北京で世界ロボット大会2025 ロボット革新が示す次の一歩
今年8月に北京で開かれた「世界ロボット大会2025」は、100点を超える最先端ロボットの初披露やヒューマノイドの競演を通じて、中国と世界のロボット技術の現在地と行方を映し出す場となりました。
北京E-Townで開催された国際ロボット見本市
世界ロボット大会2025は、8月8〜12日に北京経済技術開発区(Beijing Economic-Technological Development Area、通称「北京E-Town」)で開催されました。テーマは「ロボットをよりスマートに、エンボディドエージェントをよりインテリジェントに」です。
会場には世界各地からロボット企業200社以上が集まり、1,500点を超えるロボット関連の展示が行われました。大会は中国電子学会(Chinese Institute of Electronics)と世界ロボット協力機構(World Robot Cooperation Organization)が共催し、国際的なロボットイベントとして存在感を高めています。
中国電子学会の許小蘭(Xu Xiaolan)会長によると、この10年で大会を支援する国際機関は12から28へと増え、海外からの参加者も10人あまりから80人超へと拡大しました。2025年の大会も、国際機関の参加数が過去最多となると見込まれていました。
100点超の新製品が初披露 広がるロボットの用途
今回の世界ロボット大会では、100点を超える最先端ロボット製品が初めて公開されました。これは前年のおよそ2倍にあたり、大会が「ロボット技術の世界的な発表の場」として定着しつつあることを示しています。
初披露されたロボットは、産業から日常生活まで幅広い分野にまたがりました。
- 荒れ地も軽快に走行できる四足歩行ロボット
- 災害現場での人命救助を想定したレスキューロボット
- インフラ設備を点検する検査ロボット
- 医療現場で活用が期待されるカテーテル成形ロボット
- 家庭向けのロボット芝刈り機など生活支援ロボット
従来の工場向け産業用ロボットだけでなく、医療、防災、家庭など多様な場面でロボットを活用する構想が、具体的な製品として形になりつつある様子がうかがえます。
ヒューマノイドと「エンボディドエージェント」に熱視線
大会の「花形」となったのが、人型のヒューマノイドロボットです。全身型ヒューマノイドを手がけるメーカー50社が最新モデルを出展し、歩行や物の受け渡し、会話など、人間らしい動きやコミュニケーション能力を披露しました。
今年のテーマに掲げられた「エンボディドエージェント」とは、AI(人工知能)が物理的な身体を持ち、自律的に行動する存在を指します。単なる画面上のキャラクターやチャットボットではなく、センサーやモーターを通じて現実世界に働きかける「身体性を持つAI」です。
例えば、工場で人と協働して作業するロボット、病院で患者を案内するロボット、高齢者の話し相手になりつつ見守りも行うロボットなどは、エンボディドエージェントのイメージに近い存在と言えます。大会は、こうした「賢く、身体を持つAI」が今後どこまで高度化するのかを示すショーケースとなりました。
数字で見る中国のロボット産業の存在感
中国はロボット分野で大きな存在感を示しています。2024年には、世界全体のロボット関連特許出願の3分の2を占め、産業用ロボットの生産台数は55万6,000台に達しました。世界のトップメーカーとしての地位を維持している形です。
こうした研究開発力と生産規模を背景に、世界ロボット大会は中国国内だけでなく、海外の企業や研究機関にとっても重要な発表と交流の場となっています。国際的な支援機関の増加や海外参加者の拡大は、同大会がロボット分野のハブとして機能しつつあることを示しています。
産業から消費へ ロボット消費フェスの狙い
大会期間中には、ロボット消費フェスティバルも併催されました。ロボットに関する最新技術を一般の来場者にも体験してもらい、産業の高度化だけでなく、消費市場の拡大も促す狙いがあります。
産業用ロボットに象徴される企業間取引だけでなく、家庭用ロボット掃除機や芝刈り機、サービスロボットなど、消費者向けのロボット市場をどう育てるかは、ロボット産業全体の成長にとって重要なテーマになりつつあります。
日本の読者にとっての意味 ロボットと社会のこれから
世界ロボット大会2025で示されたのは、最先端のロボット技術だけではありません。ロボットを通じて産業構造をどう変え、日常生活をどう支えていくのかという、より大きな問いでもあります。
日本を含む多くの国や地域にとって、ロボットは重要な産業分野であり、少子高齢化や人手不足といった課題に向き合うための選択肢の一つでもあります。北京で披露された技術や取り組みは、そうした課題への別のアプローチを知る手がかりになります。
工場の自動化だけでなく、医療、防災、家庭など、ロボットが関わる領域は今後さらに広がっていくとみられます。今年の北京での動きは、「ロボットと共に暮らす社会」で何を大切にすべきかを、静かに考えさせる材料と言えるでしょう。
Reference(s):
Beijing gears up for World Robot Conference with robotics innovation
cgtn.com








