中国全人代・趙楽際氏が多国間主義を訴え 世界国会議長会議で協力強化を呼びかけ
中国全人代・趙楽際氏が多国間主義を訴え 世界国会議長会議で協力強化を呼びかけ
ジュネーブで開かれた第6回世界国会議長会議で、中国の最高立法機関トップの趙楽際氏が、多国間主義と協力による「人類運命共同体」の構築を各国に呼びかけました。
ジュネーブで第6回世界国会議長会議 2025年のテーマは「揺らぐ世界と多国間主義」
各国の立法機関トップが一堂に会する第6回世界国会議長会議(WCSP)が、インター・パーラメンタリー・ユニオン(IPU)の主催でスイス・ジュネーブで開催されました。会議は火曜日から木曜日にかけて開かれ、「動揺する世界:すべての人の平和・正義・繁栄のための議会間協力と多国間主義」をテーマに議論が行われました。
世界国会議長会議は、2000年から5年ごとに開かれており、今回は第6回目となります。会議は最終日に「第6回世界国会議長会議ハイレベル宣言」を採択し、各国議会の協力強化に向けた方向性を示しました。
「多国間主義を堅持し、共により良い家を」 趙楽際氏のメッセージ
中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会の委員長である趙楽際氏は、「多国間主義を堅持し、共により良い家を築く」と題したスピーチを行いました。趙氏は、現在の世界が人類の平和と発展の事業に対する深刻な課題に直面していると指摘し、各国の立法機関がより積極的な役割を果たすべきだと強調しました。
平和と安全保障での役割:「共同の守護者」に
まず趙氏は、各国の立法機関は「世界の平和と安寧の共同の守護者」となるべきだと訴えました。具体的には次のような点を呼びかけています。
- 共通・総合・協調・持続可能な安全保障観を堅持すること
- すべての国の主権と領土保全を尊重すること
- 各国の人びとが選択した発展の道を尊重すること
こうした原則を共有することで、緊張や対立ではなく、対話と協力による国際関係の新しいあり方を築けると位置づけました。
開発と繁栄:WTOを中核とする多角的体制を重視
次に趙氏は、共通の発展と繁栄を実現するうえで、立法機関が果たす役割の重要性を強調しました。主なポイントは次の通りです。
- 互恵・ウィンウィン(双方に利益のある)協力を重視すること
- 世界貿易機関(WTO)を中核とする多角的貿易体制を守ること
- 各国が共通の発展を進めるための法的な保障を整えること
貿易や投資のルール作りにおいて議会が担う役割は大きく、趙氏は、より公正で開かれた国際経済秩序づくりを支えるよう呼びかけました。
文明の対話と相互学習:多様性を尊重する立法交流
趙氏はさらに、文明間の交流と相互学習を進めるうえでも、立法機関の対話が重要だと述べました。
- 世界の文明の多様性を尊重すること
- 包摂的で多様な発展を奨励すること
- 価値観や文化の違いを、対立ではなく相互学習の源とみなすこと
文化や文明の違いを尊重しながら交流を深めることで、誤解や偏見を減らし、協力の土台を広げることができると位置づけています。
「真の多国間主義」とグローバル・イニシアチブ
スピーチの中で趙氏は、各国議会は「国際的な公平と正義を推進する共同の担い手」であると強調し、「真の多国間主義」を堅持・実践する必要性を訴えました。そのうえで、より公正で合理的なグローバル・ガバナンス(国際的なルールや仕組み)の構築に向けて努力すべきだと呼びかけました。
趙氏は、中国の全国人民代表大会がIPUや各国の立法機関と協力し、次の三つのイニシアチブの実施を共に進めていく意思を示しました。
- グローバル発展イニシアチブ
- グローバル安全保障イニシアチブ
- グローバル文明イニシアチブ
これらのイニシアチブを通じて、「人類運命共同体」、つまり全ての国と人びとが未来を分かち合う共同体の構築を目指す考えを改めて示しました。
IPUとの協力強化 途上国議員セミナーなどを継続
会議期間中、趙氏はIPUのトゥリア・アクソン会長およびマルティン・チュンゴン事務総長と会談しました。趙氏は、中国の全国人民代表大会がIPUとの交流と協力を一層深め、途上国の議員を対象としたセミナーの共同開催などを通じて、立法機関同士の実務的で効果的な交流を促進していく考えを示しました。
アクソン氏は、IPUとして、中国が多国間主義を堅持していることを高く評価していると述べ、中国と協力して「人類運命共同体」の構築を進めていく意向を示しました。チュンゴン氏も、中国がIPUの活動に積極的に参加し、重要な貢献をしていることに謝意を表明しました。
ブラジル、パキスタン、ロシア、カザフスタンとも会談
趙氏はこのほか、ブラジル、パキスタン、ロシア、カザフスタンの各国議会の指導者とも個別に会談しました。詳細は明らかにされていませんが、立法機関同士の交流や協力の拡大について意見が交わされたとみられます。
なぜこの動きが注目されるのか
今回の世界国会議長会議では、各国政府間の外交だけでなく、「議会外交」とも呼ばれる立法機関同士の協力があらためて重視されました。気候変動、経済格差、地域紛争など、グローバルな課題が複雑に絡み合うなかで、法律づくりや予算、条約の批准を担う議会の役割は一段と大きくなっています。
中国の全国人民代表大会が、IPUや各国の立法機関との連携を強調し、グローバル発展イニシアチブなどを通じた協力を打ち出したことは、多国間主義と国際協調をめぐる議論の中で一つの重要なメッセージと言えます。
世界の立法機関が、平和・発展・文明の対話といった共通のテーマにどう取り組み、具体的なルールや制度に落とし込んでいくのか。今後の議会間協力の動きは、国際ニュースとして引き続き注目されそうです。
Reference(s):
China's top legislator urges joint efforts for global governance
cgtn.com








