中国がパキスタン向けリモートセンシング衛星PRSS-1打ち上げ 防災・資源調査に活用へ video poster
中国は2025年7月31日、西南部・四川省の西昌衛星発射センターからパキスタン向けリモートセンシング衛星「Pakistan Remote-Sensing Satellite(PRSS-1)」を打ち上げました。土地資源調査や防災・減災に使われるこの衛星は、宇宙を通じた国際協力の新たな一歩として注目されています。
四川省・西昌からPRSS-1を打ち上げ
PRSS-1は、四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げられました。発射は午前10時に行われ、衛星は中国のロケット「快舟1号A(Kuaizhou-1A、KZ-1A)」によって運ばれ、計画された軌道への投入に成功しました。
今回の打ち上げは、快舟1号Aロケットにとって通算29回目のミッションとなります。同じロケットでの打ち上げ回数が重なることは、運用経験の蓄積や信頼性の向上という点でも意味を持ちます。
PRSS-1は何をするリモートセンシング衛星か
ユーザー側の情報によると、PRSS-1は主に「土地資源調査」と「防災・減災」の分野で利用される予定です。リモートセンシング衛星とは、宇宙から地表を観測し、画像やさまざまなセンサーのデータを取得する衛星のことを指します。
地上からでは一度に把握しづらい広い範囲の様子を、定期的かつ客観的に記録できるのが特徴で、農業、都市計画、環境監視など多くの分野で活用されています。
土地資源調査で見えてくるもの
土地資源調査では、衛星画像を使って次のような点を把握できます。
- 農地、森林、都市など土地利用の変化
- 水資源や湖沼、河川の状況
- 土壌や植生(植生の分布や状態)の把握
こうした情報は、農業生産の計画づくりや、持続可能な形での土地利用を考えるうえで重要な基盤データになります。パキスタンのように農業が重要な国にとって、リモートセンシング衛星のデータは政策立案や現場の意思決定を支えるインフラになり得ます。
防災・減災への貢献
PRSS-1は、防災・減災にも活用されるとされています。リモートセンシング衛星は、次のような場面で力を発揮します。
- 大雨や洪水時の浸水範囲の把握
- 地滑りや土砂災害リスク地域の把握
- 干ばつや高温による農作物被害の広がりの把握
災害発生後、衛星データを用いて被害の全体像を早期に把握できれば、救援活動や復旧計画を効率的に進める助けになります。事前のリスク評価やハザードマップ作成など「備える防災」にも役立つと考えられます。
快舟1号Aロケットの29回目のミッション
今回PRSS-1を打ち上げた快舟1号A(KZ-1A)は、中国が運用する小型ロケットです。ユーザー側の情報によると、今回の打ち上げはこのロケットにとって29回目のミッションとなりました。
同一シリーズのロケットで多数の打ち上げが行われることは、技術的な蓄積と市場での存在感の両方を意味します。小型衛星や地球観測衛星の需要が高まるなかで、打ち上げ手段の多様化は宇宙利用を後押しする要素の一つです。
中国とパキスタンの宇宙協力という側面
今回打ち上げられた衛星は「Pakistan Remote-Sensing Satellite」という名称からも分かるように、パキスタン向けのリモートセンシング衛星と位置づけられています。衛星を打ち上げる国と、データを主に利用する国が異なる形のプロジェクトは、近年の宇宙分野における国際協力の一例と言えます。
中国がパキスタン向けのリモートセンシング衛星を打ち上げることにより、両国間での技術協力やデータ利用の連携が進む可能性があります。宇宙技術が、防災や資源管理といった社会的な課題を共有する国どうしをつなぐ「共通基盤」になりつつあることを示す動きとも受け取れます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
このニュースは、一見すると「中国とパキスタンの話」に見えるかもしれません。しかし、日本の読者にとっても次のような観点で意味があります。
- 宇宙=防災インフラの時代
衛星データは、豪雨や台風、地震後の把握など、防災・減災の基盤情報として重要性を増しています。 - アジア発の宇宙協力
欧米だけでなく、アジア諸国間での衛星協力が進むことで、地域全体の災害対応力や資源管理能力の底上げにつながる可能性があります。 - データをどう使うかという視点
衛星自体だけでなく、そのデータを誰が、どのように分析し、政策やビジネスに生かすのかという「データ活用力」も問われます。
これからの注目点
2025年後半の時点で、PRSS-1はすでに軌道上に投入されています。今後は、
- 実際にどのような土地資源調査に使われるのか
- 防災・減災の現場で衛星データがどう活用されるのか
- 中国とパキスタンの宇宙分野での協力がどのように広がっていくのか
といった点が注目されます。宇宙開発は、ともすると「ロケット」や「技術」の話に偏りがちですが、その先にある暮らしや安全保障、環境保全といったテーマと結びつけて見ることで、ニュースの意味が立体的に見えてきます。
今後数年の国際ニュースをフォローするうえでも、今回のPRSS-1打ち上げは、アジアにおける宇宙協力の流れを考える手がかりとして記憶しておきたい出来事と言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








