空手・龔莉、成都ワールドゲームズへ 五輪メダリストが語る「悔いなき挑戦」 video poster
東京五輪の空手女子61キロ級で銅メダルを獲得した中国本土の空手家、龔莉(コン・リー)選手が、今週木曜日に中国本土南西部の四川省・成都で開幕する2025年成都ワールドゲームズに臨みます。前十字じん帯断裂という大けがから復帰した25歳は、「悔いのない戦い」を目標に、初のワールドゲームズに挑みます。
東京五輪銅メダルから世界女王へ
龔選手が世界のトップに躍り出たきっかけは、2020年東京オリンピックでした。女子61キロ級で銅メダルを獲得し、その名を国際舞台に刻みました。
勢いはその後も続きます。2023年にはブダペストで行われた世界空手選手権の女子61キロ級で優勝し、世界チャンピオンに。さらに同じ年、杭州で開催されたアジア大会でも同種目で金メダルを獲得し、アジアの頂点にも立ちました。
2024年の前十字じん帯断裂、それでもタイトル奪取
しかし、順風満帆に見えたキャリアは、2024年に大きな試練を迎えます。杭州で行われたアジア空手選手権で、左膝の前十字じん帯(ACL)を断裂する重傷を負ったのです。
ACL断裂は、多くのアスリートにとって選手生命を左右しかねないけがです。長期のリハビリが必要となり、元のレベルに戻れないケースも少なくありません。それでも龔選手は、この大会で最終的にシングルスのタイトルを獲得しました。大きな痛みと不安を抱えながらも勝ち切ったこの経験は、彼女の強さを象徴するエピソードと言えます。
その後、手術とリハビリを経て再びマットに戻ってきた龔選手は、今回の成都ワールドゲームズを、新たなスタートラインと位置づけています。
「私は世界一」——勇気を燃料に戦う
龔選手は、中国のスポーツ番組「CGTN Sports Scene」で朱漫旦(Zhu Mandan)氏のインタビューに応じ、自身のメンタルや競技観について語りました。
彼女は「空手家にとって最も大切なのは勇敢な心だ」と話し、「空手は本当に勇気ある者のスポーツ。私はいつも自信を持っていて、自分が世界で一番だと思っている。私は無敵だ。挑戦者が1人であろうと大勢であろうと、いつでも戦う準備ができている」と力強く語っています。
この言葉からは、単なる自己アピールではなく、けがを乗り越えた者だからこそ持てる覚悟がにじみます。「怖くない」のではなく、「怖くても前に出る」のが勇気だというメッセージにも聞こえます。
五輪競技から外れても、空手への愛は続く
現在、空手はオリンピックの実施競技から外れています。それでも龔選手の情熱は冷めることがありません。彼女は、たとえ五輪競技でなくても、戦い続けたいと語り、いつか再び空手がオリンピックの舞台に戻ると信じています。
ワールドゲームズは、五輪には含まれない競技が集う国際総合大会です。そこで活躍することは、個人のキャリアだけでなく、競技そのものの存在感を高めることにもつながります。龔選手のパフォーマンスは、空手が持つスピード感や駆け引きの面白さを、世界にあらためて伝える場にもなりそうです。
成都ワールドゲームズで注目したいポイント
成都での戦いに向けて、私たちが注目したいポイントを整理します。
- けがからの完全復帰度:前十字じん帯の手術後、どこまで動きと切り返しのキレを取り戻しているのか。
- 試合中のメンタル:「自分が世界一」という強い自己認識が、プレッシャーのかかる場面でどう表れるか。
- 空手の魅力発信:世界女王としての戦いぶりが、空手の国際的な人気回復にどうつながるか。
龔選手自身は「悔いを残したくない」という思いで今大会に臨んでいます。勝敗だけではなく、一本一本の技、一本一本の勝負にどれだけ全力を注ぎ込めるかが、彼女にとっての成功の物差しになりそうです。
「悔いなき挑戦」は、見る側の私たちへの問いかけでもある
アスリートの物語は、ときに私たちの日常とも重なります。大きな目標の前でけがや挫折に直面し、それでも「もう一度だけ」挑戦する姿は、多くの人の背中をそっと押してくれます。
成都ワールドゲームズの空手競技は、単なるメダル争いではなく、龔莉という一人の選手が、自らの信じる「勇敢な心」をどう体現するかを見る場でもあります。大会が始まる木曜日、彼女がマットに立つ姿を通じて、「自分ならどう戦うか」を考えてみるのも、スポーツ観戦の新しい楽しみ方かもしれません。
Reference(s):
Olympic karate medalist Gong wants to have no regrets at World Games
cgtn.com








