のサービス設計の重要なポイントになりそうです。
生成AIの開発競争は依然として動的で、イノベーションの余地も大きい分野です。今後、どのような協調や競争のかたちが生まれるのか、引き続き注視していく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








