中国第15次5カ年計画の策定が本格化 習近平氏が示す2つの軸
2026〜2030年を対象とする中国の第15次5カ年計画の策定が進むなか、習近平国家主席が掲げる「技術主導の成長」と「人民中心」の方針がより鮮明になっています。
1950年代から続く国家戦略、第15次5カ年計画とは
中国の5カ年計画は、1951950年代から続く中長期の経済・社会発展を方向付ける戦略文書です。現在策定が進む第15次5カ年計画は、2026〜2030年の5年間を対象とし、経済だけでなく社会全体の発展の道筋を示すものとなります。
第15次5カ年計画は、第14次・第15次・第16次という「三つの計画期間」を通じて、2035年までに「社会主義現代化を基本的に実現する」という目標に向かうプロセスの中核に位置づけられています。この目標は、2022年の中国共産党第20回全国代表大会で示されたものです。
2025年を通じて進んだ策定プロセス
今年に入ってから、習近平国家主席(中国共産党中央委員会総書記、中央軍事委員会主席を兼務)は、第15次5カ年計画の策定に向けて継続的に戦略的な指針を示してきました。最近公表された指示では、2026〜2030年の計画をつくるにあたり、国民からの意見や提案を幅広く取り入れることの重要性を強調しています。
4月には、東部の上海市を視察した際に、第15次5カ年計画期の経済・社会発展をテーマにした座談会を主宰し、「自らの足元をしっかり固め、自国の事柄を着実に処理しながら、高水準の対外開放を拡大し続ける必要がある」と語りました。世界情勢の変化に適応しつつ、中国の発展にとって戦略的な優先事項を見極める姿勢を打ち出した形です。
同じ場で習氏は、発展と安全の双方を重視し、国内外のリスクや課題を総合的に評価する必要性も指摘しました。経済成長と安全保障を切り離さずに捉える視点が、次期計画の基調になることがうかがえます。
7月30日には、中国共産党中央政治局会議を主宰し、その場で第15次5カ年計画に関する提案を検討するため、第20期中央委員会第4回全体会議を10月に開催する方針が決まりました。同会議では、新しい発展理念をあらゆる分野で「全面的かつ正確に貫徹」すること、安定を保ちながら前進を図るという原則を堅持すること、新たな発展パラダイムの構築を加速することなどが確認されました。
キーワードは「新質生産力」 技術主導の成長戦略
第15次5カ年計画期に向けて、習氏が強調しているのが「新質生産力」の育成です。これは、高品質な成長をけん引する新たな生産力を指し、技術革新や産業構造の高度化を通じて生み出されるものとされています。
4月の座談会で習氏は、2026〜2030年の期間において、各地域の実情に応じた新質生産力の発展を戦略的に位置づける必要があると述べました。そのうえで、「中国の発展は技術革新が原動力となり、実体経済が土台になる」とし、伝統産業の高度化と転換、新興産業の積極的な育成、未来産業への先行投資を通じて、現代的な産業システムの構築を加速するよう呼びかけました。
また、国家のイノベーション体制を強化するため、多様なイノベーション主体の活力を引き出し、世界の科学技術の最前線を見据えることの重要性も強調しました。基礎研究とオリジナルな革新を一貫して強化し、コア技術や先端分野での突破を図ることが求められています。その基盤として、教育・科学技術・人材を一体的に発展させることが、新質生産力を支える「土台」であると位置づけられています。
中国社会科学院経済研究所の「習近平経済思想研究センター」副主任である張弛氏は、中国が新質生産力の発展を戦略的な優先事項として位置づけていると指摘し、この分野への継続的な注力が、新たな成長エンジンと国際競争上の優位性を形成する方向性を明確にするだろうと述べています。
「人民中心」のアプローチ 310万件超の提案
第15次5カ年計画の策定は、中国共産党が長年続けてきた伝統にも沿っています。大きな政策や戦略を決める前に、基層レベルでの綿密な調査を行い、現場の実態を把握するというアプローチです。
今年5月20日から6月20日まで行われたオンラインキャンペーンでは、計画に関する国民の意見や提案が募集され、3,110,000件を超える提案が寄せられました。中国メディアグループの特設コーナーなどを通じて集まった提案は、社会サービスからインフラ、科学教育まで幅広い分野に及んでいます。
具体的には、要介護の高齢者を見守るためにAI(人工知能)ツールを活用し事故を防ぐ仕組みを導入してほしいとする声や、地域のジムやバドミントンコート、プールなどコミュニティ施設の拡充を求める提案が寄せられました。また、科学を身近に感じられる「科学普及教育」を一層重視し、技術大国を支える人材を育ててほしいという意見も出ています。
こうしたオンラインキャンペーンを受けて、習氏は「国民から多くの貴重な意見や提案が寄せられた」と評価し、関係部門に対し、第15次5カ年計画の策定にあたってこれらを十分に研究し、積極的に取り入れるよう求めました。さらに、各級の党委員会や政府に対して、人々の生活実態をより深く把握し、声に耳を傾け、幅広くアイデアを集めることで、よりよい生活への期待に応えていくよう呼びかけています。
2035年を見据えた中国の進路をどう読むか
第15次5カ年計画は、2035年までの長期目標に向けた「三つの計画期間」のちょうど中間に位置し、中国の経済・社会の方向性を左右する重要なステップとされています。技術革新を軸とした新質生産力の育成と、国民からの意見を広く取り入れる「人民中心」のプロセスは、今後の政策づくりの特徴として注目されます。
2026年以降の中国の動向は、アジアや世界経済にも影響を与える可能性があります。第15次5カ年計画づくりの過程で示されるキーワードや優先分野を追いかけることは、国際ニュースを読み解くうえでの一つの手がかりとなりそうです。
Reference(s):
President Xi Jinping charts course for China's 15th Five-Year Plan
cgtn.com








