標高4500メートルの教室から:中国・Xizangで進む教育の質向上
標高4500メートルの校庭から
中国西部の高地に位置するXizang自治区バインゴイン県。標高4500メートルを超えるこの地の小学校では、澄んだ空気の中、子どもたちの笑い声が校庭に響いています。
この学校は、周辺の牧畜地域に暮らす子どもたちに学びの場を提供してきました。アクセスが難しい地域においても、教育を受ける機会を確保することは長年の課題でしたが、その姿は少しずつ変わりつつあります。
体育と文化をつなぐ授業
教室で学ぶのは算数や語学だけではありません。児童たちは、gzhas chen と呼ばれる伝統的なチベット舞踊も学んでいます。
この舞踊の授業は、体育と文化継承を組み合わせたカリキュラムの一部です。体を大きく動かしながらリズムを覚え、仲間と息を合わせることで、子どもたちは体力と同時に、自分たちの文化への誇りやアイデンティティも育んでいます。
1300人以上が学ぶ、寄宿と通学のハイブリッド
この小学校は、シノペックによる1億元(約1390万ドル)を超える投資で建設され、過去10年ほどの間に大きく拡張されてきました。現在は周辺地域から1300人以上の児童が通い、その約半数が寮で生活しています。
残りの児童は自宅から通学していますが、牧畜を営む家庭も多く、学校までの道のりは決して短くありません。ある寄宿制の児童は、中国メディアグループ(CMG)の取材に次のように話しています。
「私の家はここから100キロ以上離れています。学校がとても気に入っています。ごはんはおいしいし、たくさんの友だちがいて、先生たちはサッカーやバスケットボールも教えてくれます。」
遠く離れた家庭に代わって生活と学びを支える寄宿制は、アクセスが難しい地域での教育を支える重要な仕組みになっています。
二言語教育でひろがる選択肢
教室ではチベット語と標準中国語の両方で授業が行われています。児童が自らの言語と文化を大切にしながら、広く社会とつながるための共通語も身につけられるようにするねらいがあります。
母語教育は、文化や価値観を受け継ぐ土台になります。一方で、標準中国語を学ぶことは、国内の他地域との交流や進学・就職の選択肢を広げることにもつながります。この学校は、その二つを両立させることで、子どもたちの将来の可能性を広げようとしています。
家族の信頼にどう応えるか
学校の校長はCMGに対し、「ご家族は私たちに子どもを託してくれています。最高の教育を提供することが私たちの責任です」と語っています。
長距離を移動して寮に入る子どもを送り出すことは、保護者にとって小さな決断ではありません。校長の言葉には、その信頼に応えたいという現場の思いがにじみます。
アクセスから質へ、Xizang教育の現在地
これまで、辺境地域の教育といえば、学校までの距離や教室の数など、まずはアクセスをどう確保するかが課題として語られてきました。
バインゴイン県のこの小学校の取り組みは、その次の段階として、教育の質をどう高めるかという問いに向き合っているように見えます。
- 伝統舞踊と体育を統合したカリキュラム
- 寄宿制と通学制を組み合わせた運営
- チベット語と標準中国語による二言語教育
こうした試みは、子どもたちの基礎学力だけでなく、健康、文化的アイデンティティ、将来の選択肢といった、多面的な学びの質を高めようとするものです。
標高4500メートルの高地に立つこの学校は、教育への物理的なアクセスだけでなく、教育の中身そのものをどう充実させていくかという、より広い問いを私たちに投げかけています。
Reference(s):
From 'access' to 'quality': Xizang makes historic strides in education
cgtn.com








