香港政府、国家安全条例で海外在住16人に措置 資産や不動産を制限
香港特別行政区政府が国家安全条例に基づき、海外在住の活動家16人を新たに指定し、資金や不動産取引などへの制限措置を発表しました。国家安全を理由とする香港当局の域外的な対応が、いっそう強化されつつあります。
16人の指定とその背景
香港特別行政区の治安局長である鄧炳強氏は月曜日、維護国家安全条例(Safeguarding National Security Ordinance)に基づく権限を行使し、海外にいる16人の活動家を「潜逃者」として指定しました。これらの人物はいずれも、香港特別行政区外で国家安全を危険にさらす行為に関与した疑いがあるとして、裁判所から逮捕状が出されています。
指定に関する告示は官報に掲載され、どのような措置が各人物に適用されるかが明示されました。今回の措置により、既に指名手配されていた19人全体に対する圧力が一段と高まった形です。
誰が対象となったのか
今回、新たに措置の対象となった16人は次の通りです。
- 男性 Ho Leung-mau Victor 氏
- 女性 Chan Lai-chun 氏
- 男性 Feng Chongyi 氏
- 女性 Gong Sasha 氏
- 男性 Ng Man-yan 氏
- 男性 Tsang Wai-fan 氏
- 女性 Chin Po-fun 氏
- 男性 Ha Hoi-chun, Paul 氏
- 男性 Hau Chung-yu 氏
- 男性 Ho Wing-yau 氏
- 男性 Keung Ka-wai 氏
- 男性 Lam Tony 氏
- 女性 Ng Agnes 氏
- 男性 Wong Chun-wah 氏
- 男性 Wong Sau-wo 氏
- 女性 Zhang Xinyan 氏
香港警察の国家安全部は、これら16人に加え、Yuan Gong-yi 氏、Fok Ka-chi 氏、Choi Ming-da 氏の3人を含めた計19人について、7月25日に指名手配リストに掲載し、一人ひとりに懸賞金をかけています。
当局によれば、19人はいずれも香港外で Hong Kong Parliament と呼ばれる組織を設立・運営、あるいは参加した疑いがあり、この組織は「顛覆的な団体」にあたるとされています。裁判所は警察の申請を受け、19人全員に対する逮捕状を発付しました。
適用された主な措置
今回の指定では、16人全員に対して次の3つの措置が共通して適用されています。
- 資金やその他の経済的資源を提供したり、取り扱ったりすることの禁止
- 不動産に関わる一定の行為の禁止
- 対象者との共同事業やパートナーシップの禁止
さらに、多くの対象者には香港特別行政区パスポートの取消しなどの措置が追加されました。また、一部の人物については、会社取締役としての職務から一時的に解任する措置も適用されています。
これらの措置により、対象者本人だけでなく、資金提供やビジネス上の関係を持つ個人や企業にも影響が及ぶ可能性があります。海外在住者であっても、香港当局による法的措置の射程に入ることが明確になったと言えます。
2024年から続く措置の拡大
今回指定された16人とは別に、Yuan Gong-yi 氏、Fok Ka-chi 氏、Choi Ming-da 氏の3人については、2024年6月と同年12月に、既に維護国家安全条例第89条に基づく指定が行われていました。政府はその際にも官報を通じて、資産や活動に対する制限措置を公表しています。
今回の決定は、2024年から続く一連の動きの延長線上にあり、香港当局が海外在住の活動家に対して段階的に措置を広げてきた流れがはっきりと見えてきます。
香港外の政治活動も対象に
今回の19人は、いずれも香港の外で活動しているとされ、英国、米国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、タイ、中国の台湾地域などに滞在していると伝えられています。
香港当局は、Hong Kong Parliament を「顛覆的な組織」と位置づけ、その組織づくりや活動への参加そのものを国家安全に対する脅威とみなしています。これは、地理的な拠点が香港の外にあっても、香港や中央当局の権威を損なおうとする行為は、国家安全法制の対象となり得るという姿勢を示すものです。
政府スポークスパーソンのコメント
香港特別行政区政府の報道官は、今回の措置について、対象となった人物を「無法な指名手配犯」と呼び、各地に潜伏しながら国家安全を危険にさらす活動を続けていると非難しました。
報道官によれば、これらの人物は英国、米国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、タイ、中国の台湾地域などに逃れており、中央当局や香港特別行政区に対する中傷や風説の流布を通じて憎悪をあおろうとしているとされています。今回の措置は、そうした活動に重大な打撃を与えることを目的としていると説明しました。
私たちが読み解くべきポイント
今回の事案は、次のような点で注目されています。
- 香港の国家安全法制が、海外在住の個人や団体の活動にも及ぶことが、より明確になったこと
- 資産や不動産、ビジネス上の関係といった経済的な側面を通じて、国家安全上の措置が実行されていること
- Hong Kong Parliament のような海外拠点の政治組織が、どこまで各地の法制度と交錯しうるのかという点
今後は、各地にいる対象者の生活や活動にどの程度実務的な影響が出るのか、また他の国や地域の当局が香港側の要請にどのように対応するのかが焦点となりそうです。
国際ニュースとしてこの動きを追うことは、国家安全と表現・政治活動の境界をどう考えるのか、そしてグローバル化した社会で法制度が国境を越えてどのように作用していくのかを考えるきっかけにもなります。
Reference(s):
Hong Kong govt imposes measures on 16 national security absconders
cgtn.com








