北京で「世界青年平和イニシアチブ」発表 戦後80年、若者が示した5つの約束
国際ニュースとして注目される北京で開かれた「世界青年平和会議」で、各国の若者代表が「世界青年平和イニシアチブ」を共同発表しました。戦後80年の節目に、平和・開発・気候変動・テクノロジーをめぐる若者の5つの約束が示されています。
北京で「世界青年平和会議」開催
北京で火曜日に開催された「世界青年平和会議」では、中国や各国の若者代表が集まり、「世界青年平和イニシアチブ(World Youth Peace Initiative)」と題する文書を採択しました。会議の場で、出席した若者たちは世界平和の重要性を改めて強調し、行動への決意を表明しています。
イニシアチブは、今年(2025年)が「世界反ファシズム戦争の勝利」と国際連合(国連)創設から80年となる節目の年であることを出発点にしています。戦争の惨禍を乗り越えて築かれてきた国際秩序と、平和と発展をめざす国連の役割を改めて見つめ直そうという呼びかけです。
「世界青年平和イニシアチブ」が掲げる5つの柱
イニシアチブは、今日の世界が「団結か分断か、対話か対立か、共に栄えるかゼロサムか」という岐路に立っていると指摘し、若者世代に5つの行動原則を示しています。
1. 世界平和を守る
まず、若者が歴史から学び、世界平和を積極的に守るべきだと訴えています。
- 歴史の歪曲を許さず、正義を守ること
- あらゆる戦争と暴力に反対すること
- 一方的な行動や覇権主義、保護主義を拒否すること
そのうえで、第2次世界大戦の勝利によって築かれた国際秩序を大切にし、国連を中心とする国際システムと国際法に基づく秩序を守ること、「真の多国間主義」を実践することを求めています。
2. 文明間の相互学習を進める
次に、平和を守るためには「心の中に平和の防波堤を築く」ことが欠かせないとし、文明や文化の対話を強調しています。
- 文明は互いに優劣ではなく、平等であると認め合うこと
- 文化交流によって疎遠さを乗り越えること
- 相互学習によって「衝突」のイメージを超えること
- 共生を通じて「自分たちこそ優れている」という感覚を乗り越えること
多様な文化や価値観を持つ人びとが互いに理解を深めることで、文明間の調和や人と人との友情を育てていこうという呼びかけです。
3. 「ウィンウィン」の協力を広げる
3つめの柱は、平和の土台としての「開発」です。若者は、互いに利益を分かち合う「ウィンウィンの協力」と共通の発展を重視すべきだとしています。
- 多国間や地域の枠組み・プラットフォームを活用して、若者どうしの協力を深めること
- 国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実践に積極的に関わること
- 「未来サミット(Summit of the Future)」の成果を行動につなげること
こうした取り組みを通じて、世界の開発格差を縮め、包摂的で公正な成長を後押しする「若い力」を注ぎ込もうと呼びかけています。
4. 気候変動に立ち向かう
4つめは、気候変動への対応です。イニシアチブは、気候変動が「人類共通の家」である地球への重大な脅威だと指摘し、若者に次のような行動を促しています。
- 「地球規模の連帯」を掲げて、気候行動に積極的に参加すること
- 気候危機に対する革新的な解決策を模索すること
- 世界の環境ガバナンス(環境をめぐる国際的なルールづくり)の改善に貢献すること
国境を越えた協力によって、気候変動という共通課題に「手を携えて」取り組む姿勢を示しています。
5. 「社会のためのテクノロジー」を推進する
最後の柱は、テクノロジーと平和の関係です。人工知能(AI)など新しいテクノロジーは、平和の促進に役立つ一方で、新たなリスクも生み出し得ると指摘します。
- 若者がAIなど新たな分野の最前線に立ち、責任を持って関わること
- 技術の進歩が人類全体に利益をもたらすようにすること
- デジタル化の恩恵が特定の人だけでなく、誰もが享受できる「包摂的なデジタル発展」をめざすこと
こうした視点から、より公正で持続可能なテクノロジーの国際ルールづくりに、若者ならではのアイデアと解決策で貢献しようと呼びかけています。
戦後80年、岐路に立つ世界と若者の役割
イニシアチブは、80年前に人類がファシズムに立ち向かい、巨大な犠牲の末に平和を勝ち取った歴史を振り返りながら、「いま再び世界は岐路にある」と語っています。
高度なテクノロジーと経済の相互依存が進んだ一方で、地域紛争や経済格差、気候危機など、国境を越える課題は複雑さを増しています。イニシアチブは、そうした状況の中で、若者が「見ているだけの世代」ではなく、「行動する世代」として責任を担うべきだと強調します。
日本を含む世界の20〜40代にとっても、これは遠い国際ニュースではありません。日々の学びや仕事、オンラインでの発信、地域での活動など、それぞれの場でできる小さな実践を積み重ねることが、イニシアチブのメッセージとつながっていきます。
私たちはこの呼びかけをどう生かすか
「世界青年平和イニシアチブ」は、具体的な政策や数値目標を示すというより、若者に向けた価値観と方向性の提案です。だからこそ、受け取る側である私たち一人ひとりが、自分の言葉に翻訳して考えることが求められます。
- ニュースや歴史から学び、戦争や暴力について自分の意見を言葉にしてみる
- SNSやオンラインコミュニティで、異なる背景をもつ人びとと対話してみる
- 気候変動やテクノロジーの使い方について、身近な行動を一つ変えてみる
80年前、先人たちは団結によって暗闇に光を灯しました。イニシアチブは、「これからの80年を形づくるのは、行動する若者世代だ」と位置づけています。私たちが日常の中でどんな選択をするかが、次の時代の平和や持続可能な社会のかたちを静かに左右していきます。
国際ニュースを日本語で追いながら、世界の若者が発したこのメッセージを、自分や身近な人との対話のきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








